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ストリーテリングタイプポッドキャストの作り方

こんにちは。アライ@翻訳です。

これは、読んでもらうために書いている文章ではなく、聴いてもらうための文章です。音声版を同時配信していますので、そちらを是非お聴きください。リンクはこちら
今回の配信は、ドングリFMパーソナリティーであるなるみさんが主催する「ポッドキャスト配信について語るアドベントカレンダー」にも掲載しています。詳しくはこちらのリンクをご覧ください。(アドベントカレンダーでは12/2公開予定となっています。

今回は以前予告していた通り、「ストーリーテリングタイプポッドキャストの作り方」についてお話したいと思います。

0.ストーリーテリングタイプとは?

そもそもストーリーテリングタイプとは?簡単に説明すると、ポッドキャストの作り方・フォーマットの種類の1つです。大まかに7種類ほどある作り方のタイプのうち、ストーリーテリングタイプというのは、1つの事件や事象を掘り下げるタイプ。

さて、今回はそんなストーリーテリングタイプの作り方に重要なポイントを3つご紹介したいと思います。

1.方程式

まずは、ポッドキャストの方程式から。
そもそも、ポッドキャストを作ろうと思ったとき、どんな事をやってみたいのか?どんな話をしたいのか?まず頭に浮かぶと思います。

例えば、「野球が好きなので、野球に関する話をしたい」「アートが好きなので、いろんな芸術家を紹介したい」など。いろんなジャンルがあると思います。ただ、そこで1つ重要なのが、その話、他人が聴きたいと思う視点や切り口を持っているかどうか?という事。

単に自分がしたい話をするのはいいんですが、例えば全く野球に興味がない人が聴いてみようかな?と思う切り口は何なのか?逆に野球の大ファンの人が聴きたい!と思う濃いネタというのは何なのか?これをまず考えることで、ターゲットリスナーが見えてきます。そこで役立つのがこの方程式。

I'm doing a story about X
It's interesting because Y
X についての話をしています。
それが面白い理由は Y だからです

スムーズに言い換えるとすれば、「Yが面白いから、Xについての話をしています」という感じでしょうか。使い方もシンプルで、このXとYに自分が作るポッドキャストの話を具体的に入れて、他人に伝えたときに、「おっ!続きが知りたい!」と思わせたら正解、「別に、興味ない」と思われたら不正解、というわけです。

仮に「アートが好きなので、いろんな芸術家を紹介したい」ポッドキャストを作ろうとした場合。次の二つ、どちらの方程式の方がピンときますか?

① 〇〇さんという芸術家を紹介する話をしています。
  それが面白い理由は、〇〇さんの絵がきれいだからです。
② 〇〇さんという自然をテーマに絵を描き続ける芸術家を
  紹介する話をしています。
  面白い理由は、〇〇さんのズタボロ人生があんな綺麗な
  絵のルーツだからです。

②の切り口の方が、断然ピンポイントで、内容が明確ですよね。解答例の詳しい解説は以前のnoteでもしているのですが、この方程式を使う事で自分が誰をリスナーとしてポッドキャストを作るのかが見えてくるだけでなく、話のスジを決めるのにも役立ちます。

この、話をスジが決まるという事、実は作り手としても非常に助かるんです。例えば、その芸術家にインタビューをする場合、どんな話をポッドキャストに収録したいのかが分かっているので、相手の芸術活動の中でもどこに焦点を当てて質問すればいいのか、効率的にほしい答えを取りに行けるんです。

もちろん、インタビュアーとしてのセンスがあるかどうか?という事ももちろんそうなんですが、ポッドキャスト作りビギナーの場合、インタビューセンスは磨く時間はなくとも、このような方程式を作りこんでから挑むという入念な準備がインタビューの出来を大きく左右します。

2.リスナーを飽きさせない方法

次は、リスナーを飽きさせない方法について。

実はポッドキャストは世の中に85万もの番組が存在します。その中でも、実際に話をダラダラしているものって実は結構あるんですよね。それが味だからいい!という番組ももちろんあるんですが、ストーリーテリングタイプでダラダラやってしまうと「不正解」。

