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新型コロナの空気感染を認められなかったCDC


この記事は、新型コロナの治療薬として期待されているアビガンについての連載「アビガンの光と影」の一部です。オバマ元大統領が2014年、西アフリカにおけるエボラ出血熱大流行の際、トランプ氏の新型コロナへの対応と比較してどのようにふるまったのか当時の演説を具体的に見ながら振り返るとともに、アメリカCDCが新型コロナの感染経路について、二転三転評価を変えている政治的社会的背景についても解説します。オバマ氏の副大統領としてバイデン氏が次期大統領にほぼ確定した今日、改めてご覧ください。

【9月20日】アメリカCDCが「新型コロナは空気感染」とウェブサイトを書き換えた件について追記しました。
【9月22日】アメリカCDCが「新型コロナは空気感染」との一文をウェブサイトから取り下げた件について追記しました。
【10月6日】アメリカCDCが「新型コロナはエアロゾルで空気感染する」と再びウェブサイトを更新した件について追記しました。

ここまでお読みいただいただけでも、オバマ氏とトランプ氏の感染症問題や科学との向き合い方の違いは明らかだろう。

当時はまだ開発中だったワクチンについても、新型コロナ対策で現在も活躍中のアンソニー・ファウチ氏(米国立アレルギー・感染症研究所長)やフランシス・コリンズ氏を(アメリカ国立衛生研究所長)を立て、アメリカが第2相臨床試験を世界に先駆けて終わらせたという快挙を強調しつつも、「ワクチンができる保証はない」と慎重である。

両氏の差がより明らかになるのは、流行がいったん落ち着いた段階で対策を終えるのではなく、「次の」パンデミックを見据えた対策と予算を提案した点だ。

パンデミック対策を軽視していたのではないか問われたトランプ氏が、2020年2月の会見で、「アメリカにはたくさんの優秀な感染症専門家がいるが、いつもCDCに座っている必要はない。必要な時に集まってもらえばいい」と発言たのとは非常に対照的である。また、エボラ出血熱アウトブレイク当時も、新型コロナで起きているのと同様の医療者差別が生じたが、それに対してオバマ氏が投げかけた言葉も印象的である。

オバマ元アメリカ大統領、2014年12月2日の演説の続きを見てみよう。

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