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武術的老子解説

原文

曲すなわち全。
枉すなわち直。
窪すなわち満。
敝すなわち新。
少すなわち得。
多すなわち惑。
これを以って、聖人、一を抱き、天下の式となす。
自ら見ず、ゆえに明。
自ら是とせず、ゆえに彰。
自ら伐らず、ゆえに功有り。
自ら矜らず、ゆえに長。
ただそれ争わず、ゆえに天下、これ争うこと能わず。
古の「曲すなわち全」というは、ああ虚言かな。
全て誠にして、これに帰す。

解釈

曲がっているのは、完全であるということ。
ゆがんでいるのは、真っ直ぐであるということ。
くぼんでいるのは、満ちているということ。
やぶれているのは、新しいということ。
少ないのは、得しているということ。
多いのは、惑わされているということ。
聖人はこれらを見て、全てはひとつだと理解し、天下の法則と考える。
自分から見ようとしないので、ものごとがよく見える。
自分を良しとしないので、その存在を知られる。
自ら成功しようと思わないので、かえって成功する。
自ら誇らないので、リーダーとなる。
だれとも争わないので、だれであろうと争うことができない。
昔から言われている「曲がっているのは、完全である」というのは、嘘なのか?
いや、これこそが本当のことで、全てに通用する言葉である。

コメント

相手になにもしかけないので、相手は自由に動ける。
しかし、自由というのは幻想で、相手になんの支点も与えなければ、その幻想の中で漂うだけ。
みずからの感覚で自らの身体を縛ることになる。
自由意志というものほど、自分を縛るものはない。
自由を得れば、不自由がついてくる。
不自由になれば、自由もついてくる。
全ては陰陽で完全にバランスをとっている。






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