うつになってタクシードライバーを辞めた話2 仕事~うつ編

前回の続きです。
これはあくまで私の感想です。


・ドキドキのドライバーデビュー

ドキドキの卒業試験も終え、無事研修所から出て
営業所に配属されたのですが。
この時、世間では新型コロナウィルスが日本に上陸し、徐々に感染者が増えつつある…そんな状況でした。

営業所でも少しづつ売り上げが落ち、ピリピリし始めている頃の配属でした。

「SARSの時も何とかなったし大丈夫でしょう」と軽く見ていた私は
(今思えばそれどころではなかったのかも…)
初めての仕事に出ました。

初めてのお客様…。
近場でお願いしますと祈りながら乗せると、なんと神奈川県のロング。
本来なら喜ぶべきでしたが、私にとってはヒヤヒヤものでした。

ほぼ役に立たないカーナビを一応入れさせていただいて出発したのですが、
「お金で時間を買ってるんですからね」など勉強になることも言っていただいたのですが、少々無茶なことも言ってくるんです。
(嫌すぎてもうほとんど覚えてなかった、これはこれでいいか)
いろいろ教わりながらなんとか目的地にまで着きました。

みんなこんな思いをしながら頑張ったんだと鼓舞していました。
正直もう帰りたかったです。

その後も多くのお客様を安全に送り届けていました。
「黄色は止まるな」と言われれば別のお客様には「黄色は止まれ」と言われ…。
その都度聞くわけにはいかないし、お客様に対してどんどん弱気になっていく私なのでした。

・緊急事態宣言と減っていく売上

遂に日本もコロナ禍と呼ばれる状況に陥り、緊急事態宣言が発せられました。
それにより売り上げは一気に落ちました。
終わりの見えないコロナ禍…
同期のライングループでも退職する人がちらほら…。

「そろそろ底をついただろう」と上司が言うと数日後には売上低下を何度も繰り返した。
営業所にも感染した人が増える。

走っているタクシーを減らすということで隔週勤務となり、
私は一応頑張って仕事を続けていましたが、それに合わせお客様も減り困っていました。

コロナ禍に入って皆さん明らかにピリピリしていました。
(この時芸能人の方も乗せましたが、その人もかなりピリピリしていました、悪い人ではありませんでしたがオーラが怖過ぎて激励の言葉すらもかけられませんでした。)

今までは10人に1人くらいのペースだった少し変わったお客様も3人に1人ほどのペースに増え、全部は言えないけどいろいろとひどいことを言われる機会が増えました。
いい人ももちろんいるんだけど、みんなテレワークしてて出てこないのよ。

カバン投げ込んできて開口一番「交番」とか…どこのよ?
聞いたら結局交番じゃなかったしどういうことよ。

コロナ禍でトランクへの荷物の積み下ろしの手伝いをお断りしていた時、
それを知らないお客様がスーツケースをトランクに積もうとして、もう一人の人が積んでくれたのだが、
荷物の持ち主が車に乗り込むと「君の仕事だからね」と言ってきた。
私は「申し訳ありません、感染防止のため現在トランクサービスをお断りしておりまして」と張り紙を指して説明すると舌打ちをされた。
その後行き先を尋ねると意地悪をされた。
「まぁまぁ」ともう一人の人がフォローしてくれて詳しく教えてくれたのだが。

挙句には「道が分からないところを走るな、迷惑だ」などとどうしようもないことを言ってくる輩も…。
言いたいことは分かるけど仕方ないじゃない、ちゃんとわからなきゃ聞くし、調べもするよ?
ちなみにこの時はちゃんと道を間違えずに着いたのに渋滞してたから仕方ない(迂回出来たらもちろんするよ)のに遅いなどとぐちぐち文句言われて、めんどくさかったので自腹切りましたよ。

後にこの事を上司に相談してみたけど、「みんな最初は知らない道を走るからねぇ」って言ってたし理不尽だよね…。

ハンドルを握っているのは私だ、やろうと思えばお前らなんて……
これだけは忘れないでいただきたい。

自分が勉強不足だからいけないのもあるってのは分かってる、でも毎回そんなことを言われなきゃいけないのかと、そんな気持ちになるのが増えていきました。

ちなみに言い訳ではないけど、できない人とは思われたくなかったから、その日のトップの売上持って帰った日もあった。

・頭がぼーっとしてきた

ある日の事、いつも通り運転しているといつも走っている道で信号無視をしてしまった。
幸い、小さな道で交差するのは横断歩道のみで人もいなかったので、何も起きなかったのだが、「これはまずいと」なってその日は帰りました。

それ以降、頭がぼーっとすることが増えて、人気のない道で仮眠をとることが増えた。

朝もいつも起きる時間の2時間前に起きてしまうようになった。

どんなお客様にもビクビクする様になってしまった。

何もないのに泣き出してしまったり、お客様が手を上げているのを見るとドキッとしてしまうようになってしまった。

「次は何を言われるのだろう……」

人が完全に怖くなっていた。

(これは4年経った今でもそうで、道を車で走っていると自分の後ろや前のタクシーに手を挙げたのに自分だと思ってドキッとしてしまう)

このままどこか消えちゃおうかなとか思ったりした。

ずっと皆には愚痴る程度で隠していたが、ある時酷い耳鳴りとめまいが起こり、さすがに医者に行けと妻に言われた。
(この頃には寝つきも悪くなり、1時間おきに目が覚め、日の出とほぼ同時に完全に目が覚めてしまっていた)

医者に行ってみると案の定、重度のうつ病と不眠症と診断された。
こうなるまでいかなかったのは自分では認めたくなかったんだろう。

・うつ病と診断されて…

うつ病と診断されて、今にも吐きそうな気持を抑えて営業所へ行き、診断書を見せた。
いきなり退職と言うわけにはいかなかったのか休職ということになった。

その後、医師と相談し、薬は使わずに漢方とカウンセリングで治療しましょうということになった。

不眠と心配に効く漢方薬をもらい、カウンセラーさんに話を聞いてもらい、
不眠治療専門の先生に眠れる方法を伝授してもらった。

財布が吹き飛んだ。
1回1万円程するのだ。
恐ろしい。

数か月後、改めて退職を申し出て退職をした。

その後…

退職後、少しづつうつと不眠の症状が改善してきたので、先生に今回まででと元気なふりをして伝えた。
このままではお金が足りないのでね。

職場に関しては以前の上司に「戻っておいでよ」と言われ、戻らせて貰った。
この上司にはとても感謝している。
(彼も後にうつ病で休職してしまうのだが……)


あれから4年、私は今も浮き沈みを繰り返しています。
沈んだ時は処方されていた漢方と同じ物を買って飲んでいます。
今も初対面の人と話すときは身構えてしまいます。


長くなってしまいましたが、これが私がうつになってタクシードライバーを辞めた話です。

あくまでも私が向いてなかっただけの話です。
これくらいへっちゃらだろうという人ももちろんいるでしょう。
コロナ禍というタイミングもあったでしょう。
私がそれに耐えられなかっただけです。

書いてたらめまいがしてきたのでもう書きません。
勝手に書いておいて何言ってるんだろうね、でもずっと話せなかったから悔しくて
どこかに書きたかったみたいです。

最後に、
かなりの長文でしたが、ここまで読んでくださってありがとうございました。

コロナ禍が明けて、ドライバーさんの環境が少しでも良くなっていることを祈ります。



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