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「初心を忘れない」社会人に、私はなる。

時が経つのは早いもので、私は昨日4月の最終出勤を終えて、本日からGWに突入した。こんなに心踊らないGWは人生初めてだ。先日頼んだ本も、いまだ届かず、キレそうだ。配達してくれるお兄ちゃん、オジちゃんたちには感謝の念しか感じないけれども。Amazonは日用品の稼働率を上げる代わりに、書籍の稼働率を下げたみたいで、一時在庫切れオンパレードだ。

本はおうち時間の必須アイテムでしょ!と内心総ツッコミをしたが、世間はどうやらそうでもないらしいと思い知ったものである。映像コンテンツは嫌いじゃないがどうしても時間が取られるし、自分で見るスピードを早めることができない(本や漫画は読むスピードを自分で調節できる)から、いまいちサブスクに手を出せないでいる。ただ、先日受けた研修で英語の勉強をし直す決心がついたのでNetflixに登録しようか要検討中だ。人生、金がかかる。

4月に入ってから約3週間くらいリモートで研修を受ける中、印象に残った言葉がある。研修中たくさんお世話になった人事、各部署の先輩社員、面白い話をたくさんしてくれた社内の偉いおじさんたちが繰り返し言っていた言葉だ。

それは「初心を忘れないでほしい」という言葉だった。

新卒はあくまでもポテンシャル採用。君たちに期待するのは、前提知識がないからこそ思いつくフレッシュな意見。これから先3年間は、たくさん失敗しておいた方がいい。周りに頼ったり、助けを求めた方がいい。そして仕事に慣れてきたとき、最初に描いた夢をもう一度、思い起こしてほしい。日々の膨大なタスクで、自分が何がしたいのか、何をしなければいけないのか忘れてしまうことが大いにあり得るから。なるほど。そりゃそうだなと思った。

そんなわけで、私はそもそもなぜこの会社に入社を決意したんだっけと、就活の時に考えをまとめていたノートを引っ張り出して、振り返ってみた。そのノートによると、私は「世の中にある<仕切り>や<囲い>を無くす仕事がしたい」と書いていた。そうだ、そうだった。私がやりたいと思っていたことはこれだ。

大学で勉強しながら気付いたことがある。それは偏差値が高い大学に通う人はわりと似たり寄ったりの家庭環境だということ。ここでいう似たり寄ったりとは、大体が「中学受験」を受け「私立」の「中高一貫校」に通うことができる家庭環境であったということ。小中高一貫校に通っていた人もいた。そして、彼ら彼女らの世界は狭く、知り合いの知り合いは、大体ほぼみんな知り合いだということ。もちろん、全てではない。公立校出身者もたくさんいる。ただ、ほぼ全て進学校出身であることに変わりない。

要は、教育環境が整った家庭で育てられた子が圧倒的に多いということだ。それでいうと、自分もそこに入る。教育には惜しみなくお金を出す両親に育てられた。でもこれ運ゲーじゃね?と。言い方は悪いが、親に教育費を積んでもらえる子供たちは、そうじゃない子供たちよりも高度な教育を受けやすく、高度な教育を受けやすい子供ほど、レールに乗ったようにホワイトカラーの仕事にすんなりつきやすい。

もちろん本人の資質にもよる。断言できる。本人にやる気がないと、始まらない。ただ、教育に投資される金額が増えれば増えるほど、人生楽勝になるのはどうやら事実らしい。そして、そういう人たちのコミュニティは恐ろしいくらい狭いように見える。上野千鶴子さんの東大の祝辞が思い出される。以下、一部引用します。

がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。
・・・
あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。
・・・
あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、予測不可能な未知の世界です。これまであなた方は正解のある知を求めてきました。これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。
・・・
未知を求めて、よその世界にも飛び出してください。異文化を怖れる必要はありません。人間が生きているところでなら、どこでも生きていけます。あなた方には、東大ブランドがまったく通用しない世界でも、どんな環境でも、どんな世界でも、たとえ難民になってでも、生きていける知を身につけてもらいたい。大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています。知を生み出す知を、メタ知識といいます。そのメタ知識を学生に身につけてもらうことこそが、大学の使命です。

