ランニングのすすめ part2 〜スピード練習について〜

はじめに

みなさんランニング生活いかがお過ごしでしょうか。
最初の頃はみるみる走力も上がって、どんどん楽しくなっていきますよね。
前回はこれからランニングを始める初心者向けに、ジョギングの大事さについて書きました。
今回はジョギングが慣れてきた人の次の段階の練習について書きたいと思います。
だんだん走れるようになってくると普段走る距離、スピードが上がってきますよね。
普段の練習でキロ7分ペースで5km走ってたのが、だんだん走るスピード、走る距離が上がっていき、キロ6分ペースで10km走ったりするようになります。
自分の成長を実感でき、楽しく感じますよね。

元々の走力の違いこそありますが、誰もがこのようにジョギングの延長で走るスピード、走る距離を上げていきます。しかし、それをずっと続けるのはフルマラソンやハーフマラソンで結果を出すための練習としては最善ではないと思います。

過負荷の原則という言葉をご存知でしょうか?
「過負荷の原則」というのは、「トレーニングを行うときは、ある一定以上の負荷をかけないと身体は強くならない」ということです。
毎日同じ練習ばかり行っていても、身体がその負荷に慣れてしまい運動効果が現れにくいということになります。
筋トレを思い浮かべれば、イメージしやすいでしょう。
軽いと感じるバーベルをいくら持ち上げても効果的な筋トレにはなりません。

初心者はゆっくり走るジョギングで、十分な負荷がかかっていると言えます。
ジョギングはとても大切な練習で、ランニングの土台を作るものだと思うのですが、2、3ヶ月続けてジョギングに慣れてしまうと走力を上げる練習として効果的ではありません。
そこでランニングにおいて負荷のかけ方なんですが、簡単に説明すると、
中程度のスピードで中程度の距離を走るよりも、高スピードで短距離の練習をした方がスピードは上がります。
また中程度のスピードで中程度の距離を走るよりも、低スピードで長距離を走った方が長い距離を走る能力は上がります。
スピード、スタミナに特化した練習をそれぞれやったほうが総合的な走力が上がりやすいということです。
育成ゲームをやったことがある人はイメージがつきやすいでしょうか。

それでは強度の高い高スピードの練習について説明しましょう。
スピード練習という言い方をしますが、長距離走を早く走るためにはどのようなスピードのトレーニングが効果的でしょうか?
100mダッシュ?それとも1kmをギリギリ走れるくらいのスピード?

そもそも長距離を早く走るためにはどのような能力が必要なんでしょうか?
これは乳酸性作業閾値、最大酸素摂取量、ランニングエコノミーという3つの要素が重要であると言われています。
これらの簡単な説明とそれらを向上させる効果的な強度の高い練習についてランニングのバイブルと言われるダニエルズのランニングフォーミュラを参考にトレーニング方法を紹介します。

乳酸性作業閾値(LT値)と閾値走(Tペース走)

LT値とは体内の乳酸濃度が急激に上昇するポイントです。
LT値を超えると乳酸が急激に溜まるので、呼吸が苦しくなり、身体が思い通りに動かなくなります。
このペースならキツくないけど、これを超えると途端にキツくなるっていう感覚ありますよね。
つまりLT値とはこの楽なペースときついペースの境界線です。
LT値が向上すると、楽に走れる最大スピードが上がります。
マラソンにおいてとても大事なことはわかりますよね。
このLT値を向上させるのに効果的な練習が閾値走です。
閾値走はある程度の時間少し早めのペースで持ち堪えることを身体に覚えさせる練習です。
やり方としては20分長くて30分少しきつめのペースで走ります。
終わるのが待ち遠しいくらいのペースでということですが、具体的なペースについては後に説明します。
普段のランニングで途中ペースを上げて20分くらい走り、あとはゆっくり走るという感じにすれば普段の練習に組み込みやすいと思います。

最大酸素摂取量(Vo2max)とインターバル走(Iペース走)

Vo2maxとは1分間に体内に取り込むことができる最大の酸素量のことです。
運動を持続するためのエネルギーは「酸素」を使って作り出されています。走るスピードが速くなるにつれて、単位時間あたりに必要な酸素の量も多くなります。しかし酸素を体の中に取り込むスピードにも限界があります。この限界を「Vo2max」といいます。
なんかわかりづらいかもしれませんが、車でいうとエンジンの排気量みたいなもので、この値が大きいほど、心肺機能の能力が高いと言えます。
Vo2maxを向上させる効果的な練習がインターバル走です。
やり方としては身体があったまった後で、
1kmの疾走を3本から5本くらいやるんですが、
1km→500mジョグ→1km→500mジョグ→・・・

