見出し画像

零細起業の経営実務(19) クラウドファンディング

起業を考えている研究者さんに、リーゾの経験をお伝えするシリーズです。
今回は、「クラウドファンディング」についてです。

クラウドとは、群集。ファンディングは、資金調達。つまり、たくさんの人々から資金を集めることを言います。株式発行や融資に続く、新しい資金調達法として注目を浴びている方法です。

蛇足ですが、この場合のクラウドはcrowdで、不特定多数のワーカーに仕事を依頼するクラウドソーシングもこちらのcrowdです。一方、クラウドコンピューティングなどのクラウドはcloud=雲で、ネット上の仮想空間のことを指します。日本語だと同じで、ニュアンスも似ているところが面白いですね。

先日、クラウドファンディングのセミナーに参加して、勉強してきましたので、頭の整理のために、私なりに理解したことを説明してみたいと思います。

まず、クラウドファンディング(以下、CFと略)には、3つの種類があります。

ひとつめは、「寄付型」。『こんな社会貢献活動をしたいのですが、お金がありません、協力してくれたら感謝します』というやり方です。感謝の仕方として、主催者(が有名人の場合とか)直筆の感謝状を送るとか、名前をどこかに刻むとか、お金がかからないけどもらうとうれしいプレゼントをします。

ふたつめは、「購入型」。『こんな製品を作ろうと思うんですが、ほしい人いませんか? お金を出してくれたら、特典つきで製品を差し上げます』というやり方です。言い換えれば、『通信販売』です。

みっつめは、「投資型」。『出資してくれたら、○年間、売上の○パーセントを出資者に返します。その結果、出資額より多くなることもありますが、少なくなることもあります』というやり方です。プラス、プレゼントがつくことが多いです。株式と似ていますが、上場企業でなくてもできます。

(よっつめとして、『出資してくれたら、利子をつけて返します』という「融資型」を入れる場合もあります)

ちなみに、今回勉強したのは『投資型』です。
寄付型、購入型と比べて、投資マインドのある人が出資するのでまとまった額のお金が集まりやすいこと、現実的な支援が期待できることが特徴です。

CFの運営自体が商売なので、利用するにはお金がかかります。まずは初期費用で、プロジェクトの設計や、宣伝ページを作るための写真撮影などのための費用で、数十万円かかるようです。

その他、運営側が得るお金として、売上げの2パーセントの成功報酬と、1年に1度の監査報酬(10〜15万円)があります。

投資型の場合は出資者にお金を還元するのですが、成果連動で、売上の何パーセントにするかは最初に契約して決めます。結果的にどうなるかは別として、事業計画上は、出資額より多く返せないといけません。

というわけで、ざっくり言うと、自前のお金でビジネスをする場合に比べて、残る利益がすごく減っちゃう!ということは言えます。当たり前ですが。

CFを利用して事業がうまくいかなかった場合のリスクで、あまり知られていないのが、「税金」です。CFで集めたお金は、売上不振のまま事業が終わっても、出資者への負債にはならないのですが、返さずに済んだ分は「利益」として計上しなければなりません。仮にそれが100万円なら、約40万の法人税を取られます。お金がない中、納税資金にさらなる苦労をしそうです。

小心者の私としては、CFのデメリットや、うまくいかない場合のリスクばかりが出てきて不安になりますが、借金ではないので返す必要がないということ以外のメリットももちろんあります。

思うに、最大のメリットは広告宣伝効果でしょう。CF運営会社は何万人もの投資家を顧客に持っていて、その人たちに情報を流してくれるので、まず商品や会社の知名度が上がります。

投資してくれた人は、事業がうまくいくように応援してくれるので、SNSで発信したり、商品をお中元やお歳暮に利用してくれたり、顧客目線のアドバイスをしてくれたりするでしょう。その結果、自力で行うよりもずっと早いスピードで、事業が成長したり、良い展開が起こったりすると期待できます。
普通に広告を出すのでは得られない、血の通った広告宣伝効果があるのは確かです。

要は、期待される効果と、予想されるリスクとを秤にかけて、利用するかどうかを判断すれば良いということだと思います。

利用すれば、おそらく、新しいご縁が山ほど出来るでしょうし、経験したことのない規模の事業に取り組むことができて、うまくいけば出資者とともにWin-Winの幸福な果実を得ることができるでしょう。結果的にうまくいかなくても、広告宣伝費を使ったと思えばいいのかもしれません。

以上、考えているままに書いてみましたが、美食同玄米事業に使うべきかどうかは、まだ結論を出せていません。また、にわか勉強で間違って理解している部分もあるかもしれません。ご指摘いただければ幸いです。


<以下、ご参考用>

今回、セミナーを聞いたのは「ミュージック・セキュリティーズ」という会社のクラウドファンディングです。

https://www.musicsecurities.com/


(2016年9月7日配信のすいすい通信より)

「すいすい通信」
https://rizo.co.jp/merumaga.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?