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イギリスからこんにちは。

 初めまして、りったんです。イギリスに移り住んで、かれこれ20年になります。学生時代に留学(遊学?)していた年月も合わせたら24年、時が経つのは本当に早いです。このマガジンに参加して初めての投稿なので、私がイギリスに住むことになった経緯について、少しお話ししたいと思います。最初にイギリスに来たのは、大学3年生を終えた時。大学を1年休学して、語学留学をしました。イギリスを選んだのは、「アメリカだったらアメリカ国内しか行けないけれど、イギリスだったらヨーロッパの色々な国に行けるよ」と誰かに言われたから。実際、色々行きました。1年の間に、フランス、スペイン、チェコ、トルコ、に行きました。忙しい一年でした。一度日本に戻って大学を卒業し、元々アートが好きだった私は、インテリアを勉強したいと、またまた親の脛をかじってイギリスに戻り、イギリスの美術大学のインテリア学科でBTECという一年のコースを取りました。コースを修了した後、また日本に戻り、インテリア関係の会社に就職し、まあまあ楽しく生活をしていました。でも、イギリスで出会ったボーイフレンドとの遠距離にも飽きてきて、一緒に暮らしてみようかということになり、またイギリスに戻り、またまた学生生活に。。。。流石に今度は真面目に勉強と思い、国際関係学の修士号を取り、その後、無事に就職、結婚という流れになりました。

 イギリス。住んでみると、イギリスの魅力的なところがたくさん見えてきます。大好きでもあり、同時に呆れてしまうところもたくさんあるこの国。住んでいるからわかる、イギリスの魅力をこのマガジンで楽しく伝えていけたらと思います。よろしくお願いします。

 早速ですが、私がイギリスに住んでいて、この国はいいなあと思うことのひとつに、チャリティー精神が強く根付いているということです。日本人の私は、最初は、このチャリティー精神が理解できませんでした。夫もチャリティーが大好きで、結婚当初、まだお金に余裕がなかった時に、街中で、何かのチャリティーに、20ポンドをポンと差し出したことに、ショックを受けたことを今でも覚えています。

 町にも至る所にチャリティーショップがあります。これはとても良いシステムだなあと思うのですが、人々は要らなくなった洋服、本、食器など(もちろん、汚れたものや壊れたものではなく、まだ気持ちよく使えるもの)を寄付し、それをチャリティーショップ側でかなり安い値段をつけて販売し、その売上がその団体の寄付金となります。私も、子供の着れなくなった洋服をよく寄付しに行きます。そして、そこで売っている子供服を、うちの子用に買ってくることもしばしば。特に裕福層が住んでいる地域のチャリティーショップには、本当に良いものが売っていて、ブランドものもたくさん置いてあるので、驚きます。裕福でお洒落なマダムが、自分が飽きて着なくなったものや、子供に小さくなって着れなくなった服を寄付するからです。日本も最近はセカンドハンドのものも人気が出てきたようですが、イギリスにはこの文化が昔から強く根付いています。

 子供の学校行事でも、チャリティーイベントがたくさんあり、半ば強制的に、参加することが義務付けられます。ベイクセールなどは、イギリス全土どこの小学校でも開催されるイベントの一つで、毎月のように開催されます。家で焼いたケーキをボランディアの父兄(主にお母さん達ですが)が校庭で売って、発展途上国や、災害で被害を受けた国、病気で苦しんでいる子供達に寄付するためや、時にはPTAの運営資金集めのため、などその時々によって寄付する先は違います。ベイクセールの日には、子供たちはケーキスタンドの周りに群がり、それをお母さんたちが子供達に買ってあげ、子供達はそれを食べながら家に帰ります。(ちなみに、イギリスでは、食べ歩きは、日本のように、お行儀が悪い、と指を刺されるものではありません。私も当初は抵抗がありましたが、今はすっかり慣れました。)

 その他、クイズナイトなど、親と子供が一緒に参加するイベントもあります。参加費は10ポンド程度で、出される食事はピザやフィッシュ&チップスというところでしょうか。PTAの役員や先生が、クイズを出して、チームごとにそれを解答し、一番正解が多かったチームに賞品が与えられます。

 このチャリティー精神はチャリティー団体に寄付ということだけではなく、他人に対しても無償で親切にするという形でも現れます。この場合、ボランティア精神、と言った方が的確でしょうか。例えば、地下鉄のホームの階段でベビーカーを押している女性がいたら、男性でも女性でも必ず「お手伝いしますよ」と声をかけてくれます。そして、一緒にヨイショヨイショとベビーカーを運んでくれるのは日常に見る光景ですし、街でちょと立ち止まったりしていると、「大丈夫、迷ってるの?」と声をかけられるのも珍しくありません。基本的に、弱者に対して優しい人が多いです。

 スーパーで店員に探している品物を伝えると、口頭でどこの棚にある、と教えてくれるだけでなく、大抵の店員さんは、自分の仕事をそっちのけにして、そこの棚まで連れて行ってくれます。これは店員さんなので、日本でもお店ではお客さんに対しては親切なので、一緒かもしれません。でも、イギリスでは基本的に、道歩く全くの他人に対しても、親切でフレンドリーな人が多いです。

 先日、犬を連れて川沿いをジョギングをしていた時のこと、アイビー(我が家の犬の名前)が、突然私と一緒に走るのをやめ、道の真ん中に立ち止まり、頑固に動かなくなったのです。私は10メートルほど先で立ち止まり、アイビーを呼びました。でも一向に動く気配なし。その時に、近くでジョギングをしていた人やサイクリングをして通り過ぎる人達が、「この子はきっと’私はもう走りたくないわよ、走るなら一人で走ってよ’」って思ってるに違いないね!」などと、笑いながら声をかけてくれ、少し苛立っていた私も一緒に笑ってしまい、一気に楽しい気持ちになりました。イタリア人やフランス人ほどではないのでしょうが、日本に比べるととてもカジュアルで陽気なイギリス人。とても暮らしやすい国だと思っています。

 実は夏休みに5週間近く日本に帰っていて、2週間前に、イギリスに戻ったばかりです。日本の便利さや綺麗さ、清潔さ、美味しい食べ物、正確に時間通り走る電車、お店などでの丁寧な対応、やっぱり日本っていいなあと感動しきりでした。イギリスに戻り、早速日本のレベルから程通い不便さや電車の時間、仕事のいい加減さにイライラしてしまうことしきりですが、それなりに、日本にはない、イギリスならではの良いところもたくさんある、と思い直し、早速自分のためにもこの記事を書きました。