ボンボンが底辺バイトをした

今回は私が高校生のうちからバイトをして今に至るまで単発や長期も含め点々とし、最終的には塾講師に行き着くがその途中で底辺バイトをいくつかしたので書き留めておこうと思う。

ちなみにまとめ始めたのは5月であるが時間は過ぎ、書き終わったのは8月である。

初めに言っておくと自分は飲食バイトが嫌いだ。
学ぶことは多いと思うが、私の個人の意見でダシに使われることが多いので、それを不快に感じる方は是非ブラウザバックしていただければと思う。

1.初めてのバイト

初めてのバイトは高校生や大学生にとって社会の歯車の一部である事を1番初めに体験する機会なのではないかと思う。
私立中高一貫校に通っていたボンボンの自分の場合、初めてのバイトは中古車取扱店での肉体労働だった。

そこでの勤務は簡単。
ブーツを履き服を着替えたら並んでいるタイヤを片端から洗っていく。

単純で楽だと思ったのは初めの20分程度、1時間もすれば腰が悲鳴をあげ、腕が痛くなってくる。
何せ重さ10kg程あるタイヤを持ち上げては洗い、並べなければならないのだ、それにずっと中腰にもかかわらず椅子もなし。

勤務時間は5時間程度だったが確か70個ほど洗ったことを報告した。
最後の30分は最早意識が無かった。


賃金支給は隣の建物だった気がするが、あまりのキツさにそのまま帰宅しかけたところを社員に呼び止められたほど。

初めてのバイトがこれなので以来どんなバイトも肉体的には楽に感じるようになる。

2.底辺体験

多くの中高一貫校の生徒は経済的にも精神的にも恵まれている。大学へ進学しそのまま企業に就職するだろう。

そんな母校の生徒が凡そ経験することは無いのではないかという『現場の底辺』をこれから感じることになる。

次の勤務地は〇王子にある印刷工場だった。

勤務の内容としては9時頃出勤し18時に退勤。床に積まれているA4の塊(束と言うにはあまりにも重く大きすぎる)を機械にセットし紙が空になるのを待つ。
A4の塊が床から無くなったら他の場所から持ってくる。これを7時間繰り返す。

自分が働いたのは長期休みのうち2日だが、自分は余りの苦痛に続けることは不可能だった。

何がそれほどキツかったか。

自分の存在意義を問いたくなるほど暇なのだ。
初めの2.30分ほどで『自分はここには必要ないのではないか、自分が居なくなってもさして変わらないのではないか』と強く思うようになる。

私立の学校に通っていた(いる)生徒なら、いくら周りから蔑まれ嫌われていたとしても、自分の学費を親は出してくれているのだ。
友人が一人もいなくても教師は何かあれば名前を呼んでくれるし、家に帰れば親がいる。

学校に通っている以上、仮に私のような『ぼっち』であっても何かしらのポジションはある。
『私』という存在は常に認められているのだ。

しかしそこの工場で働いていると微塵も人間の価値など感じない。
隣で働いている人も死んだ顔でただ黙々と作業をし、中にはうまくセットできずに手間取っているうちに社員に怒鳴られている人がいる有様。

『こんな作業をなぜ機械で自動化しないのか』と不思議に思ったが、今思えば遠くにあるものを運びそれを順次セットするという行程を自動化すればおそらく維持コストのほうが人件費を上回ってしまうのだろう。

そこの単発バイトは2回でやめた。

​次に仕分けのしごとをやってみた。
いわゆる「軽作業」といった括りで募集されているバイトだ。

あれが軽作業というには流石に詐称がすぎると思う。
具体的にはレーンへ流れてきたものを郵便番号でわけてカゴ台車と呼ばれるものに載せて行くのだが、このカゴ台車が重いのだ。

皆さんが普段利用しているアマゾンはかなりダンボールに余裕をもたせているため見た目よりは軽い。しかし普通の会社は必要最低限の大きさのダンボールな上、運んでいるもの自体の重量がかなり有ったりする。

必然的にカゴ台車は重くなり、そのカゴ台車を運ぶだけでも二人がかりでやっとというほど大変なのだ。
「飲食でお皿運ぶの重くて大変」と抜かしている人は一度荷物満載のカゴ台車を運んで見ればいいと思う。

