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連載小説「おっさんJCりーりのブルース」

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「なんじゃいおまえらそろいもそろって偏差値上げる時間あるなら品性を磨け!」 『留学』が『ピアノを習う』、『塾に行く』と同レベルで浸透している近未来。 中学二年生で帰国子女の篠崎…
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連載小説「おっさんJCりーりのブルース」第3話(約2600字)

連載小説「おっさんJCりーりのブルース」第3話(約2600字)

03:何これ脅迫? はてさて、ワタクシがですね、ホームルーム終了後に担任教師に名前を呼ばれた時、これ完全に不意打ち、誰々さんや何々さんのように部活に打ち込んでいるわけでもない俺は、とっとと学校鞄を背負って、今日は何のマンガ買おうかなと思いを馳せる程度に茫洋とした状態だったわけであり、担任が、

「篠崎、ちょっといいか」

 と言って寄ってきた時はぎょっとせんばかりに飛び上がった、垂直跳び二センチ。

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連載小説「おっさんJCりーりのブルース」第2話(約2400字)

連載小説「おっさんJCりーりのブルース」第2話(約2400字)

02:友情諦念賛歌 ん、そうこうしている内に授業が終わる。面倒な時間の到来だ。私もね、決して争いごとを好むような人間ではないのです、ただただ疑問に思うのです、何故一緒に便所に行かにゃならんのか、机くっつけてメシ食わにゃならんのか、とかな。つまり俺にとっての休み時間とはこれ即ち授業中、うん。

 あっはっはーい早速お友達の何々さんと誰々さんがママお手製の弁当持って俺の机に向かってくるぜ! いや便所、

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連載小説「おっさんJCりーりのブルース」第1話(約2400字)

連載小説「おっさんJCりーりのブルース」第1話(約2400字)

01:見た目はJC、中身はおっさん! え、それ俺やん つかね、こんな俺にもね、それなりの苦労ってやつがあるんよ。あ、思わず俺って言っちゃったけど私ね、女です女。
 いや、俺とか言いたくなる苦労っぷりだわ昨今。なんかさー、いつまでこの『女子中学生』なる身分、そう身分に甘んじることになるのかと。ん、いや、俺今二年だから実質あと一年三ヶ月ってのは、ね、分かってるんです頭では。しかしですよ、卒業という名の

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