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山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第五十七回 これから『フランク・ザッパ』の話をしよう特集


もし合コンで『フランク・ザッパ好き?』って聞いて、『あーあたし大好きー! “たどり着くのが遅すぎて溺れる魔女を救えなかった船”のジャケ待ち受けにしてるよほら!』って言ってくる女子がいたらですね、まず間違いなく結婚した方がいいと思うんですよね、絶対。

あと合コンで『フランク・ザッパ好き?』って聞いてくる男とは金輪際関わらない方がいいですね。キモすぎだもんそいつ。

まあまあ、ロック好きはだいたい二つに分けることができます。

『フランク・ザッパ!? 好き好き! 大好き!! 俺好きすぎてフランク・ザッパの刺青チンコに入れてるもん! ほらほら!』っていうフランク・ザッパ狂か、

もしくは『フランク・ザッパ? うーん、名前は聞いたことあるけど……ちゃんと聴いたことないなぁ』っていうフランク・ザッパ無党派層か、だいたいそのどっちかですよ。

で、オレはどうなのって言うと、『そこそこアルバム聴いてるしけっこう好きな曲もあるよ』っていう中間層ですね。

二つに分けられてねーじゃん!!!! 

さっそく自分の意見全否定かよ!!!!! 

もういいよ!!!!! 

私出家する!!!!!! 

瀬戸内寂聴んちの子になる!!!!!!!!


というワケで山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第五十七回は“これから『フランク・ザッパ』の話をしよう特集”と題して、フランク・ザッパが残した名曲たちを皆さんと共に耳を傾けようと思います。

フランク・ザッパがどういう人で、どういう経歴を持っているかとかは一切説明しません。面倒臭いから。アメリカのすごい天才ミュージシャンです以上終わり。はい行くよ!! ついていけない人置いて行くよ先生!!!



一曲めはフランク・ザッパで『モンタナ』。

1973年にリリースされた『オーヴァー・ナイト・センセーション』の一曲です。

この前二作『グランド・ワズー』『ワカ・ジャワカ』があんまりにも難解すぎて売れなかったってんで、じゃあ超ポップなアルバム作ってやるよ! つって制作されたアルバムでごぜーます。

それまでザッパは自分でも歌えないし演奏できない難曲ばっか作ってて、しかも公共放送には絶対乗せられないようなワイセツな歌詞ばっか書いていたんですけども、ここに至ってザッパはそれを禁じ手とし、自分で歌えるし演奏できるしラジオでもちゃんと流れるようなキャッチーなナンバーを量産します。

で、この『モンタナ』は複雑怪奇なビートが炸裂する、ザッパ流必殺ファンク・ナンバー。ザッパの長尺のギター・ソロもクソカッコいいですね。ちなみにコーラスはティナ・ターナー

歌詞の内容はというと『モンタナ州でデンタルフロスを収穫してデンタルフロス王になることを夢見る男の歌』で、もう完全に意味不明ですね。

でもこの歌詞に着目した全米歯科医師会が“デンタルフロスを使いましょう”ってラジオCMにザッパを起用したらしい。全米歯科医師会最高。どんな会か知らないけど完全に支持する。

あとこれは余談ですけども、『ペアレンタル・アドヴァイザリー』ってステッカーあるでしょ? ヒップホップとかのアルバムのはじっこによく貼ってある黒いステッカー。

あれ『歌詞に不適切な内容が含まれているので保護者が注意喚起してくださいね』って意味なんですけど、あの検閲を義務づけたのってアル・ゴア元副大統領の元妻のティッパー・ゴアなんですよ。

『暴力やセックスやドラッグについて書かれた歌詞は、青少年への悪影響を及ぼす』つってね。

しかしフランク・ザッパはこのティッパー・ゴアの意見に対し、こう反論しました。

『60年代にたくさんの人間が平和の歌を歌ったが、それで何か起こったか? 俺はデンタルフロスについての歌を書いたが、それで誰かの歯が綺麗になったか?』

芸術史や精神分析学や政治社会学について深く考えることもせず、ただ自分が不快な表現活動を『悪影響だ』とか言って石もて打つヤツらは全員、『モンタナ』を爆音で千回聴いてイチから出直しやがれ!!!!!! 

ロッケンロー!!!!!!!!



二曲めはフランク・ザッパで『ウィリー・ザ・ピンプ』。

ヴァイオリンとドラムが絡み合うクソカッコいいブレイクビーツから始まるブルーズ・ナンバー。

ヴォーカルはアメリカ音楽界屈指の奇人キャプテン・ビーフハート。フランク・ザッパとは高校時代からのマイメンで(70年代後半あたりからはイマイチ不仲だったらしいけど)、キャプテン・ビーフハートという芸名もザッパが命名したらしい。

このひと多発性硬化症という難病を患っていて、とにかく全身が痛かったