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『肩胛骨は翼のなごり』を推薦する3つの理由(ネタバレ無し)

 この記念すべき私の初投稿では、一番好きな本『肩胛骨は翼のなごり』の魅力あふれる世界へ、あなたをお連れします。

 はじめに少しだけ、私と本の紹介をして、その後で『肩胛骨は翼のなごり』の魅力をできる限りお伝えします。

『肩胛骨は翼のなごり』との出会い

 私はこれまで、年に300冊ほど読んできました。幼少~小学2年頃までは絵本や児童文学も多かったのですが、今では夏目漱石や坂口安吾、ヘミングウェイの作品が気に入っています。
 そんな私が『肩胛骨は翼のなごり』に出会ったのは中学1年生のときでした。私は中学受験の勉強で忙しくなる小学5年の冬まで、Iさんが営む私設図書館に毎週通っていたのですが、家から遠い私立中学に通うため、引っ越し、Iさんとは疎遠になってしまいました。夏休みに、時間を見つけて久しぶりに訪れたとき、Iさんが私に勧めしてくれたのがこの『肩胛骨は翼のなごり』だったのです。これは今では私が一番好きな本になっています。

『肩胛骨は翼のなごり』ってどんな本?

 『肩胛骨は翼のなごり(原題:Skellig)』はデイヴィッド・アーモンドが書いた物語です。アーモンドは、イギリスで児童文学として出版しましたが、日本ではヤングアダルトに分類されるようです。
 主人公のマイケルは、引っ越したばかりの家の壊れかけのガレージに潜り込んだとき、「彼」を見つけます。

 死んでる、とぼくは思った。彼は両足を投げだしてすわり、顔をのけぞらせて、頭を壁にもたせかけていた。ガレージの中のほかの品々と同様に、彼もほこりまみれで蜘蛛の巣だらけだし、顔はやせおとろえ、蒼白い。髪や肩にはアオバエの死骸が散らばっている。ぼくはその蒼白い顔と黒いスーツに懐中電灯の光をあびせた。
「なにが望みだ?」彼は訊いた。

マイケルは、「彼」を助けようとするうちに、「彼」の秘密を目の当たりにします。
 ネタバレになるので、ここから先は読んでのお楽しみ、ということにしておきます。ちなみに、この本は山田順子訳で東京創元社から単行本と文庫本で出版されています。

私が『肩胛骨は翼のなごり』をお薦めする3つの理由

それでは、本題に入ろうと思います。

①幻想的な世界に浸れる
 
アーモンドの作品の特徴は、日常的・現実的な世界を描きながらも、その中に非日常的・非現実的な要素が自然に交じりあい、絡み合って独特な雰囲気を醸し出していることだと思います。それが最も顕著に現れているのがこの『肩胛骨は翼のなごり』なのです。アーモンドの作品を読むことで、日常にありそうで、ないかもしれない、でもきっとどこかにはあるはず、そんなファンタジックな世界に足を踏み入れることができるのです。

②ファンタジーの底力を知ることができる
 「ファンタジー」と聞くと、それだけで嫌悪感をあからさまに示す人をときどき見かけますが、それは、本当に素晴らしいファンタジーに触れたことがないからではないでしょうか。「ファンタジーというのは、主人公が窮地に追い込まれるけれど、いつの間にかあり得ないほど幸運な魔法が起こって、助け出される、そんなパターンばっかりで面白くない」と考える人も多いかもしれません。『肩胛骨は翼のなごり』はファンタジーですが、このパターンには全くあてはまりません。確かに、マイケルは試練に立ち向かうのですが、「彼」や隣人の変わった少女ミナの力を借りながらも、自分一人で乗り越えて、成長していきます。これを読めば、ファンタジーって、こんなに凄いものだったんだ、というような大きな衝撃を受けると思います。

③現実の良さに気付くことができる
 ファンタジーが現実逃避の文学であることは否定できません。なぜなら、ファンタジーの根底には、人間を取り巻いている数多のしがらみから自由になりたい、という願望が流れているように感じられるからです。『肩胛骨は翼のなごり』でも、その願望が「彼」の存在を作り上げているのだと思います。けれども、ファンタジーには現実逃避以上の力が秘められています。最後にして最大のお薦めする理由が、『肩胛骨は翼のなごり』を読むと、現実にありふれていて、気にも留めなかったような物事が、美しく見えるというから、です。ファンタジーは、あなたを空想の世界へいざない、その後で日常の世界に連れ戻してこそ、ファンタジーと言えるのだと思います。非日常から帰って来たとき、あなたは現実世界の神秘に目を見張るでしょう。そんなファンタジーの唯一無二の力を、最も見事に描いた作品が、『肩胛骨は翼のなごり』なのです。

 まさに、『肩胛骨は翼のなごり』はキング・オブ・ファンタジー、世の中で(私が読んできた本の中で)、最も素晴らしい物語なのです。幻想的な世界に飛び込み、素晴らしいファンタジーを骨の髄から味わうことで、現実の良さに気付く、これぞ、ファンタジーを読むことの醍醐味ではないでしょうか。そんなファンタジーの神業、ひいては小説の神業を体現しているのが『肩胛骨は翼のなごり』なのです。

 ヤングアダルトに分類されるからといって、大人が読むと退屈なものである、という訳ではありませんし、寧ろ、『肩胛骨は翼のなごり』は現実社会に(子どもよりも)疲れているであろう大人にこそ、読んで欲しい作品です。決して子ども向けではないので、この夏に、ぜひ読んでみてください。

 この投稿が私のnoteでの初投稿なのですが、自己紹介代わりに、好きな本について書いてみました。この投稿をきっかけに、『肩胛骨は翼のなごり』を手に取る人が増えることを祈っています。もし良ければ、大変励みになるので、このアカウントをフォローしてほしいです。よろしくお願いします。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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関西の某男子校に通う本の虫です。 読んだ本の印象深い言葉や感想などを、Twitter(https://twitter.com/RIN_rin7104 )と同時並行で投稿します! 書きためたショートショートも投稿するつもりです! マガジン「これを読めば地学がわかる!」も更新中です。
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