僕とあのひと。

孤独を選ぶというより、孤独を探すという方が近い。決まって孤立を求めた。
あらゆる縛りから逃れたかった。冷たい床、冷たい隙間風、薄明り、あるいは自分が目を閉じているのか開けているのかも分からない暗闇、無音あるいは人間以外の物音、時間感覚の喪失、身体の痺れ。他に浮かぶものはない。あるのはこの感覚だけ。

たぶん、あのひとは、僕に深淵な側面があることをよく知っていて、現状を手がかりにして目に見えない所までもを心で感じて推察してくれていた。僕は、あらゆることを踏まえて現行の態度を呈している。その複雑な動機をもっとよく考えるべきだと思う。そうでなければ、対話する価値がない。

だいぶ反発したけれど、それが良かったのかな。それも良かったし、またそれを元に考えてくれたのも良かった。言葉を口にするのは大変抵抗があるけど、それが必ず一番言いたいこととは限らないことをよく知っているひとだった。本当はより遠いところに真実があることをよくわかってくれていた。

どうしたいか?よりもどう感じているか?を重視してくれた。でも現実は残酷なので、僕の意向が通ることはない。言わせるだけ言わせておいて、それはできないと簡単に言い放つ。僕自身が悪いという気にさせる。それで折れる人は折れるだろうが、僕は折れなかった。


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