栗原沙和子|リネン合同会社 CEO 兼 デザイン担当
相手の心を開く「傾聴」とは?
見出し画像

相手の心を開く「傾聴」とは?

栗原沙和子|リネン合同会社 CEO 兼 デザイン担当

みなさんこんにちは。
リネン合同会社CEO、クリエイティブディレクターの栗原沙和子(くりはらさわこ)です。

「傾聴」というコミュニケーションの技法があります。
もともとカウンセリング現場にて用いられてきたものですが、ビジネスでもすっかり定着した言葉で必要とされるスキルではないでしょうか。

今から10年以上前になりますがわたしが心理学を専攻して学んでいたときにもこの「傾聴」はカウンセリングの基本として出てきましたし、トレーニングをしたりしていました。
実際これには違和感があったのでこのトレーニングの成果は発揮されていませんが(笑)、お仕事では相手の方が心を開いてくれているからこそお話いただけるような内容を聞けたり、周りからもそれは栗原の特技だと言ってもらえることが多いので、わたしなりにやっている、ビジネスシーンで使える傾聴について書いてみようと思いました。なにか少しでも参考になれば幸いです。

傾聴のために必要な3要素

まずは傾聴というものがなにか、基本的な考え方について書きます。
「傾聴」を提唱したアメリカの心理学者カール・ロジャーズは、傾聴に必要な3原則を下記のように定義しました。

1.共感的理解(empathic understanding)
相手の立場になって話を聴く

もし自分が相手の立場だったら、という視点で話を聴くこと。
一見当たり前のように見えますが、みなさんは聞いてもないのにアドバイスや評価をされたことってありませんか?
そして自身も相手の話を聞いてついアドバイスをしてしまう、、そんな経験はないでしょうか。
これは相手の立場になっているのではなく評価者の視点になってしまっている証拠です。

よくコミュニケーションに求めるものの違いの例として、女性は話を共感してほしい、男性は結論を出したい、と言われたりしますが、これは違いということでもどっちが良い悪いということでもなく、コミュニケーションの段階が異なるだけなのでは思います。

アドバイスや結論は共感の先にあるものです。
自分の気持ちを分かってくれていない、理解してもらえていないと感じる相手からのアドバイスや評価は自分にとってプラスになるでしょうか。
聴く耳をもてるでしょうか。

もし本当に理解をしていないとしたらアドバイスは見当違いなものになるでしょうし、そもそもアドバイスを必要としていない会話かもしれません。
実は相手が自分を理解をしていたとしても「この人は分かってくれていない(=理解していることが伝わっていない)」と感じていたら、たとえ的を射たアドバイスだったとしても言われた通りにしてみよう、とは思ってもらえないかもしれません。

なので、すべてのコミュニケーションの基本であり大前提はこの「共感的理解」にあると思います。


2.無条件の肯定的配慮(unconditional positive regard)
善悪や好き嫌いといった評価をせず、肯定的な関心を持ちながら話を聴く

1.共感的理解と同じようなことかもしれません。
やはり自分の尺度で「評価」をするのは、相手に心を開いてもらうまでの過程では逆効果のように感じます。
それはたとえ相手が相談に来ていても同じだと思います。

実際に「○○をしたいと思ってるんですが、こんなことに困っていて…」という入りでいきなり「あー、それはやめたほうがいいですよ」とバッサリ切るような人がいます。
その人がしたいと思っていることは難しく、失敗をたくさん見てきた人間としては親切心で言っている場合もあるかもしれません。
しかし大事なのは結果的に苦労や失敗をしないで済むとかではなく、それをいきなり言われた相手がどう思うか、です。
まずは自分のやりたいこと、そう思うに至った経緯を聞いてくれることや興味を持ってもらえること、相談を受ける立場としての「評価」ではなく、一人の人間としての「関心」がもらえたら嬉しいと思いませんか?
こういった人と人との繋がりができてからようやく相談というのは本当の意味でスタートします。

スタートラインに立つ前に全力疾走してもそこにゴールはないはずです。


3.自己一致(congruence)
話を聴いて分からないことをそのままにせず聴き直す等、常に真摯な態度で真意を把握する

聞き直すことを悪いことだと思ったり、「こんなことも分からないなんて」と思われることを恐れるあまり、よく分からないことをそのままにしてしまうというのも会話の中でやってしまいがちです。
しかしその分からなかったことが話の核心、または話の本筋に重要なものだった場合、当然1の共感的理解がおろそかになり、会話や相談のゴール、結果にも影響を及ぼしてしまいます。
前後の話で補完できれば良いですが、そのまま話が進んでしまい、結局分からない部分が解決しなかったが今さら聞けなくなってしまうといった経験、誰しも一度はあるのではないでしょうか?

