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文系女医の書いて、思うこと【プロフェッショナル】

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#HPVワクチン

男子にHPVワクチンは要らないは本当か?

2023年、8年10か月ぶりに積極的接種再開した子宮頸がん(HPV)ワクチン。2024年からは9価ワクチンも定期接種として使えるようになり、接種回数も3回から2回へと変更になり、日本もやっと子宮頸がんに関する世界標準の防御体制がほぼ整いました。 そんな中、厚生労働省の有識者委員会は14日、日本のHPVワクチンスケジュールにおいては最後の課題となっていた男子へのHPVワクチンの定期接種について議論しました。 HPV(ヒトパピローマウイルス)は子宮頸がんだけでなく、尖圭コンジ

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子宮頸がん(HPV)ワクチン、キャッチアップ接種終了まであと1年

子宮頸がん(HPV)ワクチンを無料で接種する権利があったのに接種しなかった女性が、定期接種年齢を過ぎても無料で接種できる「キャッチアップ接種」の特別措置は2025年3月に終了します。 対象は1997年4月2日~2007年4月1日生まれの女性です。 つまり、あと1年ちょっとで無料接種の権利は消滅してしまいますが、対象者の多くがまだ接種を受けておらず、キャッチアップ接種率はほとんどの自治体で10%以下です。 日本と同じく接種率が激減したデンマークではキャッチアップ接種のおか

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独メディア掲載インタビュー「シリンジをめぐる戦い:日本のHPVワクチン問題」

10月31日、さまざまな分野で行動・活躍する女性について女性記者が報告する独メディア”Die Korrespondentin(ドイツ語で「女性記者」の意)”に掲載された、わたしのインタビュー記事(京都在住、エヴァ・キャスパー筆)を翻訳したのでご覧ください。 「シリンジをめぐる戦いー日本のHPVワクチン問題」HPVワクチン接種は子宮頸がんを予防し、世界中で多くの女性の命を救っている。2013年、日本ではワクチン被害に関する報道が衝撃を与えた。医師でありジャーナリストでもある村

子宮頸がん(HPV)ワクチンの定期接種率に関してよく受ける質問ー分子は5学年分の接種人数なのに分母は1学年分の人数でいいのか?

子宮頸がんワクチンに問題に関心の高い医師からよく受ける質問に、厚生労働省の 子宮頸がん(HPV)ワクチンの定期接種率=「定期接種年齢(小6から高1女子)の接種者数」÷「13歳(中1)女子の人数」 という計算式は本当にあっているのか?というものがあります。 分子の方は5学年分なのに分母は1学年分。分母を5倍していない厚生労働省の計算は間違っている(過大評価になっている)のではないかというのです。 具体的に見てみましょう。 厚労省によれば、積極的接種勧奨の再開した令和4

今どきの女子大学生の子宮頸がんワクチン接種率

神戸の甲南女子大学で講義を行いました。 対象は学部の2年から4年生で、全員が1997年4月2日生まれから2007年4月1日生まれの「子宮頸がん(HPV)ワクチンのキャッチアップ接種」の対象者です。 講義は、未成年の医療の自己決定(保護者の同意がなくても自分が受ける医療行為について決断できる権利)についてで、その文脈で、HPVワクチン接種の話もしました。 日本ではワクチン接種の自己決定年齢は、HPVワクチンでも新型コロナワクチンでも16歳です。つまり、15歳までは親の同意

独語インタビュー「HPVワクチン、偽情報との戦い」

日本の専門家たちもかねてから子宮頸がん(HPV)ワクチンの接種を推奨しています。しかし、反ワクチン団体による誤情報が拡散した結果、日本のHPVワクチンの接種率は70%から1%に低下しました。目下の課題は、このワクチンに対する信頼を取り戻すことです。アグネス・タンドラーによるレポート。 * 日本人医師、村中璃子氏はHPVワクチンの偽情報やその影響と8年以上もの間、戦ってきました。しかし、いま彼女は目的は達成されたと考えています。日本政府は、2013年から差し止めていた子宮頸

政策の問題はほぼ解決!子宮頸がんワクチン問題について国際女性デーに思ったこと

3月8日は「国際女性デー」で、今週は子宮頸がん(HPV)ワクチン関連の話をする機会が続きました。 おはよう寺ちゃん残業中1つ目は普段はドイツからリモートで出演している「おはよう寺ちゃん」の番外編(おはよう寺ちゃん残業中)として、一時帰国中でスタジオにお邪魔したついでに撮ったこちらの動画です。 どこのメディアにも書いてない、子宮頸がんワクチンに関する最新の情報をまじめに話しているので、興味のある方にはぜひ聞いていただきたいです。 たぶん初公開となる、寺島さんとのツーショッ

