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【レビュー】2020.07.11 町田ゼルビア vs ザスパクサツ群馬

やりました!やりました!今季初勝利ですね。これまでの3試合で負けてはいませんでしたが、同時に勝ててもいませんでした。そんな中アウェイで今季初勝利できたことは、中3日、ホームで行われる新潟戦に向けて弾みに繋がるのではないでしょうか。

スタメン

スタメン

町田
4-4-2
前節と同じスタメン
ベンチにステファンが戻ってきた
群馬
4-4-2
前節と同じスタメン
元町田の林、平尾がスタメンで小島がベンチ

中島裕希の投入と得点シーン

プレビューでも書いたのですが、群馬は後半になると最終ラインが下がり、2列目の選手も最終ラインに吸収されることはあらかじめわかっていたことでした。

そして本来中盤の選手がいたところが空くので、そこのエリアを髙江がミドルシュートを打つのに使うことができるということはスカウティングでチーム全体に共有されていたと思います。

得点シーン

群馬もそこが自チームの弱みであることがわかっているので、試合中に監督がラインコントロールについて指示している声がDAZNの中継にも入っていました。

群馬は後半の序盤まではハイラインを保ち、ゼルビアの攻撃を窒息させるがごとくコンパクトな守備ブロックを形成していました。

この群馬のハイライン・コンパクトな守備ブロックに綻びが見え始めたのが55分の中島裕希の投入後からです。

裕希さんの裏を狙い続ける動きは、ディフェンスの選手にとって後半の体力的に厳しい時間には本当に嫌な動きです。ディフェンスの選手は無意識に走る距離を短くしたい、危険なシーンを作らせたくないと思うと自然にラインが低くなり、後ろに重たくなります。(実は深津もよくやる)

この裕希さんの裏を狙う動きが功を奏し、相手のブロックを後ろに下げ、髙江のゴールが生まれました。もちろん髙江のシュートが素晴らしいのは言うまでもありません。

これは試合後のコメントでポポヴィッチ監督も言及していて、狙い通りだったと言えます。

–後半の割と早い段階で中島裕希選手を投入した意図を聞かせていただけますか。
「安藤(瑞季)も非常にハードワークをしてくれましたが、彼も消耗していましたし、裕希のボールを収める能力、背後を突く動きが必要なゲーム展開でしたから起用しました。裕希の背後を取る動きは質が高いですし、相手に対して非常に効果的な動きができると思ったので、起用しました。(後略)」


次節以降の相手が髙江のミドルシュートに警戒してきた場合は、安藤なり裕希さんが裏抜けを狙えばいいし、逆に裏抜けを警戒されて低いラインで守備してきたのなら髙江がまたミドルシュートを狙えばいいじゃんという風に攻撃が上手く回っていくのではないでしょうか。

頑張れ深津、前向け深津

特に20:15前後のピンチに代表される深津のボールに関わるプレーでの課題が見えてきました。

まず20:15のシーンは奥山が攻撃をやり直すために水本に1回ボールを下げ、パスを受けた水本が近くの深津にパス、深津がダイレクトで水本に返そうとしますが、パスがずれて群馬の中山選手に奪われ、普通なら失点しているようなシーンでした。

深津ピンチ

このシーンでの問題は水本と深津の距離感。近すぎて中山1人で水本・深津の2人を見れる、プレスに行けるといった感じです。これでは特にパスが意味を持たず、出し手が体勢を整えるくらいの意味くらいしかありません。

改善するとしたら、2人の距離を広くとって中山に短いランでプレスに行かせないようにする。相手が来てるからといってすぐにパスを返して逃げない。パスの精度を上げるといったところ。

特に距離感はチームでもうるさく言われているようで、サイドに開いて距離を長めにとることは約束事なので、徹底してほしいものです。

このシーン以外でも、深津は相手が少しプレスに来たくらいでバックパスをするシーンが目立ちます。フリーでボールを持っているときは積極的に縦パスを入れているように見えます。ですが少しプレスに来られるとバックパスしてしまします。

これでは相手に守備ブロックを整える時間を与えてしまいますし、攻撃のテンポも落ちてしまいます。最初から水本や髙江に配球役を任せるということもできますが、これはおすすめできません。

その理由は、深津以外のパスコースを遮断され、深津がプレスの的になってしまう可能性が高いからです。群馬もボールの扱いが上手くない深津や奥山に厳しくプレスに行っているように見えました。これは群馬だけではなく、他のチームも当たり前のようにしてくると思います。

20:15のようなシーンを今後作らないためにも、深津には前を向いてチャレンジしてほしいです。


サイドで守り切った守備

群馬の攻撃の特徴はひと言で言うとゾーン3のサイドでの接近と展開です。サイドに人数をかけてパスを繋いだり、ドリブルで突破するなどして宮阪・高瀬・岩上あたりがクロスを上げ、中央で林や平尾が合わせるという形です。

この試合でも群馬はサイドで数的優位を作ろうとしてきました。ですがゼルビアの両SBが1対1で圧倒し、そもそもゾーン3に侵入させないことが多かったです。

ですがスローインやファールなどで侵入されることも何度かありました。侵入されたとしても密集に密集をつくることで対抗し、クロスを上げさせる前に潰す。ボールを奪うということが出来ていました。

そのため、ゴール前でクロスに合わせてシュートを打たれるといったシーンは少なかったと思います。無失点だった理由の1つだと思います。

群馬のゲームプランの崩壊とリンクマンの交代

田中に代えて進を入れて「さあ点と取って勝とう!」というメッセージが送られた中での平尾の負傷。これは群馬にとっては予想外すぎてゲームプランが崩壊してしましました。

平尾は今季の群馬では攻撃の中心選手で、この試合では奥山に完封されていましたが、平尾の生き生きとしたプレーを見て、去年の起用法を残念に思うゼルビアサポーターの方もいたと思います。

群馬ベンチ的にも平尾はフル出場させるつもりだったと思います。ですが負傷でピッチを退き、10人になっている間にプレーを切れずに失点。群馬側にとっては完全にゲームプランが崩壊してしまいました。

今季の変則的な交代枠は5枚、ただし交代回数は3回まで(HTは除く)というレギュレーションの存在も影響していると思いますが、群馬にとっては悔やまれる負傷でした。

また失点直後に群馬は交代でこの試合で素晴らしい働きをしていた中山を交代してしまいました。これはゼルビアにとっては非常にラッキーな交代でした。

なぜラッキーだったのかというと、中山はゼルビアの最終ラインと2列目の間や選手と選手の間でパスをもらう能力が高く、群馬がボールを前に運ぶためは必要不可欠な選手でした。ライン間・選手間を動き回るので、ゼルビアの選手も中山への対応に苦しんでいるように見えました。

ですが76分の中山交代後は失点直後もあってか、攻撃陣のベクトルが前に向きすぎて攻撃が単調になり、ゼルビアにとっては守りやすい展開となりました。

完全に平尾の負傷からプランが崩壊し、先制することも同点に追いつくこともできませんでした。


試合結果

町田 1-0 群馬
得点者:75’ 髙江麗央

さいごに

前半にセットプレーからの流れで水本に決定機があり、後半にもコーナーキックから深津に決定機があったりと、セットプレー絡みの決定機が何度かあったことは今後の試合への好材料だったかなと思います。

この試合も無失点でしたし、守備陣の調子は良さそうですが、体力的なことも考えると中3日の試合で水本・深津の2人をどっちも使うことは考えられないので、CBの組み合わせが変わっても無失点を継続できるのかが楽しみです。

相手も勝ちのない新潟ですし、ホームで勝てるように平戸に祈りたいと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。


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