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カレーはあまり作らない

コーヒーの焙煎を始めたのは3年半前、カレーの学校に行ったのは2年半前、オット氏の最後のカレーが1年半前。安心して。わたしは相変わらずコーヒーやスパイスを焙煎してときどきカレーを食べながらおいしく暮らしています。いろんなことがあったなあ。よくがんばった。

カレーの学校に応募したのは春だった。前の年の暮れに折り合いのよくなかった母親を自宅で看取ってひどく疲れて、なにか違うことを始めたかったのよね。なにしろ正月はさんざんだったから。春だぜ、元気だぜ、なんかやろう。

カレーの学校に行き始めてから、それまでそんなに詳しくなかったカレーにどっぷり漬かることになった。それまで「スパイスのカレーは外で食べればいいよ。おいしい店はいっぱいあるし、わたしはジャワカレー中辛が好き」と思いながらジャワカレーにいろいろ加えて悦に入ってたわたしが、ホールスパイスを嗅ぎ、焙煎してまた嗅ぎ、お店のカレーの中にスパイスを探るような日々がやってきた。せっかくカレーの学校にいるならとあちこち食べ歩いて、カレーに乗ってるカサカサがカスリメティという名前でマメ科だっていうことを知ったり、日本の素材だろうが何だろうがカレーになることを知ったり。サバの味噌煮風カレーってなに?不思議すぎる。インド料理をうたう店にモモがあるのはオーナーがネパール人だとか、なんだか今まで知らなかったトリビアに囲まれた。なにしろカレーの学校にはカレーのツワモノがいっぱいいるから。レクチャーを受けて、ゼミ活動して、放課後飲み会に参加して。すごいねえ、おもしろいねえ。仕事場から歩いて行ける大久保に行って食材を買って、ダルバートにはまったりもした。

店を教わり、レトルトカレーを教わり、ごくごくたまには作り。そんなトライは今も続いている。カレー生活を充実させながら、相変わらずカレーはあまり作っていない(もちろん以前よりずっと頻度は増えたけど)。そのかわり、普通の料理にカレーマインドが入り込み、料理がなんだか自由になった。

読み返したらこの文章と同じようなことを書いているなあ。わたしの家庭料理は、名前のつかない不思議なものが前にもまして多くなり、キッチンはますます混とんとしている。

せっかくスパイスがたっぷりキッチンに増えたから、わたしはまたカレーから少し視点をそらして、違う料理に挑戦しよう。多分スパイスクッキーとか。そして、自分の焙煎したコーヒーでおやつタイムを持とう。

カレーの学校はわたしの普段のご飯をちょっと変え、卒業してからのひとりゼミが新たに始まりそう。来年も、わたしはまだカレーの学校の影響の中にいるだろう。(なんか、当時のゼミ活動も復活するらしいよ)

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この文章は、カレーの学校 Advent Calendar 2020に参加するために書いた。冒頭の写真はムルギー・ジョル。これはよく作る。

コーヒーの焙煎機がほしくてコツコツ貯金中。なかなか貯まらないけど、あなたのおかげで一歩近づきます。