創作

18

それは一方的に

先輩が他の人と話しているのが聞こえた。「ありがとう」笑いながら言ったようだ。はたと気がつく。ぼくが最近、彼女に「ありがとう」と言われたのはいつだったろうか。

……まあいいや。

ぼくはすぐに気を取り直した。そして、すでに心から見返りを求めずに先輩に尽くしていることを自覚して勝手に赤面した。

こんなに入れ込んでいたなんて。
#先輩とぼく #SS

もっとみる

なんか死にたくなるよね、春だから。
と、あなたが言ったから。

甘えるなよ。もういい大人じゃないの。

普段、ぼくと冗談を飛ばしあう先輩が、時々、ぼくの知らない時間を内包した年上のひとに見える。

そして確かに、その言葉の重さが理解できないほど、ぼくも子どもではなくなっていることに気づかされるのだ。
#先輩とぼく

冬の底

しんとして冷たい夜

寒いんじゃなくて冷たい

じわじわと霜が体に染み込もうとしてくるような、水分的な冷たさ

手元のスマホの明かりだけがこの海の灯台

しかし海の上じゃなくてまるで底

耳を塞ぐと誰もいない何も動かない暗く深い海の底

ひとりきりの海の底

光の粒が揺れる海面

大きくぽっかり頭の上にある月が穴のようで

指を引っかけようか

こじ開けてきっと海の上に出てみようか

右手の人差し

もっとみる

風花の夜の祝言1

この作品は、プランニングにゃろさん、ならざきむつろさん、角田文人さんから頂いたお題を交えて展開される「三題噺」です。

お題は、

●狸の嫁入り:プランニングにゃろさん
●伸びる枕カバー:ならざきむつろさん
●星の砂:角田文人さん

です。

どこで何が登場するかは、読んでみてのお楽しみ。

私の「誰かお題くれないかなー」というぼやきに素早く反応してくださり、また、同じお題で書くというイベントにま

もっとみる

風花の夜の祝言3

風花の夜の祝言1
https://note.mu/ringo3310/n/n09d83b165048

風花の夜の祝言2
https://note.mu/ringo3310/n/ndf9eb0136b86?magazine_key=m6c163f7d3d45

この作品は、プランニングにゃろさん、ならざきむつろさん、角田文人さんから頂いたお題を交えて展開される「三題噺」です。
お題は、
●狸の

もっとみる

その人は

私のことを「明るくていい人」と言ってくれる女の人がいた。
とてもきれいで愛らしくて、あんな人になれる食べ物があったらそればっかり食べるだろうと思うくらいで、あなたの方がよほど華やかで明るい、と思って、そう言った。

しかし、やはり彼女はきらきら笑って「そんなことないよ」と言った。

別れ別れになっても、いつまでも私の心の日の当たる部分で気持ち良さそうに両手足を伸ばして日向ぼっこをしているような人。

もっとみる

愛言葉

すっかり

きに

なって

ああもう

なんだろうどうしようもなくて

ただただ

にえきれない

おもいが

くるくるまわる

るてんする気持ちをうまくコントロールしよう

これまで

ともだちだったキミに

ばいばいして

はじめまして、新しい関係を始める合言葉は、せーの。









き。

もっとみる

風花の夜の祝言2

風花の夜の祝言1
https://note.mu/ringo3310/n/n09d83b165048

この作品は、プランニングにゃろさん、ならざきむつろさん、角田文人さんから頂いたお題を交えて展開される「三題噺」です。
お題は、

●狸の嫁入り
●伸びる枕カバー
●星の砂

です。

お三方の素敵作品はこちら。

●プランニングにゃろさん:瞬間小説『タヌキの嫁入り』
 →https://not

もっとみる

小さなサンタクロースとさんぽをする夜

ならざきむつろ様 企画
「大きなモミの木の下で」に捧げます。
https://note.mu/muturonarasaki/m/ma0a6ce4ce39f

。o○゚+.(☆)゚+.○o。。o○゚+.(☆)゚+.○o。。o○゚+.(☆)゚+.○o。

クリスマスなんてくそくらえだ。

今年のクリスマスは平日のど真ん中だった。
当然、日本のクリスマスなんて正月ほど重大な行事ではなく、ただの現象にす

もっとみる