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【対談】シタンダリンタ×篠崎雅美“未成年だらけの現場”が引き起こした化学反応「大人と子供の狭間ってこういうこと言うんだな」

いよいよ今週12月18日より公開となるシタンダリンタ最新作『もしや不愉快な少女』。元子役の少女が未成年というものの窮屈さに息切れしながらも、友情、家庭、恋愛、様々な出来事に触れながら着実に大人へと成長していく様を描きながら、現代における未成年の立ち位置を模索していく意欲作。今作の企画•プロデュースから全て手がけたシタンダリンタ監督と、彼が絶大な信頼を寄せる女優・篠崎雅美による対談を敢行した。そこで見えてきたのは、未成年だらけな現場の独特の空気が如何にして作品に生かされていたのか、ということであった。(編集部)

年齢の垣根を超えてディスカッションし合える信頼関係

シタンダ「お疲れ様でした、ありがとうございました」
篠  崎「本当に、お疲れ様でした(笑)」
シタンダ「7月下旬くらいにイン(撮影開始)でしたよね」
篠  崎「夏でしたね」
シタンダ「だから4ヶ月間くらい。でも基本みんな学校行ってるから、平日はあんまりロケ出来ないってのがあって。多分日数的には1ヶ月くらいなんですよね。全部の撮影の日数で言うと30日くらい…」
篠  崎「あー、それでも30日って結構撮影してましたね」
シタンダ「3時間なんで(笑)」
篠  崎「はははは(笑)」
シタンダ「雅美さんへのオファーってもう結構前に来てました?」
篠  崎「えーっと、いや、でも確か撮影が始まる、だから7月よりは、そんなに前じゃなかったのかなぁ…春でしたっけ?」
シタンダ「多分、僕が連ドラを始めたぐらいやと思います。お声がけしたの」
篠  崎「あ、そうだ、今回の作品の撮影し始めた時、まだその連ドラの撮影終わってなくて、今からします、みたいな。夜にこの『もしふゆ』の撮影終わって、そのあとにどっか行って帰ってきてから『どこからともなく(連ドラ)』の撮影します、って言ってはった記憶がありますね…」
シタンダ「そうなんですよ(笑)ほんとはクランクイン初日から僕の撮影もインする予定だったんですけど、ドラマの撮影が残ってて髪型を変えれないってなって、今回のとかはパーマをあてたかったから。ドラマが終わってないからパーマをあてれませんってなって。初日からスケジュール大狂いしてしまって」
篠  崎「あー、なるほどなるほど」
シタンダ「そっかじゃあ雅美さんは最初にこの映画の話が来た時ってまだ全然全貌が分からないじゃないですか」
篠  崎「そうですね。でも監督がモチーフにしたい事件というかテーマがあるんです、ってゆうお話は1番最初の時からちゃんと仰ってくださっていて、メモしてたのを振り返ると丁寧にそれはちゃんと仰ってくれていて、ただふんわりとした情報として聞いているというような感じでしたかね。脚本を読んでからもう一回そのメモを振り返った時に、あーそういう事か、みたいな。だから最初の方脚本頂いて読み始めたら、事件??そんな子役の事件あったっけ?って思いながら読んでるって感じでしたね」
シタンダ「ですよね(笑)じゃあ脚本は7月入ってからですよね?届いたのは」
篠  崎「そのくらいだったかなぁ…」
シタンダ「多分めっちゃギリギリやったんですよ今回。すごい時間がかかってて」
篠  崎「苦労してはりましたよね」
シタンダ「今回のこの『もしや』に関しては、なんかちょっと章分けされてる感じの映画じゃないですか。親友編、バイト編、知らない人編、みたいな」
篠  崎「知らない人編(笑)」
シタンダ「その作りにしたのが、構成を練っていく中で中盤くらいからすごい後悔して…一個一個の話が孤立しちゃわないように、ちゃんと全部が繋がってて、一個抜けたらもう成立しないというような作りにしたかったので、それぞれ単体のものを一本線にするという作業にすごく時間が掛かって。で、後半全然違う話になるじゃないですか(笑)」
篠  崎「全然違いますねぇ(笑)」
シタンダ「だからこそそこに向けてまず前半に伏線を散りばめていかなきゃダメだし、それを後半回収しなきゃだしっていう。バラバラのものを一つにまとめるのが思いの外時間かかってしまい。結局皆さんに台本が届くのがめちゃくちゃギリギリになったという…(笑)」
篠  崎「めっちゃギリギリにすごい厚の物が届いて、ワオー!て(笑)」
シタンダ「そうですよね(笑)やっぱビックリしました?」
篠  崎「ビックリしました。だから、きのめぐ(スタッフ)さんでしたっけ?彼女がおっしゃってたのとおんなじことを思ったんですが、脚本読んでる時に小説読んでるみたいな気持ちにもなってくるというか。それこそそれって今おっしゃったみたいにいろんな方が出てくるし、色んな章に分かれてるような感じで、じゃあ私が演じさせていただいている明子っていう茉奈の母親が出てくるところってそこはそこで完結というか他者との関わりがあんまりないので、他のところを読む時って違う目線で読んでる部分があるんだと思うんですよね」
シタンダ「なるほど」
篠  崎「違うところなんだけど演じる上でストーリーとして関係してくるから、それを読んだ上でじゃあどういう風に演技してこのストーリー、映画全体を成り立たせていく一部分、一つの役を担うかっていう事を考えたいなっていう気持ちで読んでて。でもそれが沢山あるし、すごい関係ないところに飛んでいってると思ってるから、いきなり違う映画のストーリー読んでるかのような脚本でした」