子宮頸がんワクチンに関する「ランセット」誌への寄稿記事

今年6月に、子宮頸がんワクチンに関する「Lancet」誌のニュース欄に向けて書いた寄稿(英文)の原稿「HPVワクチン論争がもたらす”子宮頸がん世代”のリスク」です。 諸事情により掲載は取りやめになりましたが、大事な内容を含んでいるので、特に「文系女医の書いて、思うこと【プロフェッショナル】」の購読者をはじめとする皆さまにnotenにて公開します。

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来年から9価HPVワクチンが定期接種に

早ければ来年の4月にも、9価の子宮頸がんワクチンが定期接種として無料接種できることになりました。これで日本の女性もやっと世界標準のがん予防を手に入れたことになります。 これまでは日本の女性だけが4価ワクチンという予防効果の限られたワクチンを定期接種していました。このワクチンを使うと理論上、日本で起きている子宮頸がんの9割以上を予防することができます。 各社の速報は以下のとおりです。 NHKは副反応について、「HPVワクチンは、2013年に定期接種になったあと、体の痛みな

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「子宮頸がんワクチンの1回接種」について、知ってほしい具体的なこと

先日、秋田県由利本荘医師会、由利本荘市、にかほ市民の共催の市民講座での講演しました。 秋田県にかほ市は、子宮頸がん(HPV)ワクチンの定期接種とキャッチアップを9価ワクチンで接種したいという人に対し、費用を全額補助している、全国唯一の自治体です。私が把握している限りでは、定期接種費用の一部を補助している自治体は他でも全国で2,3あるようですが、定期とキャッチアップの両方を全額補助しているのは、にかほ市しかありません。 にかほ市の女の子たちが羨ましいですよね! 今年4月、

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インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの同時接種が心配な人へ

加藤厚生労働大臣は16日、新型コロナとインフルエンザの同時流行の恐れがあるとして、両方のワクチンの同時接種の準備を進める考えを示したとの報道がありました。 どんな組み合わせでもいくつ組み合わせてもOKインフルエンザワクチンと新型コロナワクチンに限らず、同時接種は、どんな組み合わせでも、何種類の組み合わせでも、安全性と効果が保たれることが知られています。 たとえば、麻疹ワクチンと風疹ワクチンのように標的とする病原体が異なるワクチンを組み合わせてもいいし、生ワクチンと不活化ワ

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統一教会と子宮頸がんワクチン

「純潔」を至上とする統一教会と子宮頸がんワクチン問題や性教育をめぐる問題、その影響を受けた政治家たちの問題は、いつか詳細を明らかにすべき課題の1つだろう。  9月2日、北日本放送(KNB)が「統一教会と性教育」という特集を放送した。 以前から「統一教会との深いつながり」を指摘されていた山谷えり子参議院議員が安倍晋三元首相に対し、性教育の教育素材について否定的な説明を行う場面などの貴重な映像も織り交ぜながら(4”37’~)、日本で性教育が委縮していった過程と統一教会の関わり

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WHO「子宮頸がんワクチンの接種は1回でいい」とした根拠

今年4月、日本では8年10カ月停止していた子宮頸がんワクチンの接種勧奨が再開しました。また接種を逃した人でも無料で接種できる「キャッチアップ接種」も始まりました。同じ4月、WHOは、日本では3回の接種が推奨されている子宮頸がんワクチンについて1回の接種でいいと発表しました。(以下の記事をご参照ください) 6月17日、その推奨の詳細が発表されたので、私の方で独自の情報を補いながら、要点をまとめました。WHOは子宮頸がんの世界からの排除(撲滅されるわけではないが珍しい病気になる

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WHOが子宮頸がんワクチンの推奨スケジュールを「1回接種」に変更!

日本では、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)は3回の接種が原則として推奨されています。ところが、WHOのワクチン諮問委員会は4月11日、子宮頸がんワクチンの接種回数の推奨を「原則、1回でよい」と変更しました。 子宮頸がんワクチンの値段と世界的な供給不足が問題となる中、今回の推奨変更は「ゲームチェインジャー」となることが予測されていますが、日本のメディアではこの話を目にすることがありません。専門家が積極的にこの話をするのも聞きません。 ワクチン製造メーカーが嫌がるからです

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