親子ワーケーションはいいぞin隠岐の島(後)
本記事は2019年に母子で隠岐諸島ワーケーションへ行き、どっぷりと隠岐の島中毒になったライターの体験談である。
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隠岐の島3日目:まったりと日常を感じる
3日目はまる1日隠岐の島に滞在。隠岐諸島では3日目だが、実は私たち親子はここに至るまで累計7日の旅をしていたので、今日は何もしないデーとする。(福岡〜松江の旅記事もいずれ書こうと思う)
佃屋から徒歩5分でいける中村海水浴場で水遊び。9月の平日とあって、利用者は誰もいない。
この日は水温が高く、9月の山陰でも問題なく海水浴を楽しめた。
昼まで遊んだ後は「さざえ村」でお昼をいただく。平日の昼間にもかかわらずお店は大繁盛だった。利用者は地元客、観光客が1対1の割合だろうか。
隠岐の島は「貝の国」と自称するほど、取れる貝の種類も量も豊富だ。特にサザエ推しらしく、サザエご飯やサザエカレーなど、サザエを使った料理を扱う店をよくみかけた。
さざえ村の名物はサザエ丼。卵のふわふわとサザエのコリコリが癖になる。だしにあご(トビウオ)を使った上品な味なのでいくらでも入る。ここでも息子にナシをいただいてしまった。隠岐諸島のマダムはみんな子どもにやさしい。このノリは日本というより台湾や韓国などを思い出した。
子連れだと人の輪が広がりやすいもので、観光中の老夫婦と意気投合。これから近くの「岩倉の乳房杉」という巨木を見に行くらしく、一緒にどうかとお誘いをうける。ご好意に甘え、ご夫婦の車に同乗して現地へ向った。
岩倉の乳房杉は樹齢約800年の古杉。高さ30m、根まわりが約16mあり、幹の途中から15に枝分かれしている巨木である。周囲に気が生い茂っているので、神社で見た杉よりも神秘的に感じる。
乳房杉の周辺を軽く散策したのち、再びさざえ村に戻り夫婦と別れた。老夫婦のお名前も連絡先も知らない。こうした一期一会の関係が旅の醍醐味だと思うし、いろんな大人と触れ合えて子どもの成長にもつながると思う。
(くれぐれも知らない人の車に乗るときはご注意を!)
古民家の縁側で一人時間を過ごす幸せ
佃屋に戻った後、息子が珍しく昼寝した。つかの間のフリータイムに縁側でお仕事。外は30℃を超える暑さだが古民家は風通しがよく、あまり不快感を感じない。音楽を聞きながら作業をしたら思いのほか没頭できた。
ふと、足元をみると……
散歩中のカニを発見。実に平和だ。今日は海水浴と昼寝しかしていないがワーケーションこそ、こんな日が必要だと思う。観光ばかり入れていたら仕事が進まない。
ひと段落した後、私も息子が起きるまで昼寝。息子が起きてからは最寄りの「コンビニ」に買い物がてらお散歩に出かける。
佃屋そばの水原商店は、食品も薬もガソリンも取り扱うまさに「コンビニエンス(=便利)」なストアだ。24時間営業?なにそれ?