シタンダ「実際雅美さんは受け手として最後まで読み終わった時に一発目にどう思ったんかなっていうことがすごく気になっていて。この映画はどうゆうものだっていう印象を抱きはったんかなっていうところが。」
篠  崎「なんか、、もしかしたらあるのかもしれないんですけど、なんか既存の映画の展開の印象とは違っていたかなという気持ちがあって。それがその私の中でぱっかり二つに分かれているような印象になるというか。主人公は茉奈なんだけど、久遠くんもすごく大きく主人公であって、その二つの世界が最後繋がるというような印象だったので、茉奈が主軸に動いていってるというよりはちゃんと二つのストーリーというか二つの人生が別々に立ってるという印象でしたね」
シタンダ「おぉ良かった」
篠  崎「だからなんていうのかな、Aの人生もあってBの人生もあってそれぞれがこんな事があってこうやって生きてきてここで交わったからこうなったんだよっていう事が明確な映画。ストーリーを作るために御都合主義みたいに作られてるということではなく、なんかこうそういうところにはリアルさを感じましたね」
シタンダ「割と普段から結構“シタンダの台詞は言いづらい”って言われるんですよ。僕が書いた台詞は役者側からするとなかなかラクじゃない台詞ばっかりだというような事を言われて。それは貶しているとかではなくてね。それは実際僕と何年も一緒にやってる高校生チームの発言なんだけど、雅美さんもいろんな作品に参加して頂いてるじゃないですか…」
篠  崎「それはちなみに難しいっていう意見があるのは、具体的に長さがとか普段言わない言葉だからとかってことですか?」
シタンダ「まず、句読点が少ないっていうのを三谷知恵(塚本今日子役)に言われましたね。例えば三谷の台詞だと <ごめんね、驚いたね、夏目漱石読みたかったね、今何ページ?> っていうところを台本上だと敢えて <ごめんね驚いたね夏目漱石読みたかったね今何ページ?> って書いて、演出でもそのまま言ってもらって。そういうものでテンポを作っていくというような作り方なので。そういう部分はプロの役者さん的にやりにくさとかないかなって不安があるんですよね(笑)」
篠  崎「まさにシタンダワールドのリズムですよね。脚本を書かれている方って相当な気持ち込めて書かれているのでそれは絶対に尊重してっていうのが第一に在りきなんですけど、すごくこの句読点、この言葉じり、言い終わり、ですますの言い方まで大事にして欲しいんだっていう方もおられれば、いやそうじゃなくあくまで本当にラフな設計図のようにこんな感じの世界なんです、ここから先は話をしながら演者がこういう風にしたいっていうのもむしろ聞いて取り入れたくて作っていきたいって方とか、本当色々おられるなって言うのは自分の経験の中で思っていて、勿論何が良い悪いとか全然なくて、その監督のその思いと一緒にこうしたいっていうのに合わせつつ、自分自身もじゃあ何ができるかな、もっとこうかなというところで、せっかくやるんだったらその人とやる上でいいカタチを作っていきたいなと思って毎回脚本とか読ませて頂くんですけど、シタンダ監督の脚本はね私は逆に言いづらいとかが無いと思っていたので意外でした」
シタンダ「あー、そうなんだ!良かった…(笑)」
篠  崎「だからやっぱり長さなのかなと思ったんですけどね(笑)長ゼリフ…3時間じゃないですか今回の作品。単純に長いからそりゃ長かったら台詞量も増えてくるじゃないですか。で、結構会話でリズム作りはるし、テンポとか大事になってくるし、自分の思っている間であけるとあけ過ぎって言われたりとか。となるとテンポアップしてくるとどうしても言葉が噛みがちになってしまう事の難しさってのはあるかもしれないんですけど、読んでて入ってくる入ってこないってところで言うと、凄く入ってくる」
シタンダ「じゃあもう気にせんとこ(笑)」
篠  崎「リズムに関しても最初に『そのママ弾いて(来年公開)』に参加させて頂いた時、最初なのでわからなかったんですけど撮影に参加させて頂くうちに、シタンダ監督と言う方は句読点がすごく重要だ、ちゃんと頭の中の計算の句読点で打ってはるから迷ったらこの句読点通りに喋れば、何がしっくりくるのかみたいなところに導かれるって事がわかったので。勿論自分の思ってる方向性と違うこともあるんですけど、でもなんか凄く入ってきやすい、世界観がわかりやすい」
シタンダ「今回の役は特にそういう変な台詞も多かったと思うので、ちょっとドキドキしてたんですよ(笑)」
篠  崎「なかなかにぶっ飛んでる母親役だったので台詞も勿論難しかったですけど、脚本読んで最初に監督と役についての擦り合わせと確認のお電話でお話した時に、揺れてていいですこの役は、って言ってくださったんですよ」
シタンダ「全然覚えてないです(笑)」
篠  崎「さっきまでAって言ってたことが次の瞬間Bって言っててもいいような、だから笑ってるのに次泣いててもいいくらいの、それくらい振れてても全然いいのでその時に感じたものが正しいと思いますというような事を。あんまり考え込まずでいいですよって言ってくださったと受け取って、じゃあその時感じたものを出していったらいいかなと思ったので安心感を持って挑めたんですけど。でも実際現場で監督に演出付けて頂いたら、私が思っているよりもっと振れてたので(笑)」
シタンダ「でもそうゆうことが出来る隙が今回の明子はすごく多かったと思うんですよ役的に。逆に久遠はそれが出来なかったんですよ、自分が芝居する上で。だから羨ましいなぁって思ってました(笑)自分が言った事覚えてないから、いいなぁこんな事が出来てと思ってたけど僕が言ったんですね(笑)」
