デイケアのカルテ(実施記録)の書き方について
デイケアのカルテ(実施記録)の書き方について
「デイケアの中のひとが語る、精神科まわりのあれこれ」#109
精神科デイケアで働いていた(退職予定)心理士が、精神科医療や心理支援についてあれこれ語る大人気シリーズ。
これまでに、いろいろな観点から記事を書いてきましたが、そういえば「記録」については触れていなかったので、改めて記してみます。
1.デイケアスタッフも当然、カルテを書く!
医療機関(開設者)は、カルテを作成し保存することが、法律(医療法)で義務づけられています。今日のチーム医療では、さまざまな診療部門の様々な立場のスタッフが患者様に関わり、それぞれの立場からカルテを書きます。デイケア部門も、リハビリテーションや生活支援の立場から、カルテを記載します。
2.カルテの書き方は、ある程度決まっている
カルテは“ただ書けばいい”というものではなく、適切な書き方があります。特に、診療の補助業務として、患者様のケアの大部分を実質的に担っている看護部門では、カルテ記載の様式がある程度定式化されています。
その中でも有名なものが「SOAP」で、S(患者様の主訴)、O(客観情報)、A(アセスメント)、P(介入のプラン(と実際の介入))の順に、記載していくものです(SOAP自体は、看護だけでなく、医師やその他診療部門が共通に使用できる様式です)。
「皮膚の痒みと湿疹の訴えあり(S)、上半身に紅斑、左右差なし。先週抗精神病薬加剤している(O)。薬疹の可能性あり(A)抗精神病薬カットし様子みる。症状憎悪には速やかに連絡するよう伝える(P)。」こんな感じになります。
3.デイケアのカルテ(実施記録)の書き方は、難しい
ところで、デイケアのカルテ(実施記録)は、書き方が難しいのです。よくあるパターンが、“小学校の絵日記”方式のカルテ(出来事と行動の描写)になってしまうこと。
先日、デイケアの活動で映画「ボヘミアン・ラプソディー」を観た、と書きましたが、この時の実施記録のよくあるパターンが、「10人ほどの小グループで、映画鑑賞をした。笑い声をあげ楽し気に見ていた」といった感じですかね。
デイケアでは、集団での活動に参加していただくこと自体が治療なので、その時の患者様のご様子(出来事と行動)を描写することはよしとして、せめてアセスメントと、今後のリハビリへの示唆を書けると、カルテの質はぐっとあがります。
「10人ほどの小グループで、映画鑑賞(ボヘミアン・ラプソディー)を行う。大人数のスポーツの時のような緊張感は薄く、笑い声をあげ楽しまれている。少人数の受け身の活動(コーラスなど)への参加を促すとよいかもしれない」といった感じ。
患者様のカルテは、患者様ごとに集約されていて、デイケア部門の記載を、他の部門(医師など)も閲覧します。その時に、カルテが“小学校の絵日記”風だと、恥ずかしいですよ。よりよいカルテ記載のための工夫と努力が必要なように思います。
(おわり)
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