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#007「幸せ」を生物学観点から考察します。

皆さんは今、幸せですか?
今回は、幸せを司るホルモンについて考察したいと思います!

参考にするのはこの本!
「脳に刻まれたモラルの起源」

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ヒトは、外的に規定された社会的なルール、つまりモラルの中でどのように振る舞い、どのように幸福を感じるのかを脳科学の視点から論じた本です。

動画はこちら!
https://youtu.be/uTmw0exvtBg


1. 物質的な豊かさはヒトを幸せにするか

日本では戦後、様々な科学技術が発展し、どんどん豊かになっていきました。

冷蔵庫や洗濯機によって家事は楽になりましたし、パソコンによって書くという労力も削減できるようになりました。

1958年から1986年、国内総生産も右肩上がりに伸びていきましたが、なぜか国民の主観的な幸福度は全く上がらなかったのです。

また、一般的に幸福度は年齢に対してU字カーブを描くと考えられています。日本人と欧米人の年齢と幸福度の関係を調べた研究では、幸福度は日本人と欧米人ともに若い頃は高く、30~50代で低下するという結果でした。

唯一欧米人と日本人が異なる点は、定年退職後の幸福度でした。欧米人は退職から幸福度がどんどん上がっていきましたが、日本人は低いままでした。

20年近く働き続け、退職後はお金も不自由ないくらいは貯まっているはずです。なぜ日本人はこんなにも幸福度が低いのでしょう?

別の調査により、定年退職後の方の半数近くが再就職を望んでいることが多いというデータがあります。

つまり、ヒトが幸せだと感じるためには物質的な豊かさだけではなく、非金銭的な豊かさが必要だということなのです。


2. 非金銭的な豊かさとは

ずばり、信頼関係が築けるコミュニティーの存在や、やりがいのある仕事がこれに当たるでしょう。先ほどのデータでは、定年退職前にあって、後にないものは、この2つだとも言えると思います。

信頼関係とはその名の通り、頼りたいときに相談に乗ってくれたり、見方になってくれることで構築されます。

また、やり甲斐のある仕事とは他人の役に立っている、他人から信頼されているといった経験からそう感じるものです。

両者に共通するキーワード、それが信頼です。

すなわち、非金銭的な豊かさとは、つまるところ「信頼関係」なのかもしれません。


3. 信頼感を司るホルモン、オキシトシン

実は、この信頼関係の構築に必要な「他人を信用する気持ち」というのは、オキシトシンというホルモンによって促進されることが分かっています。

オキシトシンは脳の視床下部(厳密には下垂体)から分泌されるホルモンで、女性が出産するとき(子宮の収縮を促進)や母乳を出すときに分泌されると言われています。

このオキシトシンは吸引するだけでも効果があるとされ、オキシトシンと信頼感の関係を確かめるために以下のような実験が行われました。

ある信頼ゲーム(簡単に言えば、見知らぬ人物への信頼の度合いに応じてその人への投資金額を決めるという実験)では、オキシトシンを吸引した方が投資金額、つまり他人への信頼が上昇したのです。

このオキシトシンの分泌量や感受性(オキシトシンによって体がどう反応するか)は幼年期に親から受ける愛情によって決まるという結果が、ラットやマウスによる実験で明らかにされています。

中には、オキシトシン感受性を左右する受容体に変異があるような遺伝的要因もあるようです。

また、オキシトシンはスキンシップやペットの飼育によって分泌が促進されることも分かっていますを

以上より、他人に対して不信感が強い方や他人の感情が分かりにくいという方は、オキシトシンと何らかの関係があるのではないかということが本書で考察されていました。

しかし、オキシトシンは良いことばかりではありません。嫉妬という感情や、他人の失敗を喜ぶことも、オキシトシンが関わっていると言われています。


4. 幸せになるためには

この本を読んで、日本人が幸せになるために必要なことは、「スキンシップ」だと思いました。

前述の通り、オキシトシンはハグやキスなどでその量が激変します。

あるレストランでウェイターがスキンシップを積極的に行ったところ、チップとして払われた合計金額が高くなったという実験結果があります。スキンシップによってオキシトシンが分泌され、信頼感が高まった故の効果であると考えられています。

欧米人は「イェーイ!」というかけ声と共にハグをしたり、頬にキスをしたりして友との再会を喜びますよね。しかし、日本ではハグやキスは異文化。

空気を読んで、察して…という特別なコミュニケーションを行います。よって、悟られまいと感情を表に出さないような国民性が出来上がったのではないでしょうか。

そこで、少しでもいいからスキンシップと取っていけばいいのではと無いかと考えた訳です。

直接ハグやキスはしなくても、バーチャルで物理的コミュニケーションが疑似体験できるような技術も開発されているみたいです。実際にしなくても、脳でオキシトシンが出るのなら、良いじゃないのよということですね。


5. さいごに

この前ラインニュースで見た、辻夫婦のラブラブの秘訣。
それは、1日30回のキッスだそうです。

やっぱり、スキンシップは他人(私は配偶者であっても結局は他人だという母の考えに賛成しています笑)への信頼感を高め、それが幸福感に、そして夫婦円満へと繋がるのでは無いかと考えます。

次に電車でいちゃいちゃしているカップルを見ても、寛大な心で見過ごすとしよう。日本の明るい未来のために…