篠  崎「監督が言って下さったから私は安心してその船に乗りながら(笑)。だから難しくもあったけど、めちゃくちゃ楽しかったんですよね」
シタンダ「あー。嬉しい。僕は映画を撮り始めた時から、さっきからの繋がりでここはどういう芝居をしないといけないみたいなとこってそこまで意識はしていなくて。例えばそれがワンシーンの中でこう動くなら色々と振り幅を振るとしても調整はいると思うけど、映画だから。映画って断片的じゃないですか。だからそこに意識されるよりはその役がどういう役かっていうのがあった上でもそういう隙があるならば振れるだけ振った方が感じ取りやすい、役として。観てる人のフォーカスが自在になるというか。観客側がこの役に対してどう思うか、このシーンに対してどう思うかというところを感じ取る幅が凄く拡がるんじゃないかなと思っていて。それは僕だけなんで、他の人がどう思っているのかはわからないけど。だからこの映画の中では明子が振り幅を出しやすいだろうなと思ったから台本でも意識してたし、それを雅美さんは形にして頂いてるなと思っていたので」
篠  崎「ありがたいお言葉を」
シタンダ「デモバージョンというか、まだ完成ではないけど仮で作ってる映画本編全部を今僕チェックしているんですが、やっぱり全然乱暴じゃないんですよねそういう意味で言うと振り幅は。逆に言うと久遠がそういうスタンスでいくと違和感を感じたんだろうけど、明子はそれをやったとて破綻しない腕を雅美さんはお持ちなので、だから全然見やすかったというか、そらそうよなってなりますし(笑)」
篠  崎「私の役者としての話とかにもなってくるんですけど、見せ方も大事だし物語がある中でどういう役割なのかっていうところを落とし込む作業も大事だと思うしそれを出来る出来ないとかもあると思うんですけど、そこにばっかり囚われてこう見せようと自分の中で決めてかかると、確かに監督のおっしゃったみたいに一片しか見せようとしていないから深みが見えなくなってしまったりとかはあるんだろうなと思って。素敵な役者さんだったらそこも加味した上で映画での役割とかになってくるんだろうと思うんですけど。こうでないといけないって結構私自身が陥りやすい落とし穴だったりするので、明子に関しても母親だしこのストーリーの中ではこういう立ち位置だしこうでなくちゃってなりかけるところを崩して頂き、演出で自由にして頂いたからこそ、じゃあこうしたいみたいな感じでもっと先にいってみたりとかさせて頂いたからこそのことなんだろうなぁって思いますね」
シタンダ「この間メイキング映像チェックしてて、最初の方の美琴(マネージャー)と明子がリビングで喋るシーンを演出してるメイキングがあって、僕がね絶対そんなシーンじゃないのに演出として<ココ、ちょっとしゃくれれます?> って言ってて(笑)」
篠  崎「意外とね、遠いからね、しゃくれても全然いいくらいなんですよって言ってはって(笑)あははは。そのあと全員で見て笑いながらほんまや意外と遠いからわかんないっすねっとか笑ったりしてね」
シタンダ「そうなんですよね(笑)それでいいし。でもねそこってやっぱ賛否分かれるじゃないですか観た人によって。なんでココでしゃくれてるの?って嫌な人は嫌なスタンスだと思うけど、じゃあココで絶対しゃくれないのか?!って言われたら(笑)」
篠  崎「何の議論してんねん(笑)」
シタンダ「この状況であなたは100%しゃくれない自信はあるのか?(笑)」
篠  崎「人として(笑)」
シタンダ「0.01%としてもしゃくれれる可能性があるものなんだから、しゃくれたバージョンの描写でいいじゃんって思ってしまうんですよね(笑)そこがやっぱり理解して頂ける役者さんじゃないと一緒に仕事はなかなか難しいんじゃないかなとすごく不安なんですけど今後(笑)」
篠  崎「あ、何でしゃくれるんですか?とか(笑)」
シタンダ「あ、やりますけど何でなんですか?とか言われたら何でかはわからんけどってなるじゃないですか(笑)。そのメイキングでもね、僕が<しゃくれれますか?>って言った時に<あ、しゃくれれます!!>って雅美さん(笑)」
篠  崎「ははははは、即答(笑)」
シタンダ「しゃくれれんねや雅美さん、と思って(笑)。でもそれだからこそ出来た明子って役なのかなと思ったりもしてて」
篠  崎「しゃくれたら解るのかなって(笑)なんていうかやってみないとわからないものがあって(笑)しゃくれる形が欲しいって言うよりは、しゃくれるくらいのものが欲しいってことなんだろうなって思って。じゃあこうは?ってのが出ないんだったらまず一回しゃくれてみて、監督の欲しいのはこの空気感ねって解れば違う提案もあるし、もっとしゃくれ加減こうしようとか(笑)」
シタンダ「しゃくれ加減(笑)」
篠  崎「先の話になってくるのかなって思いますよね(笑)」
シタンダ「映像確認したら、確かにいきなりしゃくれてるんですよね(笑)3時間の映画の冒頭、序盤にしゃくれを持ってきたのは僕は正解だったかなと個人的には思ってて(笑)ちょっとそこだけ突出して変なんですよ、そこの明子は。でも後半の振れ幅の布石打ちにもなってるし。ちょっとやり過ぎなくらいが僕好きなところもありますし。ご存知の通り」
篠  崎「存じております(笑)確かにそういう意味では自由に動き回れて振り幅を出せるような役だったんだと改めて思いますね。結構序盤の撮影の頃に、部屋の扉の前で茉奈役の咲紀子ちゃん(秋山)と言い合うシーンで、全然脚本にないのに監督が<じゃあもうコレ横にあるソファーに倒れていっちゃいましょう!>って(笑)。え?脚本には言い合いの台詞くらいでト書きも少なめのシーンだったはずなのに。じゃあ雅美さんもうそのまんまの姿勢で倒れましょう!ってね、頭からね体を硬直状態のままでずるるるる〜と(笑)。あの時にすごい感じましたね。象徴してるなこの役を演じていく上での今回の撮影での方向性というか」
