大自然の命のドラマ・・小鮎の遡上を追いかけた先で発見した「食物連鎖」の成り立ちに感動したお話

夏の猛烈な暑さからようやく解放された秋晴れの広がるシルバーウィークの連休に、滋賀県にある「マキノピックランド」目当てにお出かけしたときの話です。

自然と共生されている方にとっては珍しくもない話なのかも?と思いつつ、都会に住む私にとっては新鮮な発見かつ、感動できた貴重な体験でした。

今回訪れた場所は、北側が自然広がる雄大な山の景色、南側は美しい琵琶湖の湖岸が広がる景色に囲まれた場所で、湖岸はキャンプ地としても人気の場所です。

マキノピックランドは、山側にある「メタセコイア」が果てしなく連なる美しい景色を醸し出す高原にあり、美しさとさわやかさを求めて観光客が多く訪れる場所です。

反対側の湖岸側では、コロナ騒ぎも少し落ち着きつつある中での連休ということもあって、湖岸にはあちこちの地名のナンバーの車が停められ、たくさんのテントが立てられる光景が広がっていました。

マキノピックランドもコロナ前のかつてのにぎわいを取り戻しつつある光景が。

というわけで、JRマキノ駅を降りる人たちも想像していたより多い状況でした。

マキノピックランドに向かうのに、駅前からバスが出ているのですが・・・

何回か訪れるうちに、この地は「目的地に向かう過程の大自然を味わうのが醍醐味である」ということに気づいたので、最近はレンタサイクルを借りてマキノ駅周辺を巡る・・・のがメインシナリオになっています。

半径100メートル四方に人がいない・・・という開放感を味わえる、私にとっては貴重な場所なのです。(笑)

さてさて、今回は・・・?

・・・

大自然のさわやかさを求める人が思ったより多かった結果・・・

JRマキノ駅を降りて改札を出たところに、レンタサイクルがあるのでそれを借りて、さわやかな秋晴れを満喫するぞーー!と窓口に行くと・・・

まさかの「ゴメンね~今日は全部貸し出し中なのよ」という返事が。

「うわマジか・・・」と一瞬の動揺のあと、

・・・以前訪れたとき、マキノピックランドまでは体感距離で約3キロ弱??

というわけで、覚悟を決めて歩くことにしました。

時刻はお昼の12時。ほどよくお腹も空いてきて・・・

マキノ高原で大自然のさわやかさを堪能しながら食べるお弁当は至福!ということで、大阪駅でお弁当を買ってマキノピックランドで食べてから湖岸を散策する、というコースを考えていたのですが、

歩いてるうちにお腹ペコペコになるわコレ、というわけで、買ったお弁当は、歩いて10分ぐらいで着く湖岸を眺めながら食べることに。

・・・結果的には、この判断のおかげで大自然の命のドラマにめぐり合うことができたのです。何が幸いするのかわからないものだな・・・と。

・・・

湖岸に着いてみると・・・

今までに見たこともないほどのキャンプ場の賑わい・・・

ワンちゃんまでいっしょに家族総出で琵琶湖で泳ぐ姿、思い思いにくつろぐそれぞれのテント内の姿、の先に、無数の「白サギ?」が群がる景色が。

微笑ましい景色に和む気持ちの一方で、ひとり優雅にお弁当を食べる場所どうしよ・・・という感じになってしまったので、ひとまず湖岸を歩きながら、絶好のスポットを探すことに。

そうして歩くこと10分、いつもは誰もいない、人気のない中で鷹の鳴き声が美しく響くポイントである、琵琶湖に注ぐ知内川の河口部分に辿り着くと・・・

そこにも数々のテントが。鷹の鳴き声が響かないのもこの人気のせい・・?と感じつつも、これ以上歩き回っても絶好のお弁当スポットは見つからないかも・・・?と思いつつ、川に近づいてみると・・・

・・・ピシャン、・・・ピシャン、・・・

ん?魚がなんか飛び跳ねてる??

・・・これって、は、初めて見た!!魚の遡上ってやつ!

なんとなく魚臭いけど、ここでお弁当食べるか!

・・・

お弁当を食べ終わった後で目にした、魚たちの生きる戦いの姿

自然の空気を感じながら食べるお弁当って、やっぱり美味しい!!

・・・実感しながらも、早く食べ終わってお魚さんの姿が見たい!と珍しく逸る気持ちが。

というわけで、じっくり味わうのもソコソコに、そそくさと食べ終わったお弁当箱を袋にしまって川沿いを覗いてみると・・・

え??すごい数・・・

川一面に、流れに逆らって進もうとする無数の小鮎たちの黒い姿が。

そしてその傍らで、「力尽きて死んでしまった」小鮎の銀色に光る身体が、上流からの流れに乗って流れ着いてくる姿が。

目にした瞬間、切なさと同時に強烈に沸き起こった「頑張れ」のエールの気持ち。

おりしもこの日は風が強く、それも意地悪にも川上から川下へ向かって吹きつけるため、川の流れが速く、眺めていると1分間で1メートルとか進むのがやっと・・・という感じに。

全身の力を振り絞って前に向かってジャンプしても、着地すると川の流れにもっていかれそうになる始末。

・・・それだけでなく、川の真ん中に島ができている部分など、ところどころで急流になっている場所もあり、そこでは無数の小鮎たちが「どうやって乗り越えよう・・・」と、立ち往生している姿が。

・・・そんな障害だらけの川を、「産卵」という自らの運命を背負って、小さな命が全身全霊を賭けた、生きようとする、前に進もうとする姿に感化されて、小鮎たちの進む先を感じてみたく、自らも川沿いをその足で歩き進めてみることに。

おそらく3キロぐらいは歩きました。

・・・

人気のない川沿いを40分歩き続けて・・・

どのぐらい人気がないかというと・・・

画像1

コレが半径100メートルに人がいない風景です。(笑)

左手側に川が流れています。途切れることのない、小鮎たちの姿も。あの数々の難所、どうやって乗り越えたんだろう・・?

