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虹の橋のたもと

なのちゃんとの出会いは小6の春休み。
近所で見つけた4匹の子猫を、妹と一緒に家に持って帰った。

その中から1匹、
”自分の猫”を選んで決めた。

それが『うにょにょ』
のちの『なの』ちゃん。

その子だけしっぽが骨ごと一回転していて
豚のしっぽみたいになっていたから
『うにょにょ』と名付けた。

でもその後、大好きな漫画に出てきた猫の名前が
おんにゃのこを略して(?)『なの』だったから、
同じ『なの』に改名した。

猫の改名って、、、笑

当時は連れてきた4匹を飼っていたから、
母も名前を把握しきれてなくて”なの”に改名したことも知らず、
病院で「ムニョニョ」と登録していた時は笑った。

今思い返してみると、
子猫たちを見つけた時横に母親猫も一緒にいたんだけど
全然警戒されなくて、むしろ後ろからついてきて
子猫たちをうちで飼い始めた時には、
お乳の時間になるとふらっと来る通い母?みたいになっていた。

無邪気な子どもたちは害はないと、母親猫に認めてもらえたのかな。
出会ったこと自体が運命だったのかもしれない。

それからは家の庭や近所でなのちゃんとたくさん遊んだ。
子猫の頃のなのちゃんは、
わたしが地べたに寝転んで死んだふりをすると
お腹の上で必死にみゃあみゃあ泣いて助けを呼ぼうとしてくれて。
それがかわいくて、何回も死んだふりをしていたわたしは
今思うとひどい飼い主だね。。ごめんね。

それから2回引っ越して。

うちは猫たちを外で飼ってて、
日中や冬以外の夜は好きなところで過ごして
ご飯になったら家の前に集合って感じだった。

冬はさすがに寒いので、
玄関に毛布を敷いた箱を用意してその中で眠って
朝になったら外に出ていく。

そんな自由気ままな猫ちゃんたち。

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わたしが実家から数年離れた時も
実家に帰ると、途中の道で出会ったなのちゃんは
すぐに気づいてそばに寄って来て鳴きながらついて来てくれた。

なのちゃんは、まさに自由猫って感じで
他人?や環境にに左右されない”自分”を持っている強い猫。
我が強いというか、オスライオンみたいな
他に媚びない孤高の存在?のようだった。

目つきも鋭いし、気にくわないことがあるとひっかくし
犬相手に飛びついたこともあったなぁ…笑

母には「目つき悪い猫」って呼ばれたりもしてたけど、
いつも自由に行動して気ままに生きるその姿に
憧れと尊敬の念をわたしは持っていたよ。

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そして神奈川から東京に実家ごと引っ越すことになって、
新しい家は車通りも多くさすがに外に放しておくことはできないから
なのちゃん15歳にして初めての室内飼い猫に。

車で約3時間ほどを移動してたどり着いた新居で、
普通ならびくびくしていろいろと確認するところだと思うのだけど
なのちゃんは着いて早々梱包材の上で爆睡してた!

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さすがに笑ってしまったけど、
そういうところがほんと”らしいな”って思う。

適応力がハンパない。

初めての猫砂トイレもすぐに覚えてくれたし、
家の中を自由に動き回って悠々自適に過ごしてた。

ただ、今までずっと外にいてほぼ野生だったこともあって
毎日毎日外に出たがった。
なので、猫用のリードを購入して散歩に行くことにしたんだよね。

いろんなところ走って行っちゃうかな…
首絞めちゃわないかな…

なんていう不安は余所に、
わたしをリードしてくれるけど無理矢理どこかに行ったりはしないで
「だめだよ」と言えば止まってくれて、
そのうち”散歩コース”ができてそこを一緒に回るのが
わたしたちの日課になった。

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なのちゃんは小さい頃に車に当たってしまったことがあって、
怪我はなかったけど恐怖心から
車の走ってくる音とかがトラウマになってしまったので
散歩は車通りの少ない夜に行くことが多かった。
それでも車が通る時はあるのでそんな時は
素早くなのちゃんを抱っこして車が見えないようにしていた。

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それと、室内飼いになってからは
毎日わたしとなのちゃんは一緒に寝るようになった。