シタンダ「ご迷惑おかけしました(笑)」
篠  崎「いやもうそれがすごい楽しかったんです」
シタンダ「なんかこう…やっぱり羨ましいんですよね」
篠  崎「羨ましい?弾ける役が?」
シタンダ「なんかこう破綻をしてるようでしてないみたいな。全く破綻してないって見えるよりちょっと不安定なぐらいの役やシーンが好きなので。雅美さんのそういう僕が度が過ぎた演出をしたシーンとかを、僕やったら破綻させてしまうんじゃないかなというところを割とちゃんとこう落とし込んでくださっているので、だから安心してしゃくれろ言えるし、硬直状態で倒れろ言えるし、そこがやっぱり今回救われたなと思うんですけど。ていう現場でしたよね、雅美さんと僕は(笑)」
篠  崎「2作続けてご一緒させてもらったので、聞ける、言える、じゃあこれしてみてもいいですか?っていうのとかもやっぱり関係性築いてる分言いやすかったりチャレンジしやすかったりっていうのはありました」

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二つの季節を超えた終わりの見えない現場

篠  崎「今回私が初めてシタンダ監督を知った『或いは。(2019)』という作品にも出演なされていた面々が続々と集結してたのですごく個人的にはワクワクしてました」
シタンダ「例えば笹本健太郎役の菅原一眞とかは、どんなシーンかは言えないけど結構ガッツリした絡みありましたよね?」
篠  崎「そうですね、この上なくガッツリと。まさか同じシーンで共演させて頂けるとは思っていなかったので、すごい楽しませて頂きました。」
シタンダ「どうでした? 一眞は」
篠  崎「その前に何回かお会いしたことはあったんですよね」
シタンダ「そうですよね。『そのママ弾いて』でスタッフで入ってもらってたり、色々手伝ってもらってるから」 
篠  崎「すごくシャイな方。目が合ったのか合ってないのか(笑)目が合う瞬間にすっと避ける感じの。お話ししたいなと思ってこっちが勝手にベラベラ喋りかけるんですけど。そんな感じで合間合間は過ごしてたんですけど。でもなんか演技に対してすごく実直というか一人脚本読んで集中してはる時にでてる雰囲気というか、そういうのとかも誠実な感じが伝わってくるというか。勝手に受け取ってるだけなんですがそういう空気があるなと思っていて。何回かリハするじゃないですか。リハ結構多めのシーンで共演させて頂いたのですけど、リハから本番にかけてラリーをしてくださる方だなと思って。呼吸を合わせるというか。自分一人で作るとかではなくてちゃんと人とキャッチボールをしてくださる方なんだなということを演技している時に1番感じました。」
シタンダ「一眞ね、僕も何作も一緒にやっているので勿論信頼関係はあるんですけど、信頼関係とはまた違う、ずっと一眞に対して好奇心というか興味があって。こういうシチュエーションだとどういうものを返してくるんだろうというようなワクワクが一眞には特にあって、そういう意味でいうと今回あのシーン…」
篠  崎「ですね(笑)」
シタンダ「今回の映画で割と上位にくるくらい大変だったシーンなんですけど、あのタイプの一眞を見たことがなかったので。詳しくは言えないんですけど割と一眞がはっきり声を出すとこあるじゃないですか。雅美さんに対して。<ごめんなさい!>って言うとこ」
篠  崎「ありましたありました」
シタンダ「あそこのあの台詞は多分僕が一眞と何回も芝居したとしても出ないだろうなと。雅美さんとかあの場の空気全部で引き出したものなのかなと。今回は子供と大人のキャストが関係なくゴチャ混ぜになってやる現場だったじゃないですか。そこの化学反応の面白さみたいなのが、一眞も含めみんなに対して4ヶ月間それを楽しませてもらってたなと僕が個人的に。そういう意味でもいい現場だったなとほんとに思うんですけど」
篠  崎「一度合宿みたいになったことあったじゃないですか。遅くまで撮影しなくちゃならない時に監督の家で用意して頂いたカレーをみんなでテーブル囲んで給食みたいに食べて。その時に撮影じゃないから皆さんいつも通りのテンションに戻りはると仲の良いお友達の空気が流れてくるから、そういう時に思いました。わぁ、高校生ってこんな感じだったっけ?って。もう久しく何年も経ってるから覚えてないのもあるし、当時は自分が高校生だからそれを俯瞰では見れないのでなんかわからないんですよね。楽しそうやなって言われてもまぁ別に楽しいけどなんでそんなことわざわざ大人は言ってくるんやろ?とか思ってたんですけど、今その大人の気持ちがわかりました(笑)」
シタンダ「あはは。そうですよね」
篠  崎「大人と子供の狭間ってこういうこと言うんだなって。ワイワイご飯食べながら、俺、カレーに卵入れる派やねん〜!みんな入れる〜?とか」
シタンダ「それ絶対俺やん(笑)」
篠  崎「咲紀子ちゃんはお菓子食べたい言い出すし(笑)。ご飯食べ終わったら撮影ってなってるんですけど、買いに行く時間あるかなとか。監督がちょっと席外して別の打ち合わせしてはる時に小声で言ってたので、私もちょっと、行くんなら今ちゃうか、とか言ってみたり(笑)そしたらみんな私も私もみたいになってきて。そしたら監督帰ってきて、怒るんかなと思ったら、俺のも買ってきて〜!て。あんだけしっかりと演技したりしてる皆さんがお菓子だけでこんなに盛り上がれるんだと思って。そこに大人と子供の狭間を感じたんですよね(笑)」
