コンプレックスの生まれ方

先日、予約来店された女性のお客様。
初めてお会いする方。

本来なら5分ほどで終わるやりとりだったのだけど、
いつものように何気ない日常会話を少し挟んだら
なんだかテンポよく会話が続いて
気づいたら1時間ほどお話ししてしまっていた。
(もちろん、お店の状況をみて他にお客様がいないことも確認済み。)

話の内容は、お互いの家庭事情がほとんどで。

お客様もわたしも三姉妹ということや、
早くに父を亡くしているところ、
お互いの考え方や性格が似通っていたため
まったりゆったり談笑の時間が続いたのだった。

小一時間で考え方や性格が似ているなんてわかるはずないって、
そう思う人もいるかもしれないけれどたまに感じる。
そういうマッチング感覚。

お客様は40代半ばで娘さんが2人いらっしゃる奥様だったのだけれど、
24歳の娘さんがいらっしゃるとは思えないくらい
若くてお綺麗でかわいらしい方だった。

雰囲気もとてもよくて、最初の方から「波長が合うなぁ」って感じてて。

聞けば、三姉妹の真ん中とのこと。
そしてA型。

「わたしB型のお友達ばかりなんです〜。
 B型の人といると気が楽で。」

と仰っていて、嬉しくなった。
わたしはB型だから。

B型のわたしから見て、A型の人には2パターンいるなぁと思っている。

典型的なA型できっちり生真面目な人。
一見A型に見えないマイペースな人。

わたしは、後者のA型のお友達は多い。
前者のタイプだと一緒にいることに「申し訳ない」と
恐縮してしまうので、少し苦手で距離を置いてしまう。

お客様は後者のA型タイプだと直感した。

お話ししていると、ご自身でもそのように仰っていて
「待ち合わせに時間決めないもん。
 待ち合わせ時間にまだ家にいるタイプ。」
とのことで、お互いに「わかるわかる〜!」と笑いあったり。

お客様のお姉さんと妹さんは、とても頭が良くて
お母様から「私だけは期待されていなかった」らしく、
「でも、別に気にならなかった。」と。

人は人。自分は自分。

その考え方が、とても共感できて
お互いに次から次に話が出てきた。

わたしの場合、真ん中の妹がとても優秀で
父が「(5段階評価の)成績で5一つにつき1万円あげるよ」と言えば、
ほぼ5を取ってきた。実力がないとできないことだ。

わたしは特段勉強ができたわけでも、できなかったわけでもないのだけど
優秀な妹と比べられることは、一度くらいはあったのかもしれない。
でも全然覚えていないし、素直に妹はすごいなと思っていたので
比べられたとしても「そうなんです!妹すごいんです!」と自慢していたと思う。

自分のできないこと、興味のないことで比べられても何も思わない。
むしろ、できる相手のことを「すごいなぁ」と思う。
もし比べられたりしても
「わたしはわたし。別にできなくても問題ないし、やりたくない。」
って言っていたと思う。

たとえ「オール5取ったら100万円あげる」と言われても、
絶対にやらない。
オール5を取るための労力を考えると、お金なんかでは元取れないから。笑

その話をした時も、お客様は「わかるわかる!」と頷いていて、
そのあとに「私は昔母が怖くて、今も気を使う。喧嘩ばっかり。」と。
そこは、わたしの真ん中の妹と似ていて、
母と会うたびに喧嘩をしている妹の話をすると「わかる!」と笑っていた。

母への想いとか、妹たちとの距離感とか
お客様の娘さんの気持ちとか、
仕事に対する考え方とか
1時間ほどだったけれど、いろいろお話しして。

そうしたら、お客様がわたしに
「店長さんになってほしい。評判の店長になりそう!」
と仰ってくださった。

「初めは娘と同じ歳くらいかな?と思っていたんですけど、
 話してみるとすごく大人の考え方で精神年齢高い!って
 驚きました。」とのこと。

すごくすごく嬉しいけど恐れ多くて、
「わたし営業できないので店長とか無理です!」って言ったら
「そんなのは他の人に任せておいていいんじゃないですか〜?」って。

やっぱり、この考え方、好き。そう思った。

でも、わたしが
「他の人の数字とかも管理しないといけないなんて面倒です!」と言ったら
「それはわかります!(真顔)」と仰っていて。
なにこの空気感、ずっと続けばいいのに〜と思った。笑

「私が前にいた職場は殺伐としていて…
 このお店はあったかい雰囲気でいいですね。」
と言ってもらえて嬉しかった。

仕事に対しての姿勢とか、なにか特別なことを言ったわけでも
背伸びして話したわけでもなく当たり前のことを話しただけなので
なにを話したかもうほとんど忘れてしまったのだけど、
最後にお客様に

「今日はとても勉強になりました!
 私も頑張ろうと思います!
 いいお話が聞けました〜。」

と仰っていただいたのには、心底恐縮した。
ひとまわり年上の方にそのように仰っていただけるような
えらい話もすごい話もしていないのに。

わたしの方こそ、楽しい時間をくださったことに感謝しかないのに。

それでも、お客様にそういう風に思ってもらえたということは、
お客様にとって少しでもプラスの時間であったということだと信じて
それだったら、心からよかったなぁって思う。

楽しい時間を過ごせて、嬉しい言葉をいただいて
そのあとの仕事はいつもよりうきうきして取り組めた気がする。

お客様とは、もう一度会う機会がある。
その日が今から楽しみ。




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