ちなみにここの行き来は大手配送業者だけあって大きな近隣駅までは送迎してくれる。
なお帰りのバス内はお葬式顔負けなほど雰囲気が死んでいた。

3.社会の歯車と人の暖かさ

今までは単発バイトをサイトから直接探していたが、この後から派遣として会社に登録して働くようになる。
次に始めたのが『遺品整理』のバイトである。

これはなかなかに面白い。
大変に失礼なことは承知の上で書くと、まさに底辺の生活を目のあたりにできるのだ。

遺品整理のバイトとは、親戚などが遺品整理をめんどくさがったか身寄りがない人がなくなった時、その遺品を整理・廃棄し部屋を開けるという作業である。

私が2回担当したうち、一度目がきつかった。
部屋は本当のゴミ屋敷状態。床の踏み場なぞあるはずもなく、ホコリが黒く床に固着していた。

寝床はベッドではなく積まれたダンボールの上、その真横には高く積まれた洋服の山があり、その洋服の中にはサイクルジャージも含まれていた。

自転車を始め私の趣味とつながることも多く、個人の情報にもつながるためあまり詳しいことは書けないが、いずれの趣味棚にもGの死体や蜘蛛の巣が貼ってあり少々辟易した。

ご存命の頃は日々暮らすことで一生懸命だったのだろう。
キッチンの棚には栄養ドリンクや缶コーヒー、錠剤が並んでいた。


2回目に行ったところはご高齢の方で、すでに体力的な面で整理ができないため依頼をしてきたようだった。
こちらは2,3時間程度で終わり、もともとお掃除をされていたからか苦労することは何一つなかった。

遺品整理自体は様々なものに触れられるからと悪くはなかったが、「血まみれの現場も多いらしいぞ」と聞きこの遺品整理の仕事はやめることとした。

同じ登録先で搬入・設営の仕事もやってみた。
大手YAMA○ENがその機材提供元のようで、私が個人的には好きな会社である。

これは比較的待遇がよく、日給は同じで早く終わらせればその分早く帰っても良いというところだった。

皆早く帰りたい一心でテキパキと動き、多少怒鳴られることはあるにしても基本的には良い人が多かった印象である。

4.サクラはいない

イベント搬入系に味をしめ、次に応募したのがイベントの司会ということで募集をかけていた『婚活パーティーの司会』である。
もうこれは自分の中で一番おもしろかったバイトといっても過言ではない。

婚活パーティーというものはそもそも知らず、自分の中で婚活といえば合コンくらいしかなかった自分にとって大きな衝撃を受けた。
主なパーティーは個室に男女が座り男性が席を回りながら順番に話していくというスタイルだが、店舗によってはお酒飲み放題であったり、クルーズ旅行が合ったりもする。

業務内容としては

・パーティーの受付や司会進行
・パソコンの事務作業

だけである。

パーティー全体としてみれば1つあたり2時間かかるものを同時に三つ動かすためかなりの注意力が必要となるが、実際に話している時間は2,30分程度、アナウンス以外で接客している時間は2時間に付き10分程度と陰キャの私でも容易にこなすことができた。

一ヶ月もすればマニュアルやアナウンスも暗記し、バイトとしてのランクも上がったため時給としてみればかなり高い部類になった。
その上当時まだ10代ということでその職場ではダントツに若く、他の業務委託も含めてお姉様方から大変可愛がられた。

ちなみにその店舗では当時社員と業務委託は女性が殆どで、唯一の男性社員とは筋トレで盛り上がったことも付け加えておこう。
困ったら筋肉の話をすればたいてい困らない。

職種が職種なため外見に気遣っている社員や業務委託も多く、私が男子校生活では見聞きすることのなかった社会的ステータスや価値観に触れることができた。

私の周りでは当たり前だった大卒ということが高学歴扱いされていたり(実際に女性社員は短大卒もおり、業務委託に至っては高卒もいた)、エクセルを使えるだけで褒められる一方、インテリアや化粧品などのおすすめ・社会的ステータスの高い人への接し方など勉強になることも多かった。