シタンダ「なんか、すいません(笑)」
篠  崎「いえいえ、楽しかったから。いい勉強になりました(笑)」
シタンダ「今回そういうのも大事にしたかったんですよね。大人の方からしたらもしかしたら迷惑かもしれないけど。あん時ちょっと押してたけどそんなに余裕がないって時でもなかったから、じゃあそれやったらお菓子買ってきてもらおうかな〜みたいな(笑)」
篠  崎「元々シタンダ監督が、時間が押してるからってピリピリ険悪な空気には持っていかないでいてくださる方ですし。柔軟に話が必要な時にはちゃんと時間を取りはるし、何よりすごいのはそれでも撮りもれで終わることがない。凄いなって思うのと不思議な現場だなって思うのと、でもだからこの組にはこの撮影のやり方、カラーってのがある。監督はその中で撮影したいって思いでされている。だったら一回乗らせてもらおうって思いました。『そのママ弾いて』の時は大人の方がメインだったからここまで高校生のチームの方々がおられることってなかったじゃないですか。だからこうやって皆さんが作り上げる空気があるんだったら乗れるところは甘えて乗らせてもらって楽しませてもらおうと思いながら一緒にカレー食べてました(笑)」
シタンダ「ありがとうございます。ご理解頂いて(笑)」
篠  崎「こちらこそありがとうございます。なかなか出来ないですからねこんな経験…」
シタンダ「確かにね(笑)スタッフまでもが高校生っていう(笑)」
篠  崎「そうそうそう」
シタンダ「今回そういう現場もありつつ。例えば一回淡路島行ったじゃないですか。暑い真夏に、朝からみんなで車乗って。僕が熱中症ちゃうかっていうくらい目が虚ろになった時」
篠  崎「あれは多分なってましたね(笑)吐きそうだって(笑)」
シタンダ「ちょっと耐えられへんって(笑)撮影終わってたから良かったですけど…。そうそう、あの日スタッフとしてきてくれていた稲場が、僕がここ最近でみた中で1番楽しそうな顔してたんですよ」
篠  崎「楽しそうでしたね本当に」
シタンダ「やし、そういう、今雅美さんがおっしゃってくださったみたいな子供チームを楽しんで下さってる大人、とは逆で大人とガチガチに触れ合う僕の友達の絵面がすごく面白くて(笑)。今回それもすごく楽しくて。逆の立ち位置というか。稲場も淡路島の時ほんとに楽しそうで、雅美さんと一緒に玉ねぎ買ったりしてましたけど」
篠  崎「そうですそうです買いました。美味しかったです」
シタンダ「それこそ主人公の秋山も、大人がすごい好きなんだろうなって思ったし。僕は今回企画からプロデュース、制作も全部してるけど、この組み合わせにしたのは正解だったとすごく思っていて。1番難易度の低いというかやりやすいやり方で言ったらなるべく大人と子供関わらせずに単体で撮っていくみたいな。大人と子供を混ぜる映画だとしても、あんまりそこを触れ合わせないていうやり方がもしかしたらスケジュール的にも、みんな学校行ってて大人の方は他にも仕事があってていうので、色々と組み合わなかったりするからもしかしたらそのやり方が一番やりやすいのかもしれないけど、今回はもうそこに関してはその不安は捨てて、僕がこういうこと言うのすごい失礼やけど、そんなん関係なくごちゃませにするっていう作り方でいったじゃないですか。だからこそ出たものが自分が予想してた以上に数が凄くて」
篠  崎「はぁぁぁ…」
シタンダ「『そのママ弾いて』は大人の方ばっかりだからこその楽しさがすごくあったんですけど、どちらが上とかではなくてほんとに同じくらいのレベルで今回の現場はまた別の新鮮さ、幸福がめちゃくちゃあって。そこがね特に楽しかったんですよね、僕が(笑)」
篠  崎「やっぱり違うものなんですね。いわゆる子供チームだけで撮ってるのとちょっと大人が関わってるとなると雰囲気はやっぱり違います?」
シタンダ「全然違いますね。どうしても子供だけでやると悪い意味じゃなくて拡がらないところは拡がらないんですよね。やってることが。凄く予想以上のものが撮れるけど、じゃあさらにそのもう一個上ってのじゃなくて、それとは別ジャンルのものを引き出すとしたらそこに自分らより年上の大人の方々が居るからこその心地よい緊張感がないと出ないものが絶対あると思ってて。今回はそういう意味で見たことがないみんなの顔があったので撮れてるものも全然違うと思うし。メイキング映像が今回すごい面白かったんですよね(笑)」
篠  崎「ちょっと楽しみですね」
シタンダ「秋山はそれが顕著に表れたかなと思うし。どうでした? 秋山と親子役でしたけど」
篠  崎「咲紀子ちゃんも凄く柔軟なんだなと思うことが何度もあって。いい意味で力が入ってない感じの、力んでないそのまんまでカメラの前に居る存在感みたいな。そういう意味では語弊を恐れず言うと、嫉妬心みたいなものを感じることがあるくらい、自然なまま。秋山咲紀子ちゃんがそこに立って、演技をしていないということではなくて、ちゃんと邸茉奈で居るんですけど。パチーン!とかで切り替わるのではなくていつの間にかフワァと邸茉奈になってるというか」
シタンダ「あぁちょっと分かるかもしれない」
篠  崎「親子の関係的に茉奈はあんまり返りのよくない娘だったので、殆どがリアクションとか一言返事してくるみたいなのが多かったんですけど。なんかもう、茉奈だし、娘だしっていう感じになっていておのずと親子の空気ができていくというような。役柄的には決して柔らかい役ではなかったと思うんですけれど、芯にある柔らかさみたいなものをあいだあいだに見させてもらってたような気持ちで演技してましたね」
