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新型コロナワクチンのアナフィラキシーは「化粧水を使うから女性に多い」説のこと

パンデミック収束への第一歩として、世界中で接種が急がれている新型コロナワクチン。日本では現在までのところ、米ファイザーと独バイオンテックが開発したワクチンのみが承認・使用されています。

しかし、ファイザー・ビオンテック製ワクチンには当初から強いアレルギー症状「アナフィラキシー」が高頻度で起きることが知られ、日本でも医療者への先行接種が始まった2月 17 日からの3週間でアナフィラキシーを疑う事例が 37 件も報告されたとして、注目を集めました。

アナフィラキシーの原因物質として推定されているのは「ポリエチレングリコール(PEG)」というワクチンの添加物です。

ポリエチレングリコールについては昨年12月10日、わたしが日本からドイツに戻る際、翌朝の乗り換え便を待つヘルシンキのホテルのテレビで、その話ばかりをやっていたのをよく覚えています。つまり、海外ではワクチン接種が始まった直後からかれこれ3か月以上も前から言われていた話でした。

●ワイドショーが沸いた「化粧品を使うから女性に多い」発言

日本では最近まで「ポリエチレングリコール(PEG)」の名前が専門家の口やメディアに上ることはほとんどありませんでした。

しかし、3月10日、厚生労働省のアレルギー疾患対策推進協議会が「新型コロナワクチンで起きるアナフィラキシーの原因物質としてポリエチレングリコールの可能性が指摘されている」と紹介。医療職は女性の多い職業の1つですが、ポリエチレングリコール(PEG)は化粧品などに使われており、アナフィラキシーを起こした人の大半が女性であったことから、「茶のしずく石鹸を思い浮かべる現象だ」「化粧水をよく使っていることが関わっているのではないか」と発言する専門家が出てくるとにわかに注目を浴び、ワイドショーなどがこぞってこれを取り上げました。

「茶のしずく石鹸」とは、化粧品販売会社「悠香(ゆうか)」(福岡県)が手がける「茶のしずく石鹸」の旧製品で、同商品に含まれていた加水分解コムギ末(水解小麦末)が原因となって、呼吸困難やじんましんなどの強いアレルギー症状が起きた事件です。2010年10月、厚労省も「加水分解コムギ製品についての注意勧告」を出し、全国で悠香や製造元のフェニックス(奈良県御所市)、加水分解コムギ末作った片山化学工業研究所(大阪市)を相手取った集団訴訟も起きています。

●本当に「茶のしずく石鹸」に似ているのか

しかし、新型コロナワクチンでおきるアナフィラキシーは本当に茶のしずく石鹸と同じなのでしょうか。

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