なお、やめた理由としては仲の良かった店長が本社へ行き、人間関係がギスギスし始めたため自然消滅する形で辞めた(先月正式に辞める連絡をした)。

かれこれ一年近くバイトをしたような気がするので、もし出会いを探している人がいれば以下のことを参考にしてほしい。

1.サクラはいない
これは強く申し上げたい。そもそもサクラを雇うほうがお金はかかる上にパーティーに参加したい人は一般人が考えるよりも多い。
キャンセルなどで結果的に人数が揃わないこともあるが、その場合は他店で中止になったパーティーなどから人を引っ張ってくるだけである。

2.若いうちにいけ
これも強く申し上げたい。
若いということはそれだけで凄まじく強力な武器だと思う。カップリングするのは基本的に20代~30代前半である。

参加するのであれば自分が最年少になるようなパーティーに参加したほうが良い。例えば貴方が25歳であれば、20~30歳のパーティーではなく、25~35歳をターゲットとしているパーティーに参加したほうが良いということである。

これを読んでいる人はおそらく同い年かそれ以下だろうが、30を超えると急にカップリング率が下がり、40,50はこちらスタッフ側も諦めている。

特に女性はこの傾向が強い。
失礼な話ではあるがこれが現実なんだなと感じた。

3.男性は金がベース、あとはコミュ力
こちらもまた現実を見た。受付画面では年齢や年収など確認することができるが、カップリングする人は総じて年収が高い。
年収が高くともカップリングしない人もいる、どういう人なのか。

話を全くしない人、自分の話をし続ける人、誰かをバカにする人、だ。

これ以外、正直奇抜な格好もせずそれなりの年齢で年収もそれなりであればカップリングはするだろう。
まぁそういう人は大学時代で出会いがあるだろうが・・・

ちなみに男性は年齢関係なく年収が低いとカップリングしない。
なぜなら基本的に男性の年齢層は女性の年齢層よりも3~6歳ほど年齢が上で設定されているからである(男25~33歳、女20~29歳など)。

『婚活パーティー』でググれば私の働いていたバイト先が出てくるので、詳しく内情を聞きたい人や参加を考えている人はぜひとも連絡をお待ちしている。

5.やっぱり大学生なら

塾講である。
特に今のバイト先は給与以外なんの不満もない。
あまりにも不満がないために妹を紹介したほどである。

中高一貫校の生徒しかいない上に私服OK、シフト中にUberEatsを頼む教室長には驚いたが、とにかく民度が高い。

それに私以外の講師は世間から見れば妹を含め異常なほどの高学歴っぷり。
よって基本的には中高生の不満を聞き、時たま説明をするという年上の先輩的ポジションでフラフラしているような気がする。

生徒もダダをこねる子は少なく、多少話を聞いてやれば自らやり始める子がほとんどで、少し教えればすぐに理解する賢い子も多い。

流石にFランの僕からすると「先生、ここの(3)なんですけど・・・」と急に来る数3の質問ほど怖いものはないが、それも最近は殆ど対応できるようになった。

何より大学で微分積分・線形代数・物理化学を真面目に再勉強し直したおかげで高校レベルの数学・物化であれば根本から解説ができるようになったことは自分でも驚いている。

6.最後に

見返せば今のバイトは以前のそれと比べれば天国と地獄ほどの差がある。

もし大学生になって初めてのバイトが今の塾講師であればただ「バイトって楽なんだな~」程度にしか思わないだろうし、おそらくそのまま社会人になるのだろう。
社会を最も下で支えてくれている仕事を、もしかすると一生経験することがなかったかもしれない。

親にはまだ家事炊事など全てのことをやってもらっており、家には一円も入れていないにもかかわらず、バイトから帰れば「お疲れ様」と声をかけてもらっている。
有り難いことだ。

ちなみに私は食事に興味がなく片付けも最低限しかやりたくないため、家事も基本的にはサボっている。すまん。

なお最後に私が経験したバイトのおすすめ度を1~5で書いておくので参考になればと思う。
3以下はそれをやるなら飲食をやったほうがまし、という基準で捉えていただければと思う。


1.塾講師 5
2.婚活パーティー運営  4
3.搬入系 3(単発が好きなら4)
4.遺品整理 2
5.軽作業・レーン作業 1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?