シタンダ「この二人は親子役ってのすごいすんなりきたんですよね。キャスティングの段階で僕は。でも実際芝居をしたらどうなるかってところは100%わかりきってるわけじゃないから、不安ってことよりワクワクしながらクランクインしたけど、確か撮影2日目くらいで親子シーンスタートだったんですよね。言ったらこの映画の軸って基本そこじゃないですか。色々あるけどそこも大事な要素だから。そこがバチっってハマったから。だから全然不安もなかったし、秋山咲希子と篠崎雅美が親子ってなった時に、あ、この映画は大丈夫だなって一発目のシーン撮った時に思ったので、じゃあもうここはあんまり触れずにいこうと」
篠  崎「そうだったんですね」
シタンダ「やり方としてはもっと色々あるじゃないですか、監督としての。だけど空気感の形成は僕が手を出さない方が良いなって思ったので。気がついたら前室でもすごく親子感あったし。二人の共演の最終日に撮ったカレーを食べるシーンあるじゃないですか。あれとか、勝ちですよね。勝ちましたよね?」
篠  崎「おっしゃてる意味がわかるような気がしてます。あれはなんだろ。ハマった?」
シタンダ「そうですよね。まぁ結局この親子の物語のオチというか結末はちょっとズレてるじゃないですか。だけどそれが、絶対そうよね、こうなったら絶対こうなるよね、っていう結末の部分が全然揺るがなかった。このカレーのシーン含め、この後にちょっと出てくるワンシーンあるじゃないですか。この辺りがこの『もしや不愉快な少女』の親子パートの結末にはなるんだけど、この結末の部分が最終しっかりハマったし、前半からの積み上げが凄かったですよね」
篠  崎「そうですね。おっしゃってる通り、前半のうまくいかないとげとげとしてるいい形ではない親子というものの築き上げというか積み上げた先にアレがあるから。前半のそれが無いとああはならない」
シタンダ「ブレてないですよね。流れがあっての最後はあそこっていう。前半からはちょっとスペースというか距離があっての結末じゃないですか。この空白の部分がすごい見えたというか」
篠  崎「うんうん」
シタンダ「それこそさっき言ってた大人と子供が交わった時の化学反応という意味でいうとアレは絶対、まぁシーンのシチュエーションもそうだけど…大人がいないとあんな親子のシーンは撮れないから。でもシチュエーションは置いといたとしての、化学反応がすごい出てたなと思うんですけど」
篠  崎「なるほどぉ…確かにそうだよなぁ。だからその大人側からいうと、子供チームの、さっき言ってた咲紀子ちゃんたちが出す柔らかさみたいなものがないとああにはならないので。おっしゃてることすごくわかります」
シタンダ「雅美さんのクランクアップの日に築地美音とのシーンもありましたよね?田中佳代役の」
篠  崎「あー。はいはいありました」
シタンダ「スタッフで清水皓太郎(里見沢役)に入ってもらったりとか、あの日も子供ばっかりの現場でしたけど。遠足みたいなとこまで行って」
篠  崎「そうでしたね」
シタンダ「築地美音と絡みましたけどいかがでした?(笑)」
篠  崎「ひゃはははは。ざっくりとした(笑)いやぁなんかもう凄い子供の自由さっていうか。さっき監督がおっしゃってたように大人が入ることによってまた違う領域のものが出るってことはあると思うんですけど、子供のチームだったらそこのチームで思ってもいないようなものも出る。ていうのって、これ築地さんのやってはる事とか出しはるものとかすごい代表的に上げられるのかなって。あのー、めちゃくちゃ面白いですよね。あんな風な自由さって必要ですよね。言ってしまえば、出すの怖いし、ましてや初めての現場とか初めてやる人相手には手堅くいっとこうって思いがちだし、多分年齢重ねるごとに責任とか見栄とかプライドとかいろんなものが身を覆い出して、余計に手堅くいきがちになってしまうと思うんですよね。まぁ私はなんですけど。そういう中で築地さんのような、一回カーンと自由に演ってみる。まぁあんまり言わない方がいいのかもですがご本人すごく真面目な方だと思うんです、実直で」
シタンダ「そうですね(笑)」
篠  崎「でもそういうアウトプットの時に自由に演ってみるっていうのは予想外のものを生むし、出してる自分自身が別に面白く思って出してないものがすごく面白かったりとかすごく刺さったりとかする可能性って大事だと思うんです。そういう可能性を残しておく事って。でも自分の身を守ろうとして手堅くやるとその可能性があんまり出せないから見えなくなっていって、自分自身ですらその可能性が何処にあるのかわからなくなる。それを出す有意義さ、大切さみたいなものを築地さんの姿見ててすごく思いました。何より現場が朗らかになるじゃないですか(笑)」
シタンダ「そうなんですよね(笑)あの日のあの現場、いい意味で緊張感ゼロでしたもんね。築地には『或いは。』でも『散ルカモネ』でも変な事してもらってるし。シタンダ組は皆んなそれぞれの魅力があるんですけど。築地にも築地独特の空気ってあって、そこは僕がすごく好きなところで。あんまりね築地本人の感じで作るとかキャスト優先の作り方ってのは好きではないのでそうではないんだけど、築地のシーンを書く時は逆に言うとすごい力がいるんですよね。難しい」
篠  崎「監督は築地さんの魅力をどういう気持ちで書くんですか?この魅力をどうより良く出そうか、なのか、もうちょっと違う今までの作品とは違うアプローチで…」
