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中年保育士は子どもに助けてもらって成立している

最近子どもたちが頼もしいし、優しい。
いや、もともと子どもは頼もしく優しいのだろう。それに私が気が付かなかっただけなんだと思う。

中年の私は、できないことがたくさんある。

まず、走れない。

子どもと一緒に全力で遊んだら、本気で具合が悪くなってしまう。若い保育士さんが羨ましい。子どもがせっかく誘ってくれたのだからと思って、無理をして走っていたこともあるが、そういう無理は長くは続かない。仕事中に倒れたこともあるので、今は先に理由を話して断わることにしている。

「誘ってくれてありがとう。でも先生おばあちゃんだから、走るとすぐに疲れちゃって、具合が悪くなっちゃうんだ。だから、鬼ごっこはできないの。ごめんね」

他にも体を使って思いっきり遊ぶことはほとんどできない。重いものも持てないし、抱っこも長くできないし、床に長く座っていたり、正座や膝立ちもダメ。

あれもこれもダメ。

無理しても、無理しきれない。保育士は子どもと遊ぶのが仕事なのに、こんな自分は保育士として成立してるんだろうか、保育士失格だな…と自分で思ったりしていた。

でも、子どもはすごい。

そんな私の特徴を覚えてくれて、「りんこ先生はいすに座ってていいよ」「りんこ先生はここで立ってる役ね」などと走ったり座ったりしないで遊びに参加する方法を考えて仲間に入れてくれるのだ。

重い荷物を持っていると「持つよ」と手伝ってくれる。私が「わー助かるありがとう!」と言ってお願いすると、とても誇らしげな良い顔をする。

小さい子が泣いて、私が抱っこしようとすると、大きい子が椅子をもってきて「はい、椅子。りんこ先生、膝痛いからいるでしょ」とスマートに言ったりする。そんな時は、世の中の理を理解している顔に見える。

私はうっかりしているので、自分にできないことがたくさんあったから、子どもの頼もしいところ、優しいところ、賢いところにやっと気付けたような気がしている。なんでも完璧だったら、素敵なものを見逃していたかもしれない。そう思ったら、中年で体もあちこちガタがきている、できない自分も悪くないなと思った。

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