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サクセス定義を決めるために破壊と創造を繰り返したCSの後日譚

こんにちは、もしくはおはようございます、またはお疲れ様です。
株式会社iCAREでカスタマーサクセス担当のりんたろう(@rintaro_cs)です。

この記事は人事労務向けSaaS、つまりはtoB向けのSaaSにおける発見であり、非エンタープライズ企業を担当したチームの発見であり、一概に全てのSaaSに当てはまるものではないことを念頭に置いてお読みいただけると嬉しいです。

iCAREは7月が期末であり、私がテックタッチを中心としたオンボーディングの担当になってから1年が経過しました。
振り返るとこの1年はオンボーディング期におけるサクセスの定義が大きく変化をし続けた年でした。

せっかくなのでどんな経緯があったのか、もしもサクセスの定義に奮闘しているカスタマーサクセスの同志がおりましたら参考になると嬉しいなと。そんな思いでまとめます。

夏、全機能に着目していたあの頃(2020年8月-2020年10月)

人事労務向け健康管理SaaSの「Carely」の主要機能を8つに分け、そのうち60%利用があればサクセスしている、つまり8機能のうち、5機能が使われていればサクセスとしました。

とにかくご契約開始初日からプロダクトアウトでこの機能を使いましょう!とプッシュしていた記憶です。
利用がなければ、こんなメリットがありますとメールや電話、時にはオンラインミーティングで案内をしていました。

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(▲当時の管理シート)

ただ、このサクセス定義は欠点があったのです。
主要8機能のうち3機能はCarelyのメイン利用者である人事労務担当者が利用しない機能でした。
Carelyは人事労務向けのクラウドですが、総合的な産業保険業務の支援のため、従業員様向けに健康チャット相談の機能や、産業医向けに面談記録の機能があります。
8機能のうちにこれらのチャット相談機能が使われている、面談記録が使われていることを含めていました。

よって人事労務担当者にいくら機能を使いましょう!と訴えかけても使われない企業がありました。

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冬、抑えるところを抑えれば良いのでは(2020年11月-2021年1月)

先月までの失敗を踏まえ、今度は人事労務担当者が毎月必ず使う機能を3機能に絞り、2ヶ月で3機能を使わせることをサクセスと定義しました。
選ばれた3機能は8月〜10月で利用機能数が多いお客様が共通して使っていた機能です。だから、この3つが使えれば他の機能も使うよねって理論で決定しました。

結果はどうだったかというと...

3機能は使うけどそれ以外が使われない。という予想の真逆の結果でした。
これはなぜかと考えてた結果、結論は熱が冷めてしまったのではないかと推察しました。

導入から2ヶ月かけてオンボーディングしたため、契約後の「使いたい!」という気持ちがなくなってしまったのではないかと。だから新しい機能に目が向かなかったり、人事労務の別仕事を優先してしまったりして、機能の活用が進みませんでした。

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春、やる気のあるうちに(2021年2月-2021年4月)

「じゃあ1ヶ月で使わせよう!」
気持ちが冷めないうちに、2ヶ月でやっていたことを【1ヶ月】でやり切ることにしました。11月〜1月の間に決めた3機能は契約から1ヶ月目に使わせる。そして2ヶ月目からは他の機能を使わせることにしました。

するとどうでしょう、今度はやる気はあるうちに3つの機能はすぐ完了したのです。これは予想通りになったなと、歓喜した記憶があります。
しかし、同時にある課題に悩まされました。次は何を使ってもらうかです。
最初の話に戻りますが、人事労務担当者がやる気になっても一部の機能は人事労務担当者は利用しません。そこで産業医にもきちんと使ってもらおう。これが大きな決定でした。

これは、定性的な評価ですが、各CSがサクセスしているよねって感じる企業様に共通していたのが、産業医がCarelyを使って業務を行っていたことがあるからです。そして産業医に使ってもらうことをオンボーディングに組み込んだのです。

一定効果はあり、面談記録や産業医の先生が求めているからという理由で各種健康に関するデータ入れなければ、先生に迷惑がかかるからという強制力が働き、利用される機能数が増えました。

(産業医が使うことで、活用機能数がこれまでの2倍に増えました。)

また強制力があれば利用が進むという意味では、導入すぐにストレスチェックなどCarelyを使わなければいけない業務が差し迫っている時にも利用促進しました。おそらく業務に支障が出るからという義務感からか、スムーズに導入が進んだお客様が何社かありました。
しかしそれでも稀に特定の機能は使わないお客様が現れました。

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初夏、使いたいものを使ってもらう(2021年5月-2021年7月)

4月までに見つかった特定の機能を使わないお客様には、もう既に既存システムや運用方法で業務ができているから、Carelyに替えなくても良いということ背景がありました。

なんとかCarelyを使ってみてほしいと、手を尽くしましたがうまくいかず…
それもそのはず、既存のシステムでうまくいっているのに変える必要がないからです。もしくは急に全ての業務をCarelyに切り替えることができなかったのかもしれません。いわゆる変化を嫌う人間のバイアスですね。

そこで思い出したのです。
プロダクトアウトで使ってほしいと案内しまくっていた1年前のことを。
こっちが使ってほしいことを押しても結局は使われない。であれば、お客様が使いたい機能を使ってもらえればいいんじゃないかと。そして使いたい機能は何かを知る必要があると分かったのです。

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二度目の夏、使いたいように使ってもらう(2021年8月-)

この1年で

・状況や人に左右されることなく使われる機能を指標を置く
・契約から1ヶ月が勝負
・使うべき強い理由を作る
・使いたい機能を使わせみる


これらが少なくともCarelyを使ってもらうために、オンボーディング期において必要な要素であると1年かけて学びました。

そしてこれらを踏まえたオンボーディングに8月から変更し取り組み始めています。
成果が出るかどうかはまた3ヶ月後に...


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