シタンダ「あ、それはありますよ毎回!前回とはおんなじものを書いても意味がないからってのあるから。逆に言うと、今回もそうやけど、隙をあんまり与えないという、築地に関してのシーンは。特に今回はそれがすごくあって、今回も真面目な役でもないけど真面目なシーンとして書いて、築地がこの隙に何かを入れそうだなってところもなるべく埋めて」
篠  崎「あ、築地さんに対して隙を与えないって事ですね」
シタンダ「そうです。で、現場で築地ともディスカッションしながらじゃあここでこういうの投入してみよっかっていうところをなるべく制限するっていう」
篠  崎「へぇ〜面白い」
シタンダ「そうなんです。ま、あんまりこういう事いうと恥ずかしがるから嫌やけど、『或いは。』とかもふざけた役やったじゃないですか。宇宙人オタクの。あれも実はめっちゃ台本通りなんですよね(笑)アドリブほぼなくて。」
篠  崎「言わないであげて〜」
シタンダ「アドリブほぼなくて、台本きっちりやった上で色々とその人がやる意味っての作っていくやり方が好きなので。ま、これは築地に限らずやけど。築地には特に台本はもうあんまり隙を与えないっていうやり方をしてます。特殊ですよね。これは本当の役者さんとやるとか普通に映画の作り方とはちょっと違うくて、友達と作ってるからこその作り方なのかもしれません。築地に関してはね」
篠  崎「きっとこれ読んでる方からしたら、え?脚本通りで隙を与えないのに自由ってどゆこと?ってなるでしょうね(笑)」
シタンダ「なりますよね多分!」
篠  崎「でも確かにそうなんですよね。されてる事を表現するとこういう言い方になってしまう」
シタンダ「うん、だからそこのシーン観て欲しい!ちゃんと!全部観て欲しいけど特にね」
篠  崎「うんうん」
シタンダ「そういう事が出来る人って意外と少ないから」
篠  崎「元々がないとね。味とか個性とか。しかも個性的であればいいわけでもないですしね。それを持ってはるからこその」
シタンダ「多分、根本的に築地は頭がいいんですよね。そこがやっぱり出てるかなという思いはありますよね。ただ変な事をするとか、ただふざけるとか、ただ面白い事をするとかではなくて、まずは台本に書かれている事をきっちりやる。その上で、そのきっちりやったものに対して何処が面白いのか、何処が肝なのかをちゃんと理解しないといけないじゃないですか根本的に。築地はちゃんと理解する能力があるし、その上で自分がやる意味、自分しか出来ない客観視みたいな事も出来る人だと思います。」
篠  崎「すごく役者としての魅力みたいなところの直結してくるお話ですよね」
シタンダ「そうですよね。そうゆうのが特に強い、築地は。それぞれに皆んな色々ある魅力の中で、築地はそこ、みたいな感じです。そういう築地が雅美さんと絡んでる瞬間が凄い面白くて(笑)」
篠  崎「あははは」
シタンダ「秋山含め、頭のいい3人が田舎の不安定な場所で座って喋ってるシーン…あれ別に変なシーンじゃないじゃないですか、出来上がった映像観ても全然変なシーンじゃない。だけどなんかおかしい、みたいな(笑)そのなんかおかしい、なんかズレてる、ってのがあのシーンは大事なような気がしてて」
篠  崎「あぁぁ、なるほど」
シタンダ「後半戦に入る直前くらいのシーンだから、それまでの積み上げもあるじゃないですか。築地がいない間の。そこの積み上げを知ってる人からするとあの築地とのシーンってちょっとズレがある」
篠  崎「うんうんうん!!」
シタンダ「そのなんか変、なんかズレてるみたいなところが築地は今回表現出来てたし、俺が築地にお願いしたかった部分でもあるし」

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未成年だらけの撮影について

シタンダ「いやぁ、もうとにかく未成年だらけの現場でしたけど(笑)」
篠  崎「ほんとですね」
シタンダ「こういう現場は初めてなんですよね? とにかくいろんな子供と絡んだと思うんですけど」
篠  崎「そうですね。でもなんだろ子供とあんまり思っていないのかもしれないですね。その代表というか筆頭に立ってはるのがシタンダ監督なので(笑)」
シタンダ「いやいや(苦笑)」
篠  崎「シタンダ監督にはどうしても、私はなんかもういけないくらいに大人扱いで喋ってしまう。しっかりしてらっしゃるから、話してる途中にあぁ!てなるんですよ。例えばなんですけど、お酒飲もう!って感じになっても飲めないじゃないですか、未成年だし」
シタンダ「飲めない、飲まないし。」
篠  崎「飲まないですし。それをあれ?飲めないっけ?って気になってしまうくらいのトーンでお話ししてしまっているから、当たり前に17歳なんだって事実わかる時とかにハッて気づいて反省するくらいですね(笑)あまりにもしっかりしてはるから大人扱いしてたごめんなさいって(笑)」
シタンダ「いやいやいやいや(笑)」
篠  崎「他の方にもあんまり子供だと思って話してなくて、やはり現場で一緒に撮影してるからなんだと思うんですけど。一人のキャスト、一人のスタッフとして自分の役職ありながら来てはる人だと思っているので、そこは意外と大人や子供の区別がないというか」
シタンダ「なるほど」
篠  崎「休憩時間とか、オフになった時に子供らしさ、高校生らしさが見えたりして、あ〜そうだそうだっていうような感じだったかなぁ」
シタンダ「そうですね。なんかね、楽しかったですね。基本今回地元で撮ってたので。雅美さんも一回その街でのロケありましたよね。自転車で。」
篠  崎「ありましたね、夏の暑い中電動自転車借りてね。走りましたね。」