「今さら聞く」をやってしまうと相手は「じゃあ今までの会話は適当に返事していたんだ」と感じ、一気に信頼をなくしてしまいます。
信頼は積み上げるのに時間がかかりますが、なくなるのはあっという間で、そのきっかけは些細なことです。

そうならないためにも、少しだけ先まで聞いても分からなそうであれば「すみません、先程の話もう少し詳しく伺ってもいいですか?」と掘り下げて聞いてみたり「これって○○な時はどうなるんですか?」と話を広げてみたりすれば、「今のもう一度言ってください」と単純に聞き直すよりも「自分の話をより理解しようとしてくれている」と感じてもらいやすいのではないでしょうか。

「よくある傾聴」の違和感

さて、冒頭で書いた傾聴トレーニングの際に感じた「これって違うんじゃない?」と思ったこと。
それが「復唱」と「共感」です。

まず「復唱」ですが、傾聴の技法として「相手の言った言葉を繰り返す」というものがあります。
これは「先日大事な財布をなくしてショックだったんです」という話に「大事な財布をなくしてしまってショックだったんですね」と返すのですが、わたしはこれが大嫌いでした。笑
実際ここまで丸々オウム返しすることはないのかもしれませんが、それにしてもバカにされている感じがしないでしょうか?
またこちらが話したこととほぼ同じ言葉を繰り返して「〜ということなんですね」と言われたりすると、「だからそう言ってるじゃん」と思ってしまい当時のわたしは練習だと分かっていても嫌な気持ちになりました。

また「共感」についても「それは確かにショックですよね」というように、相手の気持ちに同調をしますが、これが繰り返されると軽薄な感じというか、うわべだけで返事をされている気がしてしまい苦手でした。
カウンセリングの現場では心が疲れている人や弱っている人とお話しするので、相手が選んだ言葉と同じ言葉を使って返事することは肯定感、受容感を与えるために必要なのかもしれません。
しかし、ビジネスではあまり有効でないと感じます。

一歩踏み込んだ理解を示す

では、どのような傾聴がビジネスにおいては有効なのか。
わたしは今までの経験から「一歩踏み込んだ返事」が良いのではないかなと感じています。
たとえばさきほどの例で言うと「先日大事な財布をなくしてショックだったんです」に対して「財布をなくしたというだけでもショックなのに大事な財布だったらなおさらですね」と返事をしてみるとどうでしょうか。
「そうそう、まさにそうなんだよ」と言ったような気持ちになってくれるかもしれません。
相手が言った言葉から感じていそうなことを想像し、そこから一歩踏み込む、少しだけ膨らませて返事をする。
そうすると「この人は自分を理解してくれる」と感じてもらいやすくなるように思います。

同じように仕事の相談であっても「部署が変わったんだけど慣れなくて大変なんだ」と言われれば「人間関係も変わるし、新しく覚えることも多くて慣れるの大変だよね」というように、一歩踏み込んで自分なりの共感を示すのが良いのではないでしょうか。
自分の置かれている立場や状況をそれだけ想像してくれている、考えてくれている、と相手は感じてくれると思います。
仮にそうではなかったとしても「人間関係はすぐに馴染めたんだけど、とにかく覚えることが多くて」と言われたりすれば話を引き出せますし、「慣れなくて大変」と言っていた真意が人間関係ではなくて新しい仕事を覚えることだと分かればより相手に寄り添った返答や、その先に良いアドバイスができるかもしれません。
これはまさに傾聴の3原則とイコールではないかと思います。

まとめ

今回は「傾聴」について書いてみました。
傾聴とは単に相手の話を聞くための方法ではなく、信頼関係を構築するためのものです。
相手の話を引き出すためには心を開いてもらうことがとても重要です。
心を開いてもらうには自分も耳だけでなく心を傾けて話を聞く必要があります。

そのためにも相手の立場に立つ想像力(共感的理解)、相手の話に興味を持って聞こうとする気持ち(肯定的配慮)、そしてしっかりと相手の言葉を受け止めようとする真摯な態度(自己一致)が改めて大切だなと感じます。

そしてもうひとつ、傾聴をする上でわたしが大切にしている「フォーカシング」という技法があります。
今回のお話は相手が言葉にしたものをどう拾い上げていくかがメインでしたが、フォーカシングはまだ言葉になっていないものを拾い上げて言葉にしていくという作業のことを指します。
次回はそのフォーカシングについて書いてみたいと思いますので、興味のある方はぜひそちらもご覧いただければ嬉しいです。

-------- キ リ ト リ --------

▼もう1人のリネンCEO noteはこちら

▼リネン合同会社についてはこちら

▼「リネンとお店を良くするラジオ」も更新中です!


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
あなたの今日が良い日になりますように!
栗原沙和子|リネン合同会社 CEO 兼 デザイン担当
リネン合同会社で中小企業の想い(理念)を言葉とデザインで表現するお仕事をしています。認定心理士、クリエイティブディレクター、webデザイナーです。 このnoteでは気持ちを伝えるコミュケーション方法や、思考整理についての気づきを発信しています。