マガジンのカバー画像

文系女医の書いて、思うこと【スタンダード】

noteでわたしが書く記事が大体ぜんぶ読める基本のマガジンです。継続的に執筆を応援してくださる方、わたしの書いた記事を大体ぜんぶ読みたい!という方にお勧め。引用の際には出典のご記… もっと読む
医学に関するデータやその解釈をいつも最新にアップデートしておくことを通じて命や健康を守りたい、とい… もっと詳しく
¥3,000 / 月
運営しているクリエイター

2020年8月の記事一覧

「世田谷モデル」VS「日本モデル」

世田谷モデルと日本モデル、その大きな違いは「無症状の感染者をどうやって見つけるか」という根本的な問題に対する関する考え方です。この記事を含め、今月もお得な定期購読マガジンに役に立つ記事をたくさん入れています。 「誰でも、いつでも、何度でも」をうたう世田谷区のPCR検査体制「世田谷モデル」が物議をかもしている。8月24日には、地元世田谷区医師会が、いわゆる「世田谷モデル」と世田谷区医師会PCR検査センターは「全く関係ありません」との声明を出す事態にまで発展した。 同声明によ

有料
980

子どもたちの「コロナごっこ」が終わった理由

先日、震災時の津波ごっこに似た「コロナ」という遊びが、子どもたちの間ではやっている件について書いた。 ところが、この「コロナ」は、子どもたちの間で大流行したのち、あっという間に流行が終わってしまったという。「コロナ」終息をめぐる子どもたちの話があまりにも切ないので、今日は続きを書くことにした。

有料
300

帰省自粛のお盆を終え、流行のピークをすぎた日本に必要なこと

『新型コロナから見えた日本の弱点 国防としての感染症』を書きながら、こっそりと7月中に短い夏休みをいただいた。「こっそり」と書いたのは、なんとなく日本の皆さんに申し訳なかったから。 追跡アプリの強制ダウンロードやPCR検査など、入国にさまざまな条件をつける国もあったが、EUでは域内の移動の制限は夏休み前に一応は解かれており、ヨーロッパでは今年も皆が思い思いの場所でバカンスを楽しんだ。 「他の人の目が怖い」という日本人とは異なり、当初、私の周りでは「長距離電車でマスクをした

有料
300

『新型コロナから見えた日本の弱点ー国防としての感染症』刊行のお知らせ

この度、新著『新型コロナから見えた日本の弱点 国防としての感染症』を上梓しました。 はじめに、この本はnoteを購読し、晴れの日も雨の日も温かいメッセージとサポートで応援してくださってきた皆さまなしには完成しなかった本です。心から感謝をお伝えします。 いまインターネット上は、新型コロナパンデミック関連の情報であふれかえっています。そのほとんどがパンデミックを医学や科学、せいぜい経済の問題として捉えたものです。 そんな中この本は、日本や諸外国の感染症への備えや対策を「国防

有料
300

「PCR検査を一切しない」という選択肢

先日、わたしのnoteで欧州の新型コロナ会議の議長でウイルス学者のクリスティアン・ドロステン氏が書いた寄稿を紹介したところ、たくさんのアクセスがありました。一部の人たちの間では「日本の対策を勘違いして絶賛」「ドロステンの個人的意見」といった声もあるようですが、そうなのでしょうか。今月もたくさん気合いの入った記事を入れています。ぜひお得な月額マガジンで。 EUの新型コロナ対策会議の議長、クリスティアン・ドロステン氏は8月6日、独「ZEIT」紙に、流行再拡大の可能性が高い秋への

有料
498

PCR信仰と予言の自己成就

2020年、日本の新型コロナ対策で最も特徴的だったのは、PCR検査の実施件数へのこだわりでした。 WHOは3月17日、「感染を疑う人」を徹底的に追跡して流行状況を把握することを目的に、「検査、検査、検査」と呼びかけました。これを「感染を疑う理由のない無症状の人もみな検査しろということだ」と曲解して報じたメディアもありましたが、WHOは翌18日の会見で、「検査、隔離、追跡」と言いかえています。 MERS(中東呼吸器症候群)を契機としてPCR検査態勢の整った韓国、SARS(重

有料
498

第2波およびロックダウン回避の鍵は「日本のやりすぎないPCR検査」にあり

SARSを発見したウイルス学者で、独アンゲラ・メルケル首相のアドバイザー、EUの新型コロナ対策会議の議長でもあるクリスティアン・ドロステン教授が、ドイツの主要新聞に「第2波とロックダウンを防ぐ鍵は日本の対策にある」と寄稿しました。 ドロステン氏の寄稿の詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。 以下、ドイツ語原文の英語の自動翻訳です。日本に関係する部分は日本語に翻訳してあります。 (追記:8月15日、翻訳部分を増やし、図を追加しました)

有料
498

新型コロナは抗体の有無だけ見ていても意味がない?

新型コロナに関する免疫の話で、よく聞く「抗体」という言葉。 「抗体がある=コロナにかからない」だと思っている人もいらっしゃるのではないでしょうか。 「抗体」とは、新型コロナに暴露されると全身で働き、新型コロナをターゲットにいっせいに攻撃を始める免疫のこと。麻疹のようなウイルスであれば、感染して回復すればこの抗体ができ、2度と麻疹にかかることはありません。 一方、免疫には新型コロナウイルスに感染したことを記憶し、主にウイルスが侵入してきた部分だけで、直接ウイルスを破壊するT

有料
480

PCR検査は夜空を見上げて流れ星を数えるようなもの

PCR検査による新型コロナ感染者の全数把握はできません。PCR検査の精度は100%ではなく、症状のある人を検査した場合であっても3割くらいは「陰性」と判断してしまう偽陰性があるからです。 昨日感染していなかった人が今日感染することもあるし、毎日世界中の人を全員検査をすることもできません。 PCR検査はいわば、夜空を目で見て流れ星の数を数えるようなもの。 見る人によって、見る場所によって見ることのできた流れ星の個数が変わってくるのは当然です。 「この辺に感染者がいそうだな

有料
498