シタンダ「ああいう感じなんですよ、基本は。それも経験してくださってるんですもんね、大人の方で唯一。子供だけの空気感ってアレなんですよね」
篠  崎「ふふふふ。爆走、めちゃくちゃ早いですよね(笑)監督がね。電動付自転車で走っててもなかなかのスピード感」
シタンダ「そうなんですよ僕早いんですよ」

シタンダ「そんな感じですけども。いよいよ12月18日より公開ですけども。いかがですか?今の気持ちは」
篠  崎「いやぁ〜なんか。ハラハラドキドキな(笑)」
シタンダ「あはは、そうですよね」
篠  崎「私自身も単純に楽しみな部分があって。全編通してでの、何章何章に分かれてるぐらいいろんな方が出てる中の、茉奈と母親っていうところでなので、意外と外に出ていなかったりするので、他のシーン、監督が演じられた久遠くんのシーンなんかは脚本上でしか知らなかったりするので、どんな風になっているのかって観るのも楽しみですし、またそこに監督の編集と色んな方の音楽が重なっているっていうのを観るっていうのが楽しみです」
シタンダ「ほんとですか。ありがとうございます。僕ももうねドキドキしてるんですよね。やっぱ公開前ってドキドキしますよね」
篠  崎「しますね。吐きそうになりませんか?大丈夫ですか?」
シタンダ「吐きそうにはならないです。もう慣れました(笑)すっごい久しぶりのリリースだわって思ってたら、意外とドラマの最終回が8月1日だったんで4ヶ月くらいしか空いてなかった。と思ったらあんまり何も思わんくなってきて。緊張はあるんですけど。ま、楽しかったから。あとはもう、手の施しようがないじゃないですか公開したら」
篠  崎「そうですね」
シタンダ「そこにワクワクは特になくて。観て下さる方がどう思うんだろう?その興味だけなので。だから早く次の映画が撮りたいですね(笑)」
篠  崎「おぉぉ〜」
シタンダ「決まってるじゃないですか(笑)」
篠  崎「ははは、そうですね」
シタンダ「雅美さんともね、また別の作品でご一緒する予定になってますもんね」
篠  崎「そうですね、ありがたいことです」
シタンダ「いやいやいやこちらこそですよ」
篠  崎「だからそこも楽しみにしつつなんですけど。今、生まれかかっているこの作品がどのような形、どのような空気感に仕上がっているのかそこを観るのが私1番楽しみにしている部分かもしれません」
シタンダ「なるほど。今回その未成年だらけの空気感だった中ですけども、作品自体も未成年のっていうのが凄いテーマになっているんですけども、雅美さんにとってこの映画の中の未成年像ってどうでした?っての最後気になるんですけども」
篠  崎「やっぱり自分が同じ17だった時と比べてみるんですよね私は。これが自分に子供がいる方とかだったら自分のお子さんと重ねたりとかで観るかもしれないけれど、そういう対象がいないとやっぱり自分が同じ年齢だった時どうだったかなってゆうのをみた時に、時代っていうのをやっぱり感じざるを得ないものがあって。スマホとかもあるし情報も得やすい世の中になってるしもっと自由で身動きが取りやすい時代なのかなと思いきや、開けてみたら逆にそれが縛っていてすごく不自由さもあるし、真面目さもあるし、っていうのが私自身が過ごしてた時代と違うところのような気がしましたね」
シタンダ「なるほど。それをね、大人組代表として作ってましたけど」
篠  崎「だからそう不自由さで縛っている側だったりもするっていうところですからね」
シタンダ「この映画は社会批判とかでもないじゃないですか別に。やし、ちょっと言ったらファンタジックなところもあるから。別にファンタジックなシーンがあるわけではないけど、ちょっと嘘なとこもあるわけで。そういうところも含めて、考えるとかじゃないけど、こういうことなのかな?っていうくらいのちょっとした目を通すくらいの感じで一回観て頂けたらなと僕は個人的に思っていて」
篠  崎「ぐっと構えて、とかではなく」
シタンダ「そうですね。僕等未成年はこう思ってるかもしれないよ、っていうくらいの感じで書いたので。だから映画の中で思ってることが全部僕が思ってることっていうわけではないって事だけ先に言っておきたいです(笑)」
篠  崎「ははは、そうですねそうです。フィクションの中で」
シタンダ「映画の中の未成年像もだいぶフィクションのつもりではいるので。そのあたりのいわば素材として観て頂けたらなと思っていますね」
篠  崎「ふんふん」
シタンダ「雅美さんも多分ね思ってはいるの思うんですけど、最終的に純粋なエンターテイメント作品にはなったので(笑)。なんかね、そういうことは含まずにエンタメ作品にはなったので、一回楽しく観て欲しいですね」
篠  崎「あ、そうですね。全体通してで楽しめる部分もあれば、細かに細かにそれこそさっきのシャクレじゃないけど(笑)」
シタンダ「ははは。なるほどね」
篠  崎「そういう部分も散りばめられてる作品かなと思うので、色んな部分でお楽しみ頂けたら嬉しく思います。」
シタンダ「はい。また飲みに行きましょう。飲まんけど」
篠  崎「あはは、そう、監督は飲まんけど。私はビールを飲みます!」


■リリース情報

映 画『もしや不愉快な少女』
 2020年12月18日(金)20:00~
 公式YouTubeチャンネルにてプレミア公開より配信スタート

映 画『そのママ弾いて』
 2021年初夏公開予定

■関連リンク
Twitter(@ndarinta)
Instagram(@tandarinta)


写真・秋山咲紀子
   シタンダリンタ




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