のような感じです。
ポイントは1kmと1kmの疾走合間を完全に休まずジョグで繋ぎます。このジョグで休憩という感じなんですが休憩を取りすぎないのがポイントです。
少しハアハアした状態で次の疾走に入ります。
この練習はかなりきついです。

ランニングエコノミーとレペティション走(Rペース走)

ランニングエコノミーとは少ないエネルギーで、いかに速く、長く走れるかということです。
走りの効率がいいということです。
レペティション走をすればランニングエコノミーが完璧に向上していくというほどランニングエコノミーは簡単な概念ではありません。
ただレペティション走を行うことにより、ランニングフォームが改善し、走りのエネルギーのロスが少なくなります
レペティション走のやり方は200mの疾走、もしくは400mの疾走を8本前後といった具合です。
インターバル走よりもさらに早いペースで走るようになります。
インターバル走と違い、疾走の合間はジョグでもいいし、完全に休んでしまっても良いです。休憩をとりすぎても大丈夫です。
呼吸を整えてから次の疾走に入るようにしましょう。

具体的なペース(参考)
私は我々市民ランナーはそこまで厳密にそれぞれの具体的なペースを決めなくていいと思うので、ここからは参考までに読んでください。
自分の走りたいペースで目的に応じた負荷がかかっていればいいと思います。

それぞれのトレーニングの具体的なペースですが、当然その人の走力によりますよね。
この走力に応じたそれぞれのトレーニングペースをダニエルズさんは細かくまとめています。
走力レベルをVDOTといいます。
まず下図で自分の走力レベルを確認してみましょう。
直近自分がでたレースがあればわかりやすいですね。

そして走力レベルを確認したら下図からそれぞれのトレーニングペースが書いてあります。
例えばフルマラソン4時間ちょうどくらいだったらVDOT38のところですね。

EがEペースつまりジョギングのペース
Mがマラソンつまり本番近いペース、
TがTペースつまり閾値走のペース
Iがインターバル走のペース
Rがレペティション走のペース
になっています。まあ参考までですが。

おわりに

スピード練習として閾値走、インターバル走、レペティション走という三つのそれぞれ違ったスピードの練習の説明をしました。
それぞれの練習はそれぞれの目的があります。
この練習を行うことで向上させたいシステムは何か考えて練習しましょう。
また自分に足りない能力は何で、そのために何の練習を行うか考えて練習メニューを組みましょう。
スピード練習(特にインターバル走)は強度が高いので毎日はしないほうがいいと思います。
多くても週に2回にして、休息日を設けることをお勧めしたいです。
週に1回から2回強度の高い練習をして、合間をジョギング+アルファくらいでそれなりの走行距離を踏み、週に1回から2回休息日を設けるというのが市民ランナーの王道な気がします。
もちろん練習ペースも人それぞれです。週に1回でも2回でも走るということはとても大きな意義があります。

そしてこれから暑くなってきますので、暑さにも気をつけましょう。
暑い時は涼しい時と比べて走れないので、走力が落ちてしまったのではないかという錯覚さえします。
しっかり水分とっていつもより短めの時間の練習をすることをお勧めしたいです。

あともう一つ、フルマラソン走るための練習としてゆっくり長く走るLSDという練習がありますが、長くなったのでこれくらいにします。
気が向いたら追記しておきます。

次回はいかに習慣にするかについてやる予定です。
最初の数ヶ月はどんどん走力がのび、走るのが楽しくなっていきます。
しかし、続けていくとなかなか走力が伸びなくなってきます。
頑張っても伸びない時期を乗り越えてまた少し走力が伸び、またなかなか伸びない時期がやってきます。
このなかなか伸びない時期をプラトーといいます。
私たちはランニングを何年も続けていく中でほとんどの時間をプラトーで過ごすことになります。


走力が伸びない時期はモチベーションがあまり上がりません。
そしてどんどんモチベーションが下がっていきやめてしまうということになりかねません。
そこでいかにモチベーションを維持するかと語り出すのは3流の自己啓発本です。
モチベーションのコントロールは完全にはできないので、モチベーションを頼りにしてはいけないんです。
そこで大事なのは習慣の力なんです。
毎日歯磨きするのにモチベーションっていらないですよね。
ランニングを習慣にするのにどのように習慣をデザインするかについて話したいと思います。
ではまた。


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