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昔、書いていた作品を少しずつ再掲します。気が向けば、新作もUPするかもしれません。
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2021年5月の記事一覧

日向ぼっこしよう

日向ぼっこしよう

ねえ こっちにおいでよ
並んで 壁にもたれて いろんな話をしよう
両ひざを抱えて揺れながら 

のろけ話でも 悪口でも 
苦労話でも 自慢話でも 何でもいいよ
君のこころの中にある パズルのピースを見せて

結局 ひっくり返ってしまって
バラバラになったパズルのピース

どれもいびつで 順序もバラバラで
けっしてキレイなものばかりじゃないけど

そのひとつ一つを 君が大切にしてきたこと 僕は知って

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鳥と船乗り

鳥と船乗り

船乗りが置いていった かごの中の鳥は
まだ小さいのに しゃがれた声でよく鳴いた
その鳴き声が珍しいと
ウワサがウワサを呼んで
毎日、かごの周りは人だかり

ひと声鳴くたびに
「こんなしゃがれた声は聞いたことがない」
と誰かが言い 人だかりが沸いた

しばらく経ったある日
その鳥はぷっつりと鳴くのをやめた
声をかけても 揺らしてみても
まったく声を出さなくなった

人だかりはあっという間に消え
静か

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今日という日を生きよ

こんな風に眠れない夜には
渦の中に置いてきた亡霊たちが目を覚ます

言い捨てた言葉 

のみ込んできた想い

知らないフリしてきたズレ

優しくできなかった誰か

応えることのできなかった期待

忘れていた夢

血すらにじまなくなった傷あと

ケンカ別れしたままの大事な人

見ないフリしてる孤独

どこかに閉じ込めてある欲望

渦の中で目を覚ます亡霊が
私をからめとっていく

うたかたのように浮か

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こころの奥のひだひだ

こころの奥のひだひだ

泣きそうな夜だ
悲しいことなんて ひとつもないのに
こころの奥のひだひだが
かすかにふるえる 泣きそうな夜だ

夕焼けのグラデーションに ふるえ
月の透明感に ふるえ
失った恋の記憶に ふるえ
自分の小ささに ふるえ
愛しいひとたちの奇跡に ふるえる

泣きそうな夜をうむ
こころの奥のひだひだ

それは そのまま
私が生きてるという証

路(みち)なかば

路(みち)なかば

先に歩みを進めた者は 彼が歩むだろう道を知っている
後をついてくる者は 彼が指し示そうとする道を いまだに知らない
知っている者と 知らない者は どうやって分かり合えばいいのだろう
同じところには立つことができないというのに

理解の雨が降るには どれだけの涙が必要なんだろう

乾いた荒野に立ち 自分が歩んできた道を振り返る
乾いているのは道だけじゃない
そこにある 私のこころも また

知らない

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閉じたカラダ 折れたこころ

閉じたカラダ 折れたこころ

君は傷ついているのだ、と言われて
初めて心が折れた。

そうか。
私は傷ついていたのか。
知らなかった、ってか気づいてなかった。
胸から血をだらだら流しながら、笑顔を作っていたのかと愕然とした。

怒りを認めて、腹を立てればいい。
悲しみを認めて、大声で泣けばいい。

あなたはそんな風に言った。
それはよく分かる。
けれど。

自分が傷ついているのだと知ってしまったら、痛みを引き受けなければならな

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