・・・と、さらに歩き続けていくと・・・

橋の上から見える川の姿を見たときに・・・

画像2

スマホの画面越しにでもわかるほどの激流。真ん中にはかすかに渦巻きの姿まで。

中央左の湾になっているところに、「これどうやって進もう・・・」と、困ってしまった小鮎たちがたくさん集まってしまっていました。上から見ていても、手助けしてあげたくなるぐらい厳しそうな状況・・・

なのに、それでもいったいどうやって越えたのか、激流を越えて先に進む小鮎たちの姿も。

思わず心の中で「頑張れ」

・・・と、橋を振り返ると、川の先に無数の「白い姿」が。

・・・

振り返った先にあった「感動」の瞬間

・・・ん?何やろあれ??

橋の上の、車道を隔てた先にかすかに見える、無数の「白い姿」が。川面に集まっている・・・

ピンとこないまま、車道を越えるために横断歩道まで歩く中で・・・

「ひょっとして・・・」

その「疑惑」を確かめるべく、足を速めてその場に向かう間・・・

あちこちで佇む「白サギ」の姿を目にして、疑惑が確信に。

小さな身体のまま、全力を振り絞って障害を乗り越えてここまでやってきた小鮎たち。あれだけ命を振り絞って、辿り着いた先にこの結末なんか・・・

歩きながら、ただただこみあげてくる「やるせなさ」の感情。これも大自然の掟というか、生命の営みの宿命なんだな・・・と思いつつ、その残酷な営みも学ぶべきことなのだろう・・・という気持ちに。

向こうから寄ってくる「エサ」を前に、喜んで食べる白サギたちの群れ。小鮎たちはこうして食べられていくんだ・・・と思いながら、その場面を残すべく、スマホを片手に、シャッターチャンスを捉えに現場に近づいたまさにそのとき・・・

私の目の前を横切る、一羽の「鷹」の姿が。

刹那の瞬間、それまで食べることに夢中だった白サギたちがあわてて逃げまどう場面に早変わり。逃げ遅れ気味の白サギも、必死で羽を広げて飛ぼうとする姿が。

・・・ところが。

そんな白サギたちを横目に、「鷹」は後を追おうともせず。

・・・「狩り」じゃなかったのかな??

白サギたちが飛び去った後、それをまるで確認するかのようなタイミングで再び優雅に飛び去っていく一羽の「鷹」。

静寂を取り戻した川面では、命を輝かせる小鮎たちの飛び跳ねる姿が再び。そのたくましい姿に、しばしの間心を奪われ・・・

「強い者が弱い者を食べる」ことしか知らなかった食物連鎖の奥深い営みやそれぞれの生きる姿に、心底感動を覚えました・・・。

「鷹」カッコええ~~!!

・・・

食物連鎖の頂点は、「無自覚にバランスを守る」役目を持っているのかも?

心底驚いたのは、「狩り」をしないまま白サギたちを追い払った「鷹」の持っている(かもしれない)役目なんです。

あのまま鷹が現れなければ、川面に群がっていた白サギたちだけでなく、まわりを佇んでいた白サギたちもまた、このエサ場に群がって、小鮎たちは食べつくされてしまうかもしれないな・・・と。

(全ての白サギが群がらずに、佇んでいる白サギが多いのも、きっと鷹を警戒して、自分たちが全滅しないための営みなんでしょうね・・・そうすることで、結果的に小鮎の食べ尽くしの防止にも)

・・・そうすると、来年を迎えた白サギたちは、「食べ物を得られなくなる」可能性が。

そうして白サギが飢えてしまうと、その次の年には鷹自身が「食べ物を得られなくなる」ことで飢えてしまう可能性が?

逆に、川の障害がなく、白サギという天敵がいなくなることで、小鮎たちが簡単に遡上できてしまって無数に増えてしまうと、生態系のバランスをがまたどこかで崩れて、小鮎たちもそのうち生きていけなくなる可能性も?

生き物たちが行き過ぎた増え方や行動につながることを未然に防ぐ役割を鷹が担っているのかも・・・?

そうすることで、全ての生き物の営みが持続可能に・・・

・・・

そういったことに思いを馳せながら、優雅に上空を飛ぶ鷹の姿に改めて目をやると・・・

食物連鎖の頂点に立つ鷹の目には、美しい自然を背景に、無自覚なまま「バランスを壊す存在」を探す景色が見えているのかな・・・?

そんなふうに思いながら、本当に不思議な感覚に包まれつつ、その足で「マキノピックランド」へ向かった一日でした。

この日は、完全にこの体験がメジャーで、マキノピックランド巡りなんかはおまけになる感じでしたが、

とても貴重な学びを得られる、素晴らしい一日でした。

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