そこで、特に編集の時に重要になってくるポイントです。

45秒~1分毎に”転調させる”

「転調」というと、音楽のキーを変える事です。曲を聴いていて「あっ、ちょっと雰囲気変わったな」って感じるときありますよね。この転調をすることで、何か新しさというか、新鮮さ、盛り上がりみたいなものを感じるんです。

ポッドキャストも同じで、淡々と話しているだけだと盛り上がりに欠けます。そこで重要になってくるのが、この転調。具体的に言うと、定期的に話の中でリスナーが「おぉ!これ新しい展開!」と思うような、変わった視点だったり、驚きの事実だったりを入れていくというテクニックです。

なぜ、45秒から1分なのか?
これ、ちょっと想像してみてもらいたいんですが、たまたま見つけたポッドキャストを再生する時、何秒ぐらい、試しに聴いてみますか?

人間が退屈を我慢できるだろう時間、それが大体45秒から1分なんだそうです。ただ、作り手として1分毎に毎回新しいものをどんどん詰め込むことも難しいので、その場合は裏技的にBGMを使う事でも雰囲気が変わります。

例えば、2-3分の長いモノローグがあった場合、1分超えたぐらいから少し音楽を入れてあげることで、ちょっと新鮮さが出て、その音楽に乗って聴き続けてくれる、というわけです。

音声メディアは、「ながら聴き」が出来る事が1つウリではあるんですが、だからこそ、気が散ってしまう事って多くあると思います。そこで、リスナーを飽きさせない方法として、この「転調」というテクニックは1つ使えるポイントだと思います。

3.一文字一文字を書き起こす

最後は、ポッドキャスト作りビギナーとしては、必ず通った方が良い!と実感した作業について。

インタビューしたら、一文字一文字書き起こす事。

実は、私もオンラインコースを終了した後すぐに、自分のストーリーテリングタイプのポッドキャストを作り始めたんです。

インタビューが終わった後、もちろん書き起こしがあった方が編集作業がしやすいので、しなきゃいけないなぁ、とは思っていたんですが、時間を取られる作業なので出来ればアプリを使って自動でできないものか・・・といろいろ探していました。結論としては、結局日本語の書き起こしで上手くいくものが見つからず、自分で一から書き起こすことに。

1時間半のインタビューの書き起こしに、3時間半近くかかりました。約2万字。大学の卒論と同じ文字量。

こうして、時間をかけたことで気づいたのは一文字一文字振り返る事の重要さ。

ポッドキャスト作りの初心者の場合特に、インタビュー中に起こったことって、本当に覚えてないんですよね。話の流れは記憶にあっても、相手が繰り返し使っていた言葉や、フレーズ、話し方が変わった瞬間や、本音が出た瞬間を、なかなかピンポイントで記憶をたどって編集をする、というような高度な事は出来ません。

一文字一文字書き起こしながら分かってきた事は、相手が話している内容だけじゃなくて、相手の感情のバロメーター的な部分に焦点を当てて聴き直すことが出来るので、どこが盛り上がっているのか?を洗い出して本編で「使えるコメント」というのが明確になるという事でした。

また、書き起こして分かった相手が良く使うフレーズをナレーションにも意識的に使う事で、話の繋がりが出来て、番組全体を通して1本スジが通りやすくもなります。

一文字一文字書き起こすなんて、本当に時間がかかる作業だとは思いつつも、実際はその後の構想にかける時間が短縮できるので、結局は効率的だったのかもしれない、と実は今感じている所です。

4.最後に

という事で、今回はストーリーテリングタイプのポッドキャスト作りに役立つ3つのポイントを紹介しました。今回のポイントはすべて、ポッドキャスト界の革命児Alex Blumberg(アレックス・ブランバーグ)自らがオンラインコースで教えてくれたものです。

業界の第一線が教えてくれたこの内容。実際に行動に移してみると、本当に的確なアドバイスだと感じています。

どんなジャンルのポッドキャストでも、作り方の基本はやはり、リスナーが聴きたいと思える内容をどう組み立てるかという事。それを実行に移せる今回のポイント、是非皆さんのポッドキャスト作りにも役立てばうれしいです。

それでは、次回のnoteで。

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