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ぼくがまだ産まれる前、まだ受精卵でもなく、まして精子と卵子として発見されるより遙か前、ぼくは死すら包括する円環の中でただただひたすらに時間が過ぎるのを待ち続けその時が来るのを待ち侘びていた。 その間、同時にぼくは死そのものであり死者でもあり未知なる生命の予兆でもあったが、生物では決してない、曖昧でしかし確かな存在として地球でも宇宙でもない、有限も無限もない空間を浮遊するだけの何かであった。 この事実は胎内に居る時の記憶があるとか誕生の瞬間の情景を蕩々と語るといった非科
魔法の呪文「ワン・マウス、ツー・マイス」 それさえ覚えれば良いっていうわけじゃないけれど、覚えておくといいんだ。 ぼくの緑色の「肺皿」を使ってもいいよ。 まったくあのメイヤーのせいで、シティではもう煙草を買えないね。 彼のヴァイジャイナで再上映されているのはハーモニー・コリンの作品だっけ? 彼女の強固なピーナスは彼女自身に安心感を与え、それは全人類の母性と父性を温め続けている。 残念だよ、僕はクロエもハーモニーも大好きなんだ。 この街のアンダーグラウン
あたしの人形にさわらないで あたしの許可無く だって私の物なんだもの 私の子なんだから あたしの人形にさわらないで 私の許可無く だってあたしの性なんだもの 私の物なんだから あたしのあの子なんだから 私の所有物なんだから あたしのかわいい存在なんだから 私に帰属する物なんだから だから勝手にさわらないで さわったらどうなるか よくよく考えて頂戴ね 【了】
眼球もしくはまぶたの叛乱。流されてゆくアティチュードは根無し草であること自体がすでに存在価値で。 (だったらおまえが死ねよ) たった一日のちっちゃな不条理の破片が毛細血管の中にぴったりとマッチしてしまう。血液は停止するも脳漿はすぐにでも外界で踊れるようにとタップダンスの練習に余念が無い。 よって今夜も死ねないかもしれない。何しろ心臓が止まってくれないのだから。 【了】
少し 不平等ではございませんか? 働くこと 即ち お金を稼ぐこと そのようなことで ただそれだけのことで 「大人」 か否か 断罪されてしまうなんて まったくこの社会というやつは この社会で真っ当に生きていける人々は あんまりではありませんか? そこにはもはや 人間性や 知能指数や障害の有無は存在せず 精神科医でさえもが 臨床心理士さもえが—— 「お金を集めろ それしかもう 言われなくなった」 あたくしは この小さな胸の内
だって素敵だったじゃないですか。 『インターネット』を『ネット』と略すだけで奇異の目で見られていた時代。 CGIやPHPを玄人が作成し配布し、素人が学び、レンタルサーバーを借りて設置して、カスタマイズなんかしちゃって、様々なタイプの掲示板=BBSで様々なタイプのコミュニケーションが様々な速度で行われていて。 2ちゃんねるが問題視される前からあめぞう見てた僕なんかが思うのは、昨今飽和するSNSの方がよっぽど危険ってこと、ある見地からすればね。 少なくとも2ちゃんには
願った 確かに、願った 切望した希望した希求した熱望した この道が、この坂が、命果てるまで続くことを あれからどれだけの時間が流れ、 どれだけの叫び声が響き、 どれだけの涙が結晶化し、 どれだけ「もう嫌だ」という慟哭をあげたか分からない それでも進めと 貴方は言うのか ——坂の途中 登れず暮らすという—— それすらままならず それずら赦されず ただ両脚が粉々に砕け散り 頭ばかりがその体積を膨張させ続けた、 その結果として、今、 座骨と額を
ただ 努力というやつにはきりがございませんから どこかで手を打つか 手を引くか もしくは命果てるまで手を休めないこと 選択肢はあまり多くないのかななんて 僕なんかは思いますけど
思うのです。 今ただこうして 冷風を頭から浴びながら、 それはこの身体を守るはずの行為のはずであって、 決して怠惰でも何でも無いのですが、 現状。 やらなければならないことがほとんど進んでいない中、 それでも身体はまだ睡眠を求めており、 私は寝床から脱出したのですけれど、この頭ときたら、 嗚呼、やはり、動きにくい。 それでも昼夜転倒だけは駄目です。 あたくしは太陽、暴力という太陽と、それでも共生していくしか、 他に道はないのです。 【了】