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ビジネスという共通言語を身に着けよう (データサイエンティストが学ぶビジネス その4)

はじめまして。
普段IT系の会社でデータ分析やシステムの開発・運用などをしているrilmayerというものです。

データ解析職として新卒で会社に入社してから3年目に突入したので、会社での学びを自分なりにまとめて共有していこうと思います。
自分が新卒の時に知っておきたかったことや、振り返ると重要だったなぁと思うことをいくつかテーマとしてピックアップして掘り下げていこうと思います。

ということで今回のテーマは「ビジネスという共通言語を身に着けよう」です。

ビジネスを学ぼう

さて、あなたは自分自身が取り組んでいる仕事がどのように価値を生み出しているか把握できていますか?
会社に入ると、あなたがエンジニアだろうが、データサイエンティストだろうが、営業だろうが、研究者であろうがビジネスを行うことになります。

ビジネスを行うとなる際、自分がビジネスをどれだけ理解しているかは当然重要になります。
社会人をやって思ったのが、ビジネスは学ぶことができ、実際に学ぶべき重要事項であるこということです。

今回はビジネスの中でも「他者の価値を理解する」に焦点を当てて深掘りしてみたいと思います。

「このシステムが出来上がったら、ユーザーはめっちゃ嬉しいはずです!」

入社1年目、自分はとあるシステムを思いつき、業務の空いた時間でチコチコとプロトタイプ(施策品)を作っていました。
そしてプロトタイプの完成とともに、上司に意気揚々とそれを見せに行ったのです。

「このシステムが出来上がったらユーザーはめっちゃ嬉しいはずです!」

そのときの私は以下のような言葉を期待していました。
「すごい!これは価値がある!会社として開発の手配をして取り組んで行こう!」

ところが、実際の反応はいまいちで、いまいちどころかそもそも興味を持ってくれていないような状況でした。
なぜか。ショックで色々と考えたところ、ありうる原因は以下の3つでした。

1. (システムの)価値をきちんと伝えられていない
2. 自分が考えた方法(システム)そのものがイケいない
3. プロトタイプの完成度が低い

そして、振り返るとその時の最も大きな原因は「1. 価値をきちんと伝えられていない」でした。
(2, 3に関しては別記事としてエンジニアリングの話で触れます。)

さて、私の発言のどこがまずかったのでしょうか?
実のところ、この発言自体で間違っていることはあまりないと思っていますが、プロジェクトを進める上で一つ大きな欠陥があります。
それは「上記の言葉がビジネスの言葉で語られていない」ということです。

すべての仕事はお金に換算できる

今自分が取り組んでいる仕事の価値を説明する際に最も分かりやすく説明する方法はあるでしょうか。

私が考える最も簡単な価値の説明は「その仕事によって○○円儲かる、儲かった(節約できる、できた)」を示すことです。

もし、先ほどのプロトタイプの話で、「1億円の儲けが出ます。」という話をしていたらどうでしょうか?
もしかしたら結果は変わっていたかもしれません。

会社で働く以上、基本的にすべての仕事はお金に換算できます。
ビジネスを学ぶ上で一番最初に着手できるのが、この「金額に換算する」ということだと思います。

自分の仕事の価値は相手の理解できる価値で説明する

時を経て、またしても仕事の価値を説明するという状況になりました。以下は当時自分が関わっていたシステムの例です(この例は一部フィクションです)。
自分はとあるシステムの運用をしていたのですが、そのシステムがよくトラブルを起こしており、対処をするのがなかなか大変という状況でした。
そこで、システムを改修して運用を楽にしたいと思ったのですが、うまく人員を確保することができませんでした。

そこで行ったのが、そのシステムの価値を査定するということでした。
具体的には「そのシステムが止まったらどのくらい困るか(24h停止すると○○円損失する)」を裁量を持った人に示し、システム改修のための人員をきちんと割いてもらえるようにするということを行いました。

上記の作業を行い、システムが日々どのくらいのお金を生み出しているのか、止まってしまった場合にどのくらいの損失が出るのかということを説明したところ、こちらの意図が伝わり改修のための人員を確保することができるようになったのです。

お金以外の共通言語(価値)も使えるようにしよう

とある会員サービスでは「会員解約率」を下げることや、とある新規事業では「新規契約数」が非常に重要だったりします。このように会社では、事業として成し遂げたいことを定量的に測れる数値としたもの(=KGI)を設定しています。

先ほどの例でいうと、「この施策によって会員解約率が○○%改善します」、「このアルゴリズムに変更すると新規契約数が○○件増加します」のような説明になります。

さらに一歩踏み込むと、職種や社内の部署によって、ちょっとずつ異なる価値を示す共通言語があります。
例えば、営業が「売り上げ」を共通の価値とするように、マーケターは「閲覧数」を、エンジニアは「システムの安定性」を価値とする場合があります。

私は以下のような図で理解しています。

とはいえ、マイナスは常につきまとう

ただし上記の価値を換算する際に念頭に置いておきたいことがあります。
それは「何らかの仕事をしているとき、常にマイナスの費用が発生する」ということです。
そもそも社内のビルで仕事をしている場合、そのビルを借りている費用や光熱費、そして自分自身の人件費が発生しています。噂によると従業員一人当たりコストはだいたい「年収の約1.5倍から2倍」と言われています。

そうした出費は常に意識した上で、それを差し引いてどのように価値が生まれるかを意識していきましょう。

今すぐ始めよう!

1. ビジネスを学ぶために、自身の仕事がどのような仕組みで価値を生んでいるかを理解しましょう。自身の仕事の費用はどこから用意されてきて、どのような経路を経て、会社のお財布にお金が入るのかが分かると今後のためになります。わからなければ、上司や先輩に聞いてみましょう。可能であれば、会計などに聞いてみると良いでしょう。

2. 周りで働いている人の仕事を観察して、その人の仕事がどのように「価値」を生んでいるのか考えてみましょう。興味を持てる仕事があったら、その仕事が価値を生む方法を直接聞いてみましょう。またそうした観察を通して「より少ない労力で多くの価値を生み出している仕事はあるか」についても考えてみると良いでしょう。

おまけ:参考資料

この記事で書かれていることの大部分は『情熱プログラマー』の「ビジネスの仕組みを知る(p.43)」に書かれていますので、興味のある方はこちらに目を通していただけると良いかと思います。



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