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2020.9.23 FC町田ゼルビア vs V・ファーレン長崎

勝てた試合だっただけに、PK献上からの失点で引き分けというのはもったいなかったですね。それでもジョンがケガから帰ってきたりポジティブなこともあったので、シーズン後半戦が楽しみになりました。

それでは試合内容について触れていきたいと思います。お付き合いいただければ幸いです。

スタメン

スタメン

町田
4-4-2
前節から2人変更
平均身長(GK除く):174.9cm
長崎
4-2-3-1
前節から5人変更
平均身長(GK除く):175.1cm

追加点が欲しかった前半

前半10分に平戸のコーナーキックからオウンゴールというラッキーな形で先制に成功しました。前半はほぼゼルビアペースと言っても過言ではなく、決定機を何度も作り出しました。

前半はゼルビアのプレス強度が高く、2度追いや一時的な数的優位の形成によって高い位置でボールを奪取することができたこと、そして長崎の距離感の悪いビルドアップとネガティブトランジションにおける欠陥の存在。また単発な守備によって、ゼルビアペースとなりました。

ボールの支配率こそ相手に譲ったものの、プレッシングに行って高い位置でボールを奪い素早くゴールに迫る時間とボールを持って試合にテンションを落ち着かせる時間の使い分けがとても上手かったです。

そして触れなければならないのが、長崎の戦術上の問題です。これは大きく分けると4つです。

SBのポジショニング

ビルドアップ時はCBの間にCHの秋野が落ちて最終ラインは3枚、もう1人のCHの加藤がゼルビアのツートップの間に入る形でこれで4枚。両SBはSHが内側に絞ってハーフスペースにポジショニングしているため、大外のとても高い位置にポジショニングしていました。このSBのポジショニングが1つ目の欠陥です。

SBは最終ラインからのパスが受けられない位置にポジショニングしていたため、ビルドアップの出口とはならなかったため、ゼルビアにとってはそこまで脅威的な存在ではありませんでした。

このSBのポジショニングはもう1つの欠陥と結びついているため、後でさらに詳しく述べたいと思います。

ルアンの独りよがりが蔓延

トップ下がスタートポジションだったルアンは、ビルドアップ隊が自分の所までボールを運んでこないことにストレスを溜めたのか、低い位置まで下がってきてビルドアップに関わろうとしてきました。

ですがここまでは普段の長崎、この試合はケガで欠場した玉田がトップ下をやっている時と同じです。

違うのはここからです。玉田はビルドアップに参加し、パスを受けると前向きのプレーを選択する傾向が強く、パスを出した後の動きは前線に上がって再びボールに関わるような動きをしていました。

しかしルアンは、ビルドアップに参加しても再び出し手にボールを戻すだけでボールに触ることに満足しているような感じで、パスを出した後は歩いているような感じでした。

これが他の選手にも蔓延し、選手間の距離感が悪く、単発のロングボールやバックパスを選択する選手が多くなり、ゼルビアのコンパクトな守備ブロックを広げることができず、ゼルビアにとっては楽な展開となりました。

ネガトラの欠陥

こんなことからあまり押し込めず、ゼルビアのプレッシングにハマる格好となった長崎は自陣でボールを奪われることが多くなりました。

SBはビルドアップ時にとても高い位置にポジショニングしていたので、ボールを奪われると戻りが間に合わず、ちょうどSBの裏のスペースががら空きの状態でした。ここの空いたスペースを試合序盤から認知したゼルビアの選手たちは、そこに走り込む選手とパスを出す選手の意図が一致させることができ、ゴール前に迫ることができました。

横に広がりすぎた守備ブロック

これも距離間の悪さが原因かもしれませんが、守備の時のブロックが横に広がりすぎていたため、ゼルビアがサイドで作り出す数的優位とワンタッチのコンビネーションプレーに対応することができす、ハーフスペースやバイタルエリアががら空きという状況が生まれました。

そこを上手く使うことができたため、前半はゴール前に迫るシーンが多く、45分を通じて好印象でした。


修正してきた長崎とそれに対応できなかったゼルビア

前半は長崎に問題が多く、そこを上手く突けていたため、ゼルビアペースでしたが、長崎はハーフタイムの15分でしっかりと修正してきました。前半のところで述べた4つの問題をほぼ解決してきました。

SBのポジショニングについては、最終ラインからのパスを受けられるような身体の向き、ポジショニング、ゼルビアのSHを押し込むような動き方で、ビルドアップのところの問題をほぼ解決してきました。

SHを押し込むことで、最終ラインの選手(特に両脇の選手)に時間とスペースを作り、運ぶドリブルをしやすい状況を作りました。

ルアンが必要以上に下がってくる、チームの動きが単発だという問題は、ルアンには下がらないようにツートップの一角という役割を担わせ、ビルドアップの目的地にはゼルビアの最終ラインの裏のスペースを設定することで、この目的地、ゴールに向かってチーム全体が有機的な動きを見せていました。

そのため、ボールに行く意識が強くボールウォッチャー癖があるゼルビアの選手たちは、全体的に後手に回ってしまい、クリアするので精一杯な場面が多くなってしまいました。

守備のところでも改善が見られました。

SBのポジショニングが改善されたことでカウンターを食らうことが減り、守備ブロックを作った時も全体的にボールサイドへ寄ることで、ゼルビアがボールサイドに人数をかけコンビネーションで突破するというシーンは少なくなりました。

しかし裏を返せば、逆サイドが空いているためサイドチェンジが効果的になります。ですが実際にサイドチェンジを行って上手くいきかけたシーンは52分あたりのシーンしかなく、ピッチ上で問題解決する能力に欠けていることがわかります。

このように後半に修正が入った長崎と、何も手を打つことができずスタミナ切れで尻すぼみ状態になったゼルビアと前半とは正反対の展開になりました。

長崎の攻撃を跳ね返すほどの力も後半の半分を過ぎたころには無くなり、PKを献上、失点し同点で終戦しました。


試合結果

得点者:10' オウンゴール
    81' ビクトル イバルボ

さいごに

決定力不足が改めて浮き彫りになった試合ですが、まあそのほとんどが平戸のシュートで、平戸に決定力を求めすぎるのも違うのではないかと思ってしまう試合でした。

ストライカーである安藤が潰れ役に周り、落としを前向きに受けるのが平戸なので、必然的にフィニッシャーが平戸になるのは仕方ないですが...

試合終了間際の連続したチャンスシーンでどれか1つでも決めていれば...と思ってしまいました。また、平戸に代わって酒井が出てくるというベンチメンバーの編成には疑問を抱いてしまいました。ステファンとドリアンを2人ともベンチに座らせることはベンチメンバーの枠の無駄遣いではないかとか諸々。

次節は好調な栃木なのでどう戦うのか楽しみです。

今節もお読みいただきありがとうございました。


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