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【落選】創作読み切り「こわれもの」

 これは私が某少女系出版社に持ち込み、賞に送ったものの落選した漫画だ。正直全ページ晒すのは顔を覆って叫びたくなるほど恥ずかしい。

しかし同じように「漫画を持ち込みたいけど勇気が出ない」と思っている方や、投稿をしている方、物語を書いている方にとって何か一つでも有益な情報になればと思い、この場に出すことにした。

ついでに「どの辺がダメだったのか」という編集さんからの指摘や、私自身が改めて思う「もっとこうしたらよかったのではないか」という改善ポイントも書いていく。

・「こわれもの」34ページ


END


ここまで読んで下さって本当にありがとうございます。

…さて、何から書こうか困ったが、とりあえずまずは、


「どんだけ設定詰め込むねん」


という突っ込みだ。

「AI×陶芸」を目指したものの、両方見事に中途半端。さらにそこに「恋愛要素」まで入り込んでくるから話がとっ散らかっている。

持ち込んだ先でもまず言われたのは、「テーマつめこみすぎ」。

特にAIモノは「ロボットが社会にどのように溶け込んでいるのか」という世界観の説明が肝になってくるが、そこをおざなりにしてあれやこれやと入れすぎたせいで、全体の消化不良感が否めない。的確な指摘すぎてぐうの音も出なかった。

・持ち込みで言われたこと


すごく分かりやすいと思った編集さんの説明に、

「読み切り漫画では、『一つの大きな出来事』か『一人の大きな感情』しか描けない」

というものがあった。

この話には大きな出来事が二つある。

一つは「AI(人工物)が陶芸(自然物)と出会う」ことで、二つ目が「主人公と自我に目覚めたAIのラブストーリー」だ。

個人的には、この二つを両立させようとしたのが無謀だったように思う。

どちらもそれなりの重みがあるテーマだけに、作品の中で二つを掛け合わせるのは難しい。

・改めて作品を考える


 今もう一度ストーリーを考え直すとしたら、「ラブストーリー」は確実に削る。「AIと陶芸の出会い」に重点を置き、「機械と陶芸の温もり」の対比テーマを前面に押し出した方がいい。雰囲気も日常系にして、陶芸を知っていくうちに少しずつ人間らしくなっていくAIの話みたいな感じで。

何なら二十歳前後に設定していたヒロインの年齢も大幅に引き下げても面白いかもしれない。「陶芸おじさんと幼女ロボット」とか。字面だけ見ると非常に不健全な香りがしてならないが…


そもそもこの話を思い付いたのは、「機械と陶芸の温もり」が共存している風景を見たからだった。

私の地元である愛知県には、常滑(とこなめ)市という町がある。

知多半島の真ん中、中部国際空港を有する海に面した町だ。最近はコストコやイオンモールなどの巨大商業施設ができて中々賑わっている。IR法案成立の際にはカジノ誘致の候補地にもなっていた。


その一方で、陶芸師が多く集まり、手作りの焼き物を作る昔ながらの伝統が息づく町でもある。

赤土色が特徴的な「常滑焼」は県内のみならず全国的にも有名だ。

海から少し離れた高台には様々な職人さんの工房・お店が所狭しと並び、なんとも言えないのどかな雰囲気を作り出している。私は地元に帰ると必ずここを散歩していた。


磯の香りと陶器。近くの飛行場から飛び立つ飛行機のかしましい音。

「陶芸と飛行機ってなんかアンバランスで面白いな」

ここから何か物語を作れないかと思ったのがはじまりだった。飛行機→機械→じゃあAIじゃね?という風に決まった。そのことを思うとやはりテーマは「機械と陶芸の温もり」一つに絞った方がよかったわけで。

いっそがっつり常滑を舞台にしても面白そうだ。新感覚ご当地AI陶芸漫画。

…と思ったがこれはこれで別の方向に詰め込みすぎかもしれない。ストーリーって難しい。


その他にも編集さんには、

「引きの絵が雑」「描き込みすぎて見にくい」「1ページのコマ数多すぎ」

等々アドバイスをいただいたが、とにかくまずはストーリーが最大の課題だと感じた。

自分が一番伝えたいこと、大きなテーマを一つ明確にして、そこに向かって物語を書いていく。

それを意識するだけで話は幾分か読みやすくなるのではないか。


細かい課題はまだまだ山積みだが、たくさん悩みながらこれからも自分なりに漫画を描き続けよう思う。

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