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代々木の森Comorisで、朝食会を開く理由。プロジェクト中心民主主義の場として視る。

こんにちは。先日の更新を機に執筆欲が増しているchonriです。せっかくなので乗れる波には乗って、ここ数ヶ月、週末にかけてエネルギーを割いているライフプロジェクトについて。久しぶりにデザインに関連する話を書こうかな。

代々木上原の森、”Comoris”との出会い

遡ること約半年前、とあるイベントにて運営のお手伝いをしていたところ、当時ゲストでいらしていた株式会社ACTANT南部さんと久々にお会いしての立ち話。

南部さん「今度、代々木で森を作るんですよ。」
私 「えっと、どういうことです?」

大学院時代に、北杜のACTANT FORESTのお話は聞いていましたが、代々木の森は初めて伺う話。「代々木上原 」「 森」という2つのキーワードを繋げる話題や概念がすぐには思い浮かばず、違和感を抱いたのを覚えています。

だからこそかな、余計に気になって。
次の週には森になる前の空き地に遊びに行き、気づいたらあれよあれよと、週末を中心に【森の朝食会】と銘打った代々木の森”Comoris”で朝ごはんを食べる会を主宰させて頂いています。

Comorisを上から見た様子
Photo:Hiroki Tagawa(nando inc.)
朝食会では、季節の野草茶やグラノーラ、バリスタさんとコラボのコーヒーなど
多種多様なラインナップで毎回違う朝食をご用意
Photo:Hiroki Tagawa(nando inc.)

Comorisの詳細については下記の記事をご参照ください。
※現在、仲間募集は締め切りとなっております。

Comorisに心惹かれる理由。

都心で養う、大きいものに包まれる感覚

私自身、普段はフルタイムのリサーチャーを主なお仕事としており、時間も場所も融通の効くフルリモート、有難いことにいつどこで働いても良いというかなり柔軟な環境です。ただ、今は都心だからこそ得られる機会に魅力を感じている時期でもあり基本的には都内を軸に暮らしています。

そんな都内生活を一定期間続けていると、「もっと緑に触れたい、土の匂いを嗅ぎたい、自分から必死に探す能動的で形だけの季節だけではなく、節気の移ろいを日々自然と感じ取れる生活がしたい。」という気持ちは高まるばかり。
どうにか緑欲を満たそうと祖父母の家がある神戸や関東からでも行ける山に定期的に足を運んではいるものの、やっぱり一時的。もっと日常に近い場所で、普段の暮らしの中で、大きなものに包まれる感覚を養うことが出来たらいいのにと思っていた私にとって、”代々木上原の森”は求めていたものでした。

街の生物多様性が開かれる

さらに、Comorisは人間中心ではなく人間以外の植物や動物の生存空間としての場という意識が深く、「うんちコンポスト」や「雨水タンク」など空間の至る所に植物や動物などノンヒューマンのための仕掛けが施されています。こういった、街に生物多様性が開かれるかもしれないという点も魅力的

机上の理論を自分の言葉で語れるかもしれない

マルチスピーシーズ・多元世界・環世界・コモンズ・プルリバース・ケアなどなどデザインや人類学を学ぶ中で、しばしば耳にしていた概念の数々。
机上の理論を知るだけではなく暮らしの延長でその意味を、五感を通じて理解出来る、そして自分の言葉で語れるような場になるのではないかという期待もありました。

朝食会である理由。
好きなことをきっかけに、わたしたちの暮らしと自然を馴染ませる実験の場。

では、なぜ朝食会なのか。
”朝食という日常のワンシーンを誰かと共有することが好き”というのが一番シンプルな理由。
朝だからこその景色や空気、いつもの街なのに何だか違って感じる非日常感、何を食べようかと思い巡らせ、作り、出来立てを目の前にする瞬間、全部をひっくるめて、朝はいつもよりちょっとだけ創造的な自分でいられるような気がして。朝を誰かと共にし、「いってらっしゃい、良い1日を」と笑顔で交わすコミュニケーションはとても清々しく、心地よい。

ちなみに、そんな朝の食卓への想いが募りひっそりとですが朝と食にフォーカスをしたブランドを作ったりもしました。
※現在、卸やEC上の販売は休業中。

会によってはnest granolaのグラノーラをご用意
Photo:Hiroki Tagawa(nando inc.)

