いや我々こそが宇宙人だ:1085文字

地球に似合わない銀色の肌、レモン型の肥大した真っ黒い目、枝ほど細長い手足、ぬるりとしたツヤ。
まさしく宇宙人が私の目の前にふと現れた。
口と思わしき発生機関から決まり文句が出る。
「ワレワレハウチュウジンダ」
もはや圧巻だ。
感動すら覚える。
毛の生えない全身はからは何も読み取れない。
どうして欲しいというのだ。
言われるまで分からなかった。
このセリフの後は何をして欲しいんだ。
すると眩い閃光が私の目に突き刺さる。

考える間も無く体が反射的に顔を守る。
すると緑色のハンチング帽子形から触手の生えた生物が現れた。
目ん玉は複数存在しておりどれもギョロッとしている
「ワレワレハウチュウジンダ」
仲間かと一瞬思ったが違うかもしれない。
本物らしき宇宙人から2回名乗られると、自分が何を思っているのか何を考えて良いのかが全く分からなくなった。

放心する暇なくまた閃光が辺りを包む。
全長60cmほどだろうか人間の形に近く全身白色。
目は一つ鼻は無く口は顔の半分ほどある。
間髪入れず
「ワレワレハウチュウジンダ」
あれ。
なんか聞き慣れてきたな。
また突然まばゆい光が飛んで来た。

赤茶色の球体。リトルグリーンメンの目の配置がそのまま。頭から触覚が2本可愛らしく生えている。
多分言うだろう。
「ワレワレハウチュウジンダ」
言った。
と思ったが束の間宇宙人たちはお互いをキリっと見つめ合う。
赤茶色だけは何がなんだか分かっていない感じがする。
銀色のテンプレートみたいな宇宙人が口火を切った。
「ワレワレガウチュウジンダ!」
反論する形なのかハンチング形宇宙人がない口から反論する。
今気がついたがこいつはテレパシー的なので会話を行うようだ。
「ワレワレコソガウチュウジンダ」
60cmの宇宙人も黙っちゃいない。
「イーヤワレワレガウチュウジンダ!!」
口が大きいから声がデカい。
さっきテレパシーで会話をしている宇宙人がいたからかコイツが若干バカっぽく思えた。
赤茶色もようやく状況を飲み込めたようで
「ワレワレモウチュウジンダ!!!」
揉め始めた。
宇宙人が複数、しかも別種族ぽい奴らが現れ口論するという余りに現実離れした状況は私を途端に冷静にさせた。
「皆さん、ワレワレガウチュウジンダってそんなに言いたいんですか?」
宇宙人たちはこちらを見るもなく、目を全員大きく見開いた。
そして体が各々別色に変化すると、聞き取れない言葉が早口で流れ出した。
1人だけテレパシーなので鮮明に聞こえるのが、なんか面白い。
するとテンプレみたいなUFOが4機現れて各々吸い込まれていく。
図星だったんだ。
そうだよなぁ。
言いたくなるもんな。
「我々は宇宙人だ」
無意識に私も言った。

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