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トンネルを抜ける / Day14 ミーみたい

   朝、目覚ましで起きたのは3:50。この日は、早朝の仕事だった。まだ目が覚めていない身体にどうにか声をかけて準備をする。新宿にあるビルの屋上。曇天だが雨が降らないのが、外での撮影の救い。そしてもう一つ嬉しいのは、一緒に仕事する人たちの顔ぶれ。

  中学、高校の時に演劇部にいて、脚本書きに始まり、とにかく「大人数でものを作り上げる」ことに没頭した。その時の高揚感と、今の仕事の撮影は似ている。特にその面子が最高の場合は、言わずもがなテンションは上がりっぱなしだ。Day2で登場した、映像作家のさりちゃんとの仕事。この間の打ち合わせの時に言っていた。「今度、連れてくるカメラマンの人、若い子で、イケメンだから、なんかSandyさん楽しみにしててください」って。 

  赤いアウディに乗ってやってきたその20代後半のカメラマンは、小柄で目の綺麗な人だった。加えて、負けず嫌いと芯の強さが目の奥から漂う人だった。早朝からの撮影は、さりちゃんとの息の合ったコンビネーションで、程よい緊張感と穏やかさが混在する空気の中で進んで行く。私は別の案件のため途中でお暇させていただいたが、無事に終わったーと言うさりちゃんからの良いテンションのメール。若さって本当にそれだけで武器で悩ましいほど眩しい。2人を見た時にそう思った。今の自分の歳を嘆くつもりは全くないけれど、無意識に放たれるあのエネルギーは無敵。そんなことを心の片隅思っていたとき、無事に終わったと言う報告に加えて、こんなメッセージが来ていた。

   「どうしても連想してしまうんですよね、もし嫌だったら申し訳ないんですけど、私はだいすきな」と言う言葉の後に、ムーミンに登場するミーのスタンプが貼ってあった。私がこんなイメージでキュートだと言う。悩ましいほど眩しいのはさりちゃんなのに、そんな彼女からの極上の褒め言葉。褒められてテンション爆上げの小学生みたいな私がそこにいた。

      

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