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【教えて】白杖を持った人と駅で出会ったときに何て声をかけたらいいか

twitterでつぶやこうとしたらまとまらなかったので、久々に出戻りました。
ただいま、note。


仕事帰り、19時過ぎはうんざりするほどの帰宅ラッシュで、働き人はみんな足が速い。
足が速い人たちだけなら、流れにうまく乗れれば逆に歩きやすいかもしれないが、あいにく品川駅は大きな荷物を持ってオロオロしている観光客も多いターミナル駅だ。

通路の真ん中はスムーズに流れているが、ホームを上がったすぐのところでなぜ立ち止まっているのかわからない外国人観光客が数人溜まっていたり、なぜ今すぐここでパソコンを広げなければならないのかわからないサラリーマンが端でしゃがんでいたりする。
駆け足でホームへ降りる人、だらだらとショップに向かう人、お手洗いを目指す人。
人という人が縦横無尽に歩いていて、自分の思い通りのペースで歩こうとすると、なかなか神経を使う駅だ。


私の前に白杖をついた人がいた。

最初の感想は「割りとすいすい歩いているように見えるな」だった。
自他ともに認めるツイ廃の私は、白杖を持っている人が一概に全盲とは限らず、人によって見え方が異なることを知っていた。
白杖を持つ人に向かって「見えてるんじゃねーか」などと突っかかる不届き者がいるというので、人によって見える範囲や明るさが違うのだという解説漫画のようなものを載せたツイートを読んだ記憶がある。

追い越した。
でも10メートルほど進んで、やっぱり気になって振り返った。

その人の足取りは重くなっていた。

一歩が半歩に。
半歩が数センチに。

ゆく人はみんな、彼の周りを大きく幅をとって避けている。
彼が咄嗟に動いてもぶつからないほどの幅だ。前後左右、測ったように3歩ずつくらい。
振り返ってよかったと思った。

私は彼の前に立った。
認識されなかったようで、彼が一歩近づいてきた。
慌てて、ぶつかる前に腕にタッチした。
驚かせてしまっただろうかと心配しながら声をかける。

「何かお手伝いすることはありますか」

義務教育の賜である。
学校で習ったのは遥か昔だったが、するっと出てきた。

「どこに行くんですか」だと不躾だし、「大丈夫ですか」もやや抽象的だ。
「何かお手伝いすることはありますか」だと相手にとって不要な申し出の場合は断りやすいとかなんとか、そんなふうに習ったような気がする。

彼が目的地を教えてくれた。
驚いた。彼がそのまま直進していたら、目的地へ出る改札口は確実に通り過ぎていただろう。
そして構内の突き当りに当たって、そのとき初めて周りの人に助けを求めて、またこの地点に戻ってこようとしたら、いったいどのくらい時間がかかることになるのか。
もし私が彼と同じ条件だったら、果たして改札口にたどり着けただろうか……。
私たちを取り巻く人の波を見回して少し気が遠くなった。

このまま彼が半歩ずつゆるゆると直進していたら、上野東京ラインのダイヤが少し乱れているようだったので、焦る人とぶつかっていたかもしれない。
彼の進行方向には、落とし穴のように山手線や上野東京ラインのホームへ降りる階段が口を開けていて、そんなホームへ足早に向かう人たちと、その流れを横切ってショップやお手洗いを目指す人たちによる複雑な人の流れができていて、目が見えていてもぶつかりそうになるくらい、たくさんの人が思い思いのスピードで思い思いの方向に歩いていた。

現に私はこのエリアですれ違いそこねたことが何度かある。
サラリーマンが肩にかけていた10kgはあるんじゃないかと思うほどの鞄と肘がぶつかったこともあるし、女性が手から提げていた紙袋の先で膝下を刺されたこともあった。
私なんか、見えているというのに人混みを行くのがヘタな田舎者なのである。

