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これからデジタルマーケティングを学ぶ人のために知識体系を整理してみた

色々とベンチマークを見定める中で、これからはビジネスの話をもう少し織り込んでいくことに決めた。

誰もが安価に情報発信し、モノやサービスを売れる時代になった今、どうやってそれを求める人に届け売っていくか。すなわち「マーケティング思考」はより一層重要度が高まっている。

マーケティングは現代社会人の一般教養と言ってもよいと僕は考えている。

「僕はシステム屋だから不要さ」なんて話はもはや通用しない。

ピーター・ドラッガーも、

企業の目的は、顧客の創造である。したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。

と言っている。

これから読者のあなたと一緒にマーケティングの知見を深めていきたい。

ということで、今日はマーケティングの中でもデジタルマーケティング(デジマ)を学んでいく人に向けて体系的な知識を獲得するための、デジマの知識体系についてまとめてみた。

キーワードは「木を見るな森を見ろ

デジタルマーケティングの定義

まずデジマって何?その定義からはじめたい。

参考文献を漁ると色々な定義で溢れているが、今のところ僕の中ではこれがしっくりきている。

デジタルマーケティングとは、データ・ドリブンでターゲット消費者へ製品やサービスを認知させ、消費者の購買前行動データに基づいて興味・関心・欲求を醸成し、購買データを取得する。
購買データと購買後の消費者の評価データをもとに製品開発、サービス開発への示唆を得る。これらのデータを、ECチャネルとリアル店舗(オンライン・オフライン両方)から取得し、同時に、消費者に最適な購買体験を提供する一連の行動をさす。
これらの活動の目標は、消費者と関係性を深め、最終的に消費者のエージェント(代理人)になることである。

参照:デジタルマーケティングの教科書 牧田 幸裕 (著)

うん。長いからここでは良くわからなくても、とりあえず次の章を読んでほしい。

従来型マーケティングの戦略プロセス

最初の頃に僕が疑問に思っていたのは、デジマって従来型のマーケティングと何が違うの?という話。

ここでいう従来型マーケティングとは、マーケティングの神様フィリップ・コトラーの「マーケティング・マネジメント」で説明されている考え方や手法のことです。

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従来型マーケティングでは最初にSWOTやPESTで環境分析をやって、有望な市場を明らかにする。

次にその有望市場におけるセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングを行う。これでターゲット消費者は誰か、製品・サービスの訴求ポイントを何にすべきかの消費者理解がクリアになり、製品・価格・プレイス(チャネル)・プロモーション(4P※)のマーケティングミックス戦略を立案できる。

初期段階ではこれらは仮説にすぎないので、立案された戦略を「実行」し、戦略の正しさをマーケティングミックスの観点で検証する。これが「管理」フェーズだ。

このようなPDCAサイクルを回して、精度の高いマーケ戦略を策定していくことが、従来型マーケの戦略策定プロセスの全体像となる。

(※)コトラーは2013年インド講演で4PにPurpose(目的)を加え。Purpose-Driven Companies(存在理由を明らかにする企業)の重要性を唱えている。

従来型マーケティングの限界

従来型マーケ理論が整理された時代には、消費者の属性を把握するためのデータが限られていた。それは、消費者購買行動をデジタルデータで取得できず、アナログデータで取得していたからだ。

だから、F1層やM1層など、あくまで「同質とみなしうる」セグメンテーションしか出来なかった。

しかし、スマホやウエアラブルに搭載されたセンサ群では位置情報や心拍数、運動量が、ネット上の行動・閲覧履歴からは個人が特定された状態で何にどの程度、興味・関心があるか、SNSの繋がりから友達含めてそれらの情報が全て取得可能だ。

オンラインですら、ID統合や顔認証技術により個人の行動・購買履歴が特定できてしまう。中国の過度な監視社会の行方には世界が注目している

このように、個々の消費者購買行動をデジタルデータで取得できる現在、消費者理解やセグメンテーションが進化しないわけがない。

従来型マーケのように、「同質とみなしうる」セグメンテーションではなく、オン・オフラインが統合された全ての情報に基づくピンポイントでのセグメンテーション(=パーソナライズ)が可能になったことで「デジタルマーケティング」が注目されるようになった。

また、従来型マーケは、あくまでリアル店舗での購買行動を前提にしていた。ご存じのように現在はリアル店舗だけでなくスマホを入り口としたWebやアプリ、音声による購買行動も一般的となり、それに合わせてチャネルやプロモーション戦略も進化している。

つまり、デジタルマーケティングは従来型マーケティング戦略立案プロセスの消費者理解、セグメンテーションとマーケティング・ミックスのチャネル、プロモーション領域を特に進化させる

デジタルマーケティングは従来型マーケティングを包含し上書きするもの

そう考えるとこの絵も納得して頂けると思う。

デジマが対象とする範囲は広範囲に及ぶ。説明を省いてしまったが、消費者におけるデータ取得と同様にサプライチェーンやロジスティクスのデジタルデータも取得出来るようになったいま、製品や価格ブラッシュアップの為のデータ活用もデジマの領域に含まれる。

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デジタルマーケティングの進化構造 「消費者理解の変更点」

データ・ドリブンとはデータに基づき消費者を理解すること。

従来型マーケティングと比べ、購買以外についてもあらゆるデータがリアルタイムで取得可能になった事が大きい。

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デジタルマーケティングの進化構造 「セグメンテーションの変更点」

従来型マーケでは下記表のセグメンテーションがよく利用されていた。

前述の通り、これはあくまで「同質とみなしうる」セグメンテーションでしかなかった。ID統合や顔認識技術により個人を起点としたセグメンテーションが可能となる事でパーソナライズされた情報を届けられるようになった。

しかも、AIがヒトより優れたセグメンテーションを見つけてくれる。

従来型マーケティングのセグメンテーション変数

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セグメンテーションのアプローチの変更点

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デジタルマーケティングの進化構造 「チャネルの変更点」

以下の表は、シングル・チャネル時代からオムニチャネル時代への変遷を表したものだ。

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出典:DIAMOND online

今ではさらに進んで、OMO(Online merge Offline)なんて言葉がつくられた。

これは、ネット上とネット以外の店舗などの垣根を超えたマーケティング概念を指す。

昨今の中国でのフードデリバリサービスが良い例なのだが、アプリからポチッとやるだけで、すぐに美味しい食べ物が自宅まで届けられてキャッシュレスで決済も完了。

実際には近くのリアル店舗で料理が作られ、人が動いて届けられてるわけだが、何も知らない小さい子供はこれがイメージ出来なくなるんじゃないかと感じるくらい、オンラインとオフラインの垣根がないリッチな体験が提供されている。

デジタルマーケティングの進化構造 「プロモーションの変更点」

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広告の進化だけでかなり膨大な量となってしまうので、今回は概要レベルでとどめたい。

デジタルマーケティングの知識体系と学習ステップ、参考図書

以上を整理すると、デジマの知識体系と学習ステップは下記の通りとなる。

まず、従来型マーケティングを理解するところから始めるというのがポイントだ。デジマの全体像が俯瞰できれば、ステップ3ではその中でも自分の得意領域を掘り下げていけばよい。

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また、各領域の参考図書やWeb記事もプロットしてみた。2年前くらいに作った資料なので、ちょっと古いかもしれない。直近でもっと良いのがあれば是非教えて下さい。

一緒に生き抜くための知識をアップデートしてこうぜ!

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