しかもわたしの腕枕で。

わたしが寝室に行くまではずっと膝の上にいるし、
寝室に向かおうと階段を上がると後ろからついて来て
一緒にベッドに入った。

「なのちゃーん」と呼ぶと、すぐに駆けつけてくれて
散歩もするし猫というより犬みたいだねってよく言われてた。

でも、名前を呼んで駆けつけてくれるのも
ベッドで一緒に寝るのもわたしだけで。

わたしとなのちゃんの間には
飼い主と飼い猫とはまったく違う関係性が築かれていたと思う。

わたしにとってなのちゃんは、
妹であり姉であり親友であり相棒であり恋人のような。
お互いにすべてを許しあって認め合っている
まさに【パートナー】だった。

なのちゃんが19歳になってもその野性味は失われず、
いろいろなところからよく脱走していた。
朝脱走して昼も夕方も帰ってこなくてドキドキしていたら
何食わぬ顔で夜に戻って来た。
きっとなのちゃんにとっては、
それが一番自然な生き方だったんだと思う。

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そんななのちゃんだったから、
歳は取ってもずっとずっと元気なままなんじゃないか
もしかしてしっぽが三又になってずっと一緒にいられるかも、
なんて思うくらい本当に本当に元気だった。

4匹の兄弟姉妹の中でも一番の長生きさんだし。

でも、突然。
ご飯を食べなくなって、一日中うずくまっていて
その翌日、わたしの腕の中で息を引き取った。

数日前には何度目かの脱走をして、
隣のおばさまに捕獲されていたくらい元気だったのに。
本当に突然。

なのちゃんが息を引き取った日は土曜日だったのだけど、
普段は土日祝日休めない仕事のわたしが
特別な用事があってたまたま休暇を取っていた土曜日だった。

なのちゃんは、わかっていたのかもしれない。

都合よく考えてるだけと思われるかもしれないけど、
もし今もなのちゃんが生きていたら
彼と一緒に住むことを躊躇していたと思う。

元気だけど高齢ななのちゃんに
3度目の引越しというストレスを感じさせたくないと思うから。

きっとわたしのこと全部お見通しだったのかな。
そういう未来が来ることも、わたしが迷うことも。

そういうところまで完璧で、
他の人のことなんて考えていないような振る舞いだったかもしれないけど
実は愛情いっぱいもらっていたよ。

わたしが悲しくてひとりで泣いていた時も
なのちゃんは静かにそばにいてくれて、
いつも通り眠っていただけかもしれないけれど
なのちゃんがそこにいてくれただけで
わたしはとても安心したし励まされたよ。

いつもわたしの腕枕に頭を乗せて寝ていたなのちゃんが、
朝目覚めるとわたしの肩に前足を回して
わたしの肩を抱いているみたいな時があって
朝からほっこりしたよ。

真夏の暑い朝なのに、
わたしの首元にあごを乗っけて寝ていて
じわっとする熱感でわたしは目覚めたけど、
なのちゃんをすごく近くに感じて嬉しくて
しばらくそのままの状態を堪能していたよ。

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なのちゃんは自分から「かまってー!」と来るような子でも
面と向かって嫉妬するような子でもなかったけど、
わたしのことは「自分のもの」と思っていたよね?
だからわたしのひざはなのちゃんの特等席だったね。

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いつの間にか、
なのちゃんの鳴き声や表情で
何を訴えているのかわかるようになっていたし
言葉では話していなかったけど、
心では通じ合っていたよね。

そういうことを思い返してみると、
やっぱりなのちゃんは家族でもあり恋人でもあった。
かけがえのない存在でした。

だからこそ、急にいなくなっちゃって
心にぽっかり穴が開いたようで

火葬もしてお骨拾いもしたけど
いまだに受け入れられていない部分もあるように思う。

どこかにいるんじゃないかな?
でも遠くではなくて、すぐ近くにいるような。

きっと、虹の橋のたもとでのんびり自由気ままに
待っていてくれる。

そんな気がしてる。

もう少し待っててね。早く会いたいね。
ずっとずっと大好きだよ。ありがとう。

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