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星屑188 こせいのはなし

2019年8月4日

 梅雨明けしないなあと思っていたら、後から梅雨入りした地方が先に梅雨明けをし、なんでやねんとツッコミを入れている間に梅雨明けしました。なんだこの暑さと悪態をついてしまうほどの暑さ。本当に来年、この炎天下でオリンピックを開催するのでしょうか。

 後輩が就職活動をしている様子を遠巻きに見るようになる歳になりました。面接があるから夜行バスに乗った、いちばんのおしゃれをして行く、実技、インターン、最終面接。デザイン系は巷で見る就活とは違う路線にあります。夏までに決まっている人はほぼおらず、卒業直前に決まっていたら御の字です。そもそも規模の小さい会社は一年先の会社の状況を予測することは難しく、必要な時に必要な分だけ募集する、といった形式が圧倒的に多いのです。なので、私はスーツを着るような就職活動はしたことがないし、エントリーシートすら書いたことがありません。まわりに流されるようにして登録したリクナビやマイナビも、結局数回のぞいただけで、あとは大量に流れて来る、基準のわからない迷惑メールのようなおすすめ企業のメールをひたすらゴミ箱にぶちこむ日々。結局修了ぎりぎりで採用されて就職した会社も人間関係が圧倒的に合わず、僅か一年で転職する始末です。世間から見たら社会の落ちこぼれ枠に入るような人間でしょう。

 必死になって動き回って、お祈りされて、神経をすり減らしながらする就活は本当に辛い。そして数をこなせばこなすだけ、自分が無個性になるような気がして怖かった記憶があります。こんなにもお祈りされるってことは自分には才能がないのか、コミュニケーション能力が足りないのか、なにがダメなのか分からないまま時間は過ぎて行きます。そのような精神状態で進む卒業制作。集中できるわけがありません。おきまりの質問、決まり切った正しい回答、謎に厳しい就職活動のマナー。どんどん無個性になる就活生を相手に、採用担当は何を見て決定しているのでしょう。

 私はひねくれた人間なので、就活でいそがしいとか、今度は面接でここに行くんだ、などとひけらかす人が苦手です。忙しくしている自分に酔っているのか、周りに宣言することで気合いを入れているのかはわかりませんが、なんだか背中がかゆくなります。落ち着いて、最近じゃそれをエゴサしている面接担当もいるんだからさ、ちょっと控えたほうがいいのでは……といらない気を使ってしまいます。周りの圧力を気にせず、無理せず、自分のペースで、自分が納得いくまでしっくりくるところを探して欲しいと思います。妥協が一番危ない。後輩たちにいい未来がありますように。


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