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読書|三毛猫ホームズのプリマドンナ

お久しぶりの赤川次郎作品です。中学生のころ、三毛猫シリーズは読み漁りました。それでもなお、読んだことのない作品はあるものですね。

ミステリーの短編集が3作収録されています。三毛猫シリーズは、重すぎず軽やかに読むことができる事件モノなので、子どもの頃からとっつきやすいイメージです。

久しぶりにページを捲ってみても、その印象は変わらず、主人公の片山刑事をはじめ、妹の溌剌とした晴美など、名前を見れば「あぁ〜そうだったそうだった」と思い出せるくらいには、記憶の奥底に物語が眠っていました。

本書はミステリーももちろんなのですが、巻末に赤川次郎さんの自伝が掲載されています。幼い頃、漫画や映画にハマったことや、三毛猫シリーズを書いたはじめの頃のお話など。

「作家になりたい」という夢を語る若者を前に「僕は作家になりたいと思ったことは一度もない。小説を書き続けたいと思っているだけだ」と言い切る赤川さんは、真の小説家のように感じました。

作家という職業への憧れや夢ではなく、自分がやりたいことを突き詰めた結果が作家であり、小説家であり、赤川次郎さんなのだな、と。

わたしも小学校低学年で、密かに小説を書いていたことがあります。当時は学校という世界しか知らない幼い子だったので、物語の舞台は教室でした。

形から入るタイプで、クラス40人の名前とキャラクターをノートに書きだしてから小説を書いた覚えがあります。

主人公の子の名前は一切思い出せないのですが、出席番号4番の男の子の名前が「いそべあそべ」だったことは鮮明に記憶があります。母にも「いそべあそべの名前大好き」と言われていました。

結局、小説は未完のままで、あの頃のノートは資源ゴミになったのかしら…と行く末もわかりません。ただ、主人公の子が記憶喪失になったところで終わった気がします(偶然にも、2024年春ドラマのトレンドと一致)

読書が好きな人は、一度くらい「小説を書きたい」「小説の書き方が知りたい」と思ったり、逆に「小説なんて自分には書けない」と思ったことがあるのではないでしょうか。

その「小説家」の自伝が読めることを知らずに、本書を手に取り、もれなく自分の過去のこともぼんやり思い出せて、またまたいい読書体験ができました。




前回の読書記録はこちらです。

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