語れば長くなりますが、食は自分の創造性や人や社会との繋がりを築くための、とても重要な要素です。”今ここ”ではない過去や未来、世界にまで視野を広げて食を選びたいし、その面白さを伝えたいと思っています。

旬の食材とComorisのご近所fumigraficoさんのパンを使った
セルフサンドイッチの会
野草茶を手元に、リモートワークをしたりと自由な雰囲気

Comorisで採取したハーブを使ったグラノーラやお茶を愉しみ、時には新しい出会いもあって会話が生まれる朝、それだけでもう「今日良いことした!」と一日ご機嫌で過ごせそうじゃないですか。

私にとって、Comorisは常日頃抱いている”都心でも自然との繋がりや、自分が自然の一部として生かされている感覚をどう醸成出来るだろう?この感覚はどうしたら周囲と共有できるだろうか?”という問いに対する答えの一つであり、朝食という自分の好きなコミュニケーションツールをきっかけにして、わたしたちの暮らしと自然を馴染ませる実験の場だと思っています。

今の私が出来ること。
人と都市と野生の関係性を探り、繋がりを生む。

学生時代影響を受けた学者の一人に、デザインに触れている方であればご存知の方も多いであろうイタリアのデザイン学者であるエツィオ・マンズィーニ氏がいます。
彼は『Politics of the Everyday(日々の政治)』という書籍の中で、下記のように述べています。

あらゆることの動きが流動的で昔ながらのやり方を踏襲する「慣例モード」に基づいた生き方が通用しなくなっており、常に自分で動き新しいやり方を生み出さなければならない「デザインモ ード」に重心が移行してきている現代において、デザインを活用しサステナビリティのある社会変化を目指すことが重要である。
「Politics」は職業的政治家や行政を意味しているのではなく生活する人々を主語にしており、人々が所属する小さなサイズのローカルの上で自分の人生の選択肢を作る力であるデザイン能力に磨きをかけ、自らの人生(ライフプロジェクト)をデザインしコラボレーションする、それこそが日々の政策であり、政策があることでものごとのあり方を変えられる。

Politics of the Everyday(日々の政治)

もちろん、仕組みやシステムなど大きな構造で変えられることもあるとは思うけれど、私は彼が示唆する、『日々の生活の政策を人々の手に取り戻す必要性と可能性を指し示す「プロジェクト中心⺠主主義」こそがソーシャルイノベーションを起こしサステナビリティに向かう変遷に貢献できる』という手触り感のある考えが(なんだか「みんなでやってやっぞー」みたいな、チームワーク感なのかな?があるような気がして笑)好きで、自分の生活の延長線上で今自分に出来ることを実践することを日頃から大切にしたいなと思っています。

Comorisは、DAO(分散型自律組織)という仕組みの元シェアメンバーみんなで植林をし水やりをし、イベントを企画し、運営しています。人と都市と森、互いの関係を手探りで、分からないなりに模索しています。それぞれの個性あふれる興味関心の元、一人一人の生活の中にプロジェクトが蘇生され好き勝手実験されている感じが「プロジェクト中心民主主義」だなーと思ってワクワクするのです。

そして、”森の朝食会”もそんな人と都市と野生の新たな関係を探るプロジェクトの一部として、多種多様な人や自然とのコミュニケーションを育み、繋がりが生まれるきっかけになるといいなという想いで運営しています。

「明日の朝、森でサクッとお茶でもどう?」
森の朝ごはんに友人を誘う東京生活

森開きのキックオフから、約3ヶ月。これまでの朝食会でも多くの発見があり新たな繋がりが生まれ、とても面白いです。

Comorisは「今日飲みいく?」みたいなノリで、「明日朝さくっとお茶どう?」とふらっと誘えるような場所になりつつあります。

ある日の森の朝食会の様子、この日がみんな初対面。
同じテーブルを囲めば、国や世代など関係なく自然と会話が生まれる。

9月末までという残り1ヶ月程度にはなりますが、nest granolaのグラノーラはもちろんBARISTAさんをゲストにコーヒーを楽しんだり、9月は手作りのパンとのペアリングなどが楽しめる回も企画中です。
お近くの方がいれば、ぜひお立ち寄りください。

愛犬との散歩帰りに、友人とのモーニングコーヒーに、いつものジョギングの小休憩に、心身満ちる心地よい1日のはじまりをご用意してお待ちしております。

”森の朝食会” 詳細はComorisの公式インスタグラムをご参照ください。
https://www.instagram.com/comoris_tokyo/p/C7JE-DVyETy/?img_index=1

Comoris公式ウェブサイト






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