「この人を連れて安全に歩くにはどうしたら……」と迷ったが、何かしゃべらなければ彼を不安にさせるのではないかと思い、必死に頭を回転させた。

わからなければ聞けばいい。
彼にはこれが日常生活の一部なんだろうし、私が脳に冷や汗をかいたっていい案が浮かぶとも思えなかった。

「どうやって案内したらいいでしょう?捕まっていただいたほうがいいですか?」

腕を差し出すと、彼は腕ではなく肩に触れた。
歩くスピードに気をつけなければ、すぐに離れてしまいそうな力加減で、緊張した。

歩き出す。
秒で反省した。
何も言わずに左に折れてしまったからだ。
慌てて声をかける。

「左に向かいます」
「えっと、しばらく直進します」
「あぁ、普通に改札出ますか?それとも駅員さんがいるところのほうがいいですか?」
「ちょっと右にそれます。あ、もうちょっといくと点字ブロックがあります」

どう案内するのが正解なのかわからないのが怖くて何でも口に出した。
ついでにコミュ障を極めているので、どんな人が相手だろうと沈黙が苦手だ。

「品川は人が多くて、私もよく人とぶつかりそうになるんです、はは」

いや逆に避けられているこの人は人とぶつからないのでは?
なぜコミュ障が出会って1分足らずで共感ポイントを探ろうなんて無謀なことを?
失礼な話題だったかな?
穴があったらソッコー埋まって蓋をしたくなったが、なんとか踏みとどまった。

駅員さんがいるほうがいいと教えてくれたので、駅員さんがいるところまで一緒に向かった。
大きい駅ではだいたい改札の脇に駅員さんがいるスペースがあるものだが、品川駅はそこがちょっとした部屋みたいな構造になっている。

「ここに入ると駅員さんがいるのでもう大丈夫ですよ」

まったく大丈夫ではない。
駅員さんは、私が宣言したそこから数歩進んだ先の右手にあるカウンターの奥にいる。
一緒に入るべきだったのに、なぜか妙な遠慮が働いてその敷居をまたぐことができなかった。
余談だが、コミュ障によるこの謎の遠慮の正体は何なのだろう。
いざというとき、こいつのせいでいつもトンチンカンなことをしてしまう。

私が外から目で訴えると、女性の駅員さんが気づいて声をかけてくれた。
そこまで見届けて、私はまた人波に戻った。


私の案内は100点満点でいったら何点くらいだっただろう?
電車の中でひとり大反省会中である。


出合い頭の「何かお手伝いすることはありますか?」は正解だったのか?

いきなり目の前に立つのではなく、他の方法を習ったような気がするのに思い出せない……。

歩くスピードは最適だったか?

よく考えたら「しばらく直進」のしばらくとか、「ちょっと右」のちょっとってどのくらいかわからないじゃないか!

くそみたいな世間話の代わりに何を話したら沈黙を回避できただろう?

駅員さんへのバトンタッチは、完全にマイナス200点だったよな……。

というか、一度見失ったら二度と戻れない点字ブロック怖すぎじゃない?
何あれ、車2〜3台くらい通れそうな幅にたった1列しかないのはなんか理由があるんだろうけど知らん、怖いわ。


こういうことは数年ぶり、自分史上3回目くらいの出来事だった。
慣れないことをして神経が興奮したのか、まだ顔が熱い。



話はこれでおしまい。
こんな駄文を最後まで読んでくださってありがとうございました。

混雑したところで不自由そうにしている人がいたら、どんなふうに手助けをしたらいいか、もし、もっとスマートなやり方をご存知の方がいらっしゃったら教えてください。


PS.
一応さっき、こんなページを読みました。
→https://www.nittento.or.jp/news/koekake.html
クロックポジションか……。
「何時の方向」なんて、ワンピースを読むときくらいしか使わないから、咄嗟に出てこないなあ。

あと、画像はこちらのページからお借りしました。
点字ブロックは正式名称じゃなくて、正式には「視覚障害者用誘導ブロック」っていうんですね。
https://www.comeluck.jp

はあ、習った気がするのにまったく身になっていない……。


#エッセイ #雑記 #健康 #視覚障害 #福祉 #人

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28歳。新卒:ネット広告会社/総務/ライター/採用→転職:Web系クリエイター養成スクールの運営→怪我:鬱っぽくなり人生に挫折する→雇用保険受給:Webコンサル会社でバイト→今:リハビリ中。Webコンサル会社でバイト生活。働きたくても体がついてこないでござる。