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2020.8.12 FC町田ゼルビア vs 徳島ヴォルティス

先日、初めてサポートとメッセージを頂きました。改めまして本当にありがとうございます。非常にレビュー・プレビューを書く励みになりました。毎回Twitterでリツイートやいいねをしてくださる方々も本当にありがとうございます。


試合内容を見れば徳島の圧勝。得点差以上の差があると感じました。徳島としてはゼルビアに対して怖さを感じることは無く、ボールを持ち続ければ勝てるなと思ったことでしょう。

事前に定めた狙いどころ、奪いどころでしっかりとボールを奪え、そのまま得点に結びつけることができていたのは敵ながらあっぱれです。

それでは試合を深掘りしていきましょう。

スタメン

スタメン

町田
4-4-2
吉尾→森村以外の変更はなし
前の試合から中2日
平均身長(GK除く):177.7cm
徳島
4-2-3-1(3-4-2-1)
藤田→岸本以外の変更はなし
前の試合から中3日
平均身長(GK除く):174.2cm

失点から見える徳島の狙い

失点は水本のパスが相手に引っかかってカウンターを受け失点したというように表面上は見えます。あくまでも表面上は。水本がボールを触る前のプレーを遡ってみるともっと見えることがあります。

これはゼルビアの問題を把握していた徳島のゲームプラン通りの得点だったと思いました。過密日程の中で省エネサッカーをするためにはこのゲームプランが最適と考えたのでしょう。

では徳島のゲームプランとは何なのか。それはできるだけ前でボールを奪い、カウンターで先制した後はボールを保持しながらゼルビアのプレスをいなし、走らせて主導権を握り続けることです。

そしてこの「できるだけ前でボールを奪う」というところがゼルビアには厳しかったですね。前でボールを奪うために、徳島はほぼマンツーマンでプレスに来たため、ゼルビアはボールを前に進めることができませんでした。

徳島は基本的には即時奪回を狙うため、ボールホルダーを囲みボールをすぐに奪い返していました。ゼルビアがカウンターでゾーン2に入ってもそこから前に行けなかったのは、即時奪回という決め事があったからでしょう。

即時奪回をすることができない場合もあります。例えば、リスタート(ゴールキックやスローインなど)からの流れやビルドアップのやり直しなどです。この場合はどうしてきたか。

CBからSB(主に小田)にボールが入ると分かると同時にSH(主に西谷)がSBにプレスに行きます。これがプレスのスイッチです。失点の場面もそうです。SHがスイッチになり、垣田と渡井がCBへプレス、逆サイドの杉森や中盤以後の選手も連動してラインを上げ、スペースと時間を無くしていきます。

失点

髙江や海舟が最終ラインに降りてビルドアップの手助けをする猶予すら与えず、カウンターを狙い続ける。SBに前を向かせない、前方方向へパスを出させないを徹底していました。これが90分間継続して出来ていたのは中3日あったということ、そして交代選手の戦術理解度が先発メンバーと遜色ないという理由があります。コンディションの差はインテンシティの差に表れていたと思います。

徳島のボール保持についてはまた別の機会に。


スペースを作る意識とボールをもらう意識

今節も無得点。そして攻めあぐねていた印象が強い方が多いと思います。先ほど述べたように徳島のプレッシングが素晴らしかったという理由もありますが、ゼルビア側にも攻めあぐねた理由は当然あります。

それはボールホルダーの判断のスピードが遅いという浅瀬の問題ではなく、もっと深い深層の問題なのです。この深層の問題というのは、ゼルビアの選手にはスペースを作る意識とボールもらう意識が欠けているということです。特にサイドでこの2つの意識が欠けているように思います。

ボールホルダーに使わせるスペースを作る意識が無いから、狭いスペースでしかボールを持てないボールホルダーは相手のプレスによって窒息してしまい、ボールをもらう意識が無いから、ボールホルダーが困っているなと思って初めてボールをもらいに行くので、パスが繋がらない、後ろにボールを戻すしかないということが起きるのです。

もしかしたら自分のポジションから動くなと監督から言われているのかもしれませんが、完全に噛み合っている時は自分のポジションから動かないというのは有効ではないと思います。

例えばサイドでSBがボールを持っているとき。ツートップの一角が裏抜け、ダイアゴナルランをすることで、ハーフスペースを空けてあげることができますよね。このように動くことで斜めのパスコースを作ることができます。

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このような味方に使わせるためにスペースを作る動きがゼルビアの選手には現状足りていません。みんな自分のポジションに居続けることに必死なように見えます。

そしてパスをもらう意識もゼルビアの選手には足りていません。唯一森村がパスをもらう意識が強かったかなというくらいでした。基本前線の選手は横一列になり、ボールが来るのを待つだけで、ビルドアップを助けるという意識が無いように見受けられます。本来なら、平戸がビルドアップ隊と前線を繋ぐ役割を担うべきだと思うのですが、平戸も前線に張り付いていました。

ゼルビアの選手は「あいつにボール入ったからもらいに行くか」というふうに「ボールが入った・ボールを持っている」というファクトに基づいてのみ動いているように見え、「きっとあいつにパスが入るだろうからもらいに行こう」というふうに予測に基づいて動くことができていないように見えました。すなわち、自分がこれからパスを出すであろう選手(1人目)、そのパスを受けるであろう選手(2人目)に次ぐ3人目となる意識に欠けているのです。

「どうせパスは繋がらないだろうな」「疲れてるし無駄な動きになったら嫌だな」的な心理が働いて、動いていないということも考えられます。要は味方を信頼できてないということですね。

パスの受け手が自分がパスを受ける前に存在していないため、パスを受けてから探すので判断が遅くなる。だから2人目がパスを受ける前に動き始めようよ。選択肢を作ってあげようよ。そうすれば自然と攻めあぐねることは無くなるのではないか、もっと相手に怖さを与える攻撃ができるそう思っています。

現状こういう動きをできるのは森村と岡田、そして安藤くらいなので、連戦が終わってからこの動きを他の選手もできるように改善してほしいですね。


試合結果

町田 0-1 徳島
得点者:26' 西谷和希

さいごに

コンディショニングの差以上にチームの成熟度の差、監督の技量の差が出てしまったように思います。3か年計画の1年目として、目指すサッカーが定まっていない、見えてこないのは不安になりますが、戦っている選手と監督・コーチ陣を信じるしかサポーターにはできないので、今後の改善に期待するとして今節はここら辺で失礼いたします。

今節もお読みいただきありがとうございました。

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