いい大学に入って、一生懸命に勉強して身に付けた幅広い視野は誰のものだろう。もちろん、第一に自分の人生を有意義に過ごすためのものだ。でも、この知識は、自分一人で得たものじゃない。まさに親の支え、そして周りに勉強することを推奨してくれる環境があったからだ。私が、もし勉強に関心がない両親のもとで生まれていたら。勉強する喜びを知らないまま、狭い視野のまま、ただ生きて、生活して社会のサイクルに組み込まれていただろう。なんだこれ、理不尽だ。

世の中、成功するための道は勉強だけじゃないことも知っている。スポーツや芸術だってあるし、好きなことや趣味を極めて仕事してる人だってたくさんいる。でもいちばん楽な「ホワイトカラー・レール」に乗ることができる切符は、やはり未だにお勉強ができることではないか。だいぶ改善されてきた(といわれつつある)ものの、未だに学歴というものが社会に大きく影響していると感じざるを得ない。

環境にめげず本人の努力次第では、いくらでも伸び代があるのが資本主義社会だ。しかし、韓国映画「パラサイト」で示唆されている内容の通り、最近「経済階級の固定化」が深刻化しているように思える。個人的な感触だが、日本は韓国ほど露骨に表面化していないように見える。ただ、表面化していないぶん実のところもっと根深いようにも思える。

経済階級は、私が考える中で最も強固な<仕切り>だ。しかし、世の中にはそれ以外にもたくさんの仕切りがある。性別、年齢(世代)、国籍…などなど。人を仕切る要素なんて見つけようと思えばたくさんある。<仕切り>は一種のラベルとも言える。人は、ラベリングされることによって優越感を得ることもあれば、強烈な劣等感を抱くこともある。そして、一度でも自分自身でそのラベルを受け入れてしまうと、中々そこから抜け出せないのが非常に厄介なところだ。

「どうせ私なんて」「所詮俺なんか」上記の上野千鶴子さんの祝辞にも出ていたセリフだ。自分で自分の可能性を潰してしまう、こんな悲しいセリフはない。人にこういわれることもあるだろう。「どうせお前は」「しょせんお前なんて」身近な誰かにこう言われて、環境次第では、他の人に何かしらの可能性を潰されてしまうようなことだってたくさんある。

いじりで<仕切り>を作られることも往々にしてある。私は日本のいじり文化が大嫌いだ。周りはいじりながら冗談で、何気なくつけたラベルでも、本人にとっては刻印であり、呪縛だ。怒りしか感じない。冗談と言って自分自身を保身しながら、平気で相手を傷つける人は心底嫌いだ。相手に愛情があるから、とかいう人もいるけど、それなら真摯な言葉で相手を褒めて尊重してあげればいい。話がそれた!

自分あるいは他の人がつけたラベルのせいで、前に一歩を踏み出す勇気が出ない”誰か”の<仕切り>や<囲い>を取っ払って、その人の可能性を1%でも広げるような仕事がしたい。もちろん、ここに私も含めて。

早い段階から、こういったラベルを取った方が、その人の可能性は広がる。若ければ若いほど方向転換はしやすい。そのため、教育や出版など子供との関わりが多そうな業界も就職活動の際は見ていた。けれどもまあ、最後の最後で面白いくらい、ご縁が無かった!それならばと、内定をもらった企業のなかで、多くの人に関わることができて、たくさん社会勉強できそうで、自分自身の可能性を広げられそうなところは…と行き着いた先が今勤務している会社だった。

4月に受けた研修を振り返ってみて、弊社でなら、自分の夢を叶えるための一歩は踏み出せそうである。社会に出たばかりの、学生気分がまだまだ残っている、現実を知らないチャランポラン社会人1年生の自覚は大いにある。とりあえずこの1年は、一通りのビジネスマナーをしっかりと身につけて、会社のお荷物にならないようにすることが第一目標。次に、日々の業務をこなしながら、日本における「雇用の実態、形、未来」について絶えず考える、知る、共有することが第二目標。

まあ、自分を縛り付けることは苦手な人間なので、やる気が出る範囲でとりあえず頑張ろうと思う。適当にやるより、真剣に取り組んだほうが、仕事はきっと楽しいしやる気も出るし、成長もするだろう。がんばれ、自分。そしていつも謙虚な姿勢を忘れないように。自戒の念を強く持つように。そして、ちょっと捻くれた目線で世の中を俯瞰するように。

本日はここまで。


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