
「映画えんとつ町のプぺル」チケットの売り方がマルチ商法?代理販売に伴う『仕組みの欠陥』について【西野亮廣】
はじめまして、マーケターのアッポーと申します。
とつぜんですが、ぼくは他人の商売に文句を言う行為が、非常に嫌いです。
普段なら企業や個人がなにかしらの商売で炎上していても「買った人が満足してるならそれでいいだろ」と思って、むしろ叩く人を「バカだなあ」と軽蔑してるような人間です。
ですが、今回の映画「えんとつ町のプペル」のチケット販売のやり方には、非常に危険な「仕組の欠陥」を感じました。
そして、ぼくも西野亮廣さんと同じ「商売人」です。
商売人として、今後こういった「代理店マーケティング」を活用することも視野にいれていたので「仕組の欠陥」を作らないためにも、自戒の念を込めて今回の炎上の火種になった「仕組の欠陥」について記事にまとめさせていただきます。
失業保険(24万円)を使いプペルのチケット80枚を購入する人が現れる
【悲報】意識高い系くん、自分が優秀と思い込みとんでもないことに
— NHDM (@NHDMMMMM) January 11, 2021
新卒から一年で脱サラ後、アムウェイ、オンラインサロン、ネットワークビジネス、プログラミングに貯金を使い込み
最後は失業保険(24万)を使いプペルのチケット80枚買うが1枚も売れず一人で80回見るハメに pic.twitter.com/22rq12QXnK
このツイートにあるように、いままでアムウェイやオンラインサロン、ネットワークビジネスやプログラミングに課金してきた人が
こんどは西野亮廣さんの映画「えんとつ町のプペル」のチケットを80枚も購入したというツイートが流れてきました。
普通に働いて得た24万円ならまだしも、失業保険で得た24万をフルベットするというのは、ご本人からしたら相当な決断だったと思います。
ここまでみると、ただの「残念な話」ですが、
僕はこれを見た瞬間
『80枚もチケットを購入するということは、おそらく代理販売の権利もセットで売られたんだろうな』と推測しました。
調べていくと・・・
サロンメンバーがチケットを代理販売できる仕組みになっていました。
引用元:https://note.com/kouichi1997/n/n84ea35c59ead
こちらはチケットを80枚購入した方の書いたnote記事になります。やはり、代理販売の権利がサロンメンバーに与えられてました。
気になったのは
西野亮廣さんが今回採用した「代理販売の仕組」に存在する「仕組の欠陥」ほうです。
※代理販売自体は悪ではない
「代理販売ってマルチ商法みたいじゃね?」みたいな勘違いをする人が増えないように注意書きをしておくと
『代理販売の権利を渡す行為』自体は悪い仕組ではありません。
むしろ、今の時代商売人にとって代理販売の権利を渡すことは「普通の手段」ですらあります。
ソフトバンクも、光回線の営業も代理販売です。
アフィリエイトだって代理販売の一種です。
『他人が変わりに売ってくれる仕組み』や『他人が変わりに紹介してくれる仕組み』にはレバレッジが効き、大きな利益をもたらします。
もはや商売人には欠かせない手段の一種です。
今回ぼくが危険だなと思うのは代理販売の『仕組の欠陥』のほうになります。
商売人が注意すべき『仕組の欠陥』について
一般ムビチケコンビニ券1500円https://t.co/aToz2iV4NT
— のりたま (@nrtm5000) January 12, 2021
『映画 えんとつ町のプペル』シナリオ台本(直筆サイン入り)1,480円https://t.co/tXyCJhwaQY
『映画 えんとつ町のプペル』シナリオ台本(サイン入り)+ペアチケット 6,000円https://t.co/KVbCOvrQCb
今回の代理販売の権利は
チケットが1500円
シナリオ台本が1480円
西野さんのオンラインサロンに参加してる人はこれらをセット購入した場合、購入価格に金額を上乗せして販売していい。
という仕組みです。
この仕組みの欠陥ポイントは、
『素人』に仕入れ値を払わせ、仕入れた商品を販売できる権利をあたえる仕組にしたことです。
まともに商売をやってこなかった一般人が、いきなり大量在庫を抱えて、それを販売しろなどと言われても、売れるわけが無いのは明白ですよね。
むしろ在庫を抱えてしまい、赤字になってしまうのは至極当然のことです。
このプペルのチケットを80枚購入した人は、現在1枚しか売れずに途方にくれているそうです。身を投げ出す覚悟で、投資をしたのに。
苦しむ人がでない手段もいくつか存在する
今回の件は、失業保険24万円を全額使ってしまい、ほとんど売れずに苦しんでしまうような、苦しむ人がでてこない方法もいくつか存在します。
例えば、代理販売の権利を審査制にしたり
例えば、個人は買える在庫に上限を設けたり
例えば、仕入れ値3000円を買わせて売らせるのではなく、仕入れ値を0円にして、チケットが売れたらインセンティブがはいる形式にしたり
絶対にほかにもやり方があったはずなんです。
それなのに、このような苦しむ人が現れるような欠陥のある仕組を採用したのは、結果を急ぎすぎてるのではないかと考えます。
このチケット販売の仕組を採用したら、映画プペルはディズニーに勝てなくなる
ぼくは個人的に、西野さんを尊敬しています。西野さんが「ディズニーを倒す」という夢をもって新しいエンタメを提供しようと活動されてるのもしっています。
西野さんが本気で夢をかなえようと動く人で、その能力も備わった人だから、西野さんの言葉に心を動かされた事が何度もあります。
今回の映画「えんとつ町のプペル」がディズニー映画の売り上げを超えたら、ディズニーに対して西野亮廣が1勝した!と数えるのも、理解できます。
でも、ひとりが大量にチケット購入をして、購入した人が在庫を抱えたままで苦しんで、そんな状態でディズニーの売り上げを超えても本当に心の底から喜べるのでしょうか?
それって、本質的にディズニーに勝ったと言えるのでしょうか?
エンタメで勝つなら、ディズニーよりも多くの人を喜ばせることを「ディズニーに勝つ」と定義するのが道理じゃないのでしょうか?
今回の仕組を採用して苦しむ人がでてくるのなら、プペルの映画自体はディズニーに勝てなくなります。だって、人が苦しんでるから。
鴨頭さんとの対談がきっかけだった?【1月13日訂正:違った】
たしかこの対談の最後のほうで、鴨頭さんと西野さんが協力してプペルを広める話になり、その際に鴨頭さんが
「ひとりに何枚もチケットを買わせればいい」
みたいな話をしていたと思います。これをきいて「ん?」とは思っていたのですが、まさか本当にその案が採用されるとは思いませんでした。
訂正:上記は時系列的に鴨頭さんとの対談が行われる前にサロン内でのシェアがあったようなので、どうやら鴨頭さんの影響ではないようです。
最後に
今回の記事は個人的に、すごく残念な気持ちになったので書かせていただきました。ただ、商売をやっていると、予期せぬところで誰かが傷つくことは回避できないことだとは思います。もし、この記事が西野さんの目にとまったなら、在庫を抱えている方への返金を行うなうなどの、筋の通った対応をしていただけると嬉しいです。
また、自分もより商売人として、より一層「仕掛ける側」の在り方について考える機会になりました。購入者も悪いが、商売人にも人を悲しませない仕組みにする責任がある。この学びを活かせるよう、より深く思考しながら商売を行おうと思います。
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