実体験13 言語聴覚士との出会い

人工呼吸器がはずれて3時間ほど経った。

爽やか笑顔の女性がベッドサイドに来た。

「言語聴覚士の〇〇です。よろしくお願いします。」

これから飲み込みのリハビリをするようだ。
もう、食べなくでもいい。
人工呼吸器がはずれたなら、、、。
そう思ったけど、

「そのうち食べたくなりますよ!」

と言われた。

唾は、ゆっくり恐る恐る飲み込めた。

「これは飲み込めますか?」
そう言って、小さなカップを開け、スプーンでひと口差し出した。

恐る恐る飲み込む。

飲み込めた。

味がした。

いちごだ!

いちごのゼリーだった。

「これは?」

飲み込めた。
美味しかった。

ぶどうゼリーだった。

彼女は、私の喉に聴診器を当て、飲み込む音を聞いていた。

「飲み込めますね。では、明日からペースト状の食事からスタートしましょう」

人工呼吸器を抜いてから、声はでなかった。
息で彼女とはしゃべった。

発声より、まずは飲み込むこと。
自分の口で食べることが大事。

自分で呼吸。
自分の口で食べる。

急に前進し始めた。

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