水原商店でおやつと飲み物を購入し、またポテポテと道を歩く。ただ散歩して、買い食いしているだけの行為が特別に見えて楽しい。あぁ、私はいま島の生活の一部になっているな、と思える。
佃屋最後の夜は「豪華貝づくし宴会」
夕方、タローくんが帰宅。今日は来客が多いとのことで、宮本さんもヘルパーさんも料理に取り掛かっている。その間タローくんと息子を私が見ることになった。食卓の準備が始まったのであまり暴れ回るわけにはいかない。ということで、束の間のYouTubeタイムが発動。
今日もケンカが勃発するか?と思っていたのだけれど、意外にも今日の二人は仲がいい。ちゃんと「順番」で観たい動画を選んでいた。下手に大人が割って入らず、子どもだけの方が秩序が守られるのかもしれない。
そうして無事出来上がった夕食は「貝づくし」
刺身に、煮付けに、炒め物…… さまざまな方法で調理された貝が所狭しとテーブルにならぶ。確かに今日の食卓は豪華だ。この食卓を自治体が作るパンフレットに載せるらしく、役場の方や代理店の方も同席。いいなぁ、私もそんなお仕事がしたいです(直球)
さらに、宮本さんとヘルパーさんの知り合い二人も参加し、計9名のとても賑やかな食卓になった。みなさん子ども好きなので、息子とタローくんと遊んでくれてありがたい。
男性ってなんでこんなに全力で遊んでくれるんだろうね。広い古民家だし近隣も気にしなくていいので、子どもたちが思う存分走り回れる。これってとても贅沢な環境だ。
キッズ二人とも力一杯走り回って早々に撃沈……するわけもなく、むしろ興奮してなかなか寝付かなかった。仕方ないのでこの日の晩酌タイムは諦め息子と一緒に眠ることにする。こうして私の隠岐の島ライフ最終日は、やや消化不良気味に終わったのだった。
隠岐の島ゲストハウス佃屋:
住所:島根県隠岐郡隠岐の島町中村152-1
ロケーション:★★★★★(海近い) 食事:★★★★★★★
利便性:★★☆☆☆ 清潔さ:★★★★☆
Wi-Fi:あり。ただし、電波が悪いことがあった。
5段階評価のはずが、食事が7点くらいついてるのはバグじゃないです。毎日メニュー違うし、味いいし。朝夜セットが最高だったので7点!利便性はバス停が近いが、基本車がないと何もできないので2点。
隠岐の島4日目:すっかり隠岐の島中毒になる
4日目の朝。飛行機は10時台だが、中村から出ているバスが7:24のものしかないため、早起きして朝食をいただく。もうここを離れてしまうんだなぁ、という寂しさから、自然と口数が減ってしまった。
もっと色々話したいこともあったのだけど、バスに間に合わせなければならないので黙々と朝食を終える。ヘルパーさんにバス停まで荷物を運んでいただき、見送られて出発した。
途中2時間ほどの乗り換え時間をはさみつつ、隠岐の島空港へ到着。ここからまずは出雲空港へ飛び、さらに羽田行きの飛行機に乗り換えて帰る。
この隠岐→出雲間の飛行機がなんとプロペラ機。我が家は幼児を連れているので他のお客より先に乗せてくださった。誰もいない空港を飛行機まで歩いて移動するとなんだかセレブになったようだ。
わずか40分程度の旅なのだが、悪天候に加えプロペラ機だったのでよく揺れた。機内でぼんやりと雷雨を眺めながら島への想いを馳せる。私はこうして日常に戻って行くが、島のあの暮らしは続いて行く。
なんだかファンタジーの世界から現実世界に戻るようだなぁ、などとしんみりしながらすごした。
出雲空港に無事到着。ようやくキャッシュレス生活の解禁だ。クレジットカードで会計をして出雲ぜんざいを食べた。
何をするにも基本現金、買い物とトイレは行けるときにいっとけ、の離島と比べると本土の空港のなんと豪華なことか。自分も随分と都会の人間になったなぁと思う。都会にいると何でもあるのが当たり前になるので、時々デトックスしないとありがたみを忘れそうだ。
食べているあいだ、息子は何度も何度も隠岐の島の話をした。彼は未だに隠岐の島の話をするので、よほど強烈に記憶に残ったのだろう。
離島ワーケーションは正直移動が大変だが、それでもお釣りがくるほどの感動がある。その証拠に、私は完全に隠岐の島の虜になった。隠岐の島は居れば居るほど魅力が発見できる土地だ。次はもっともっと住むような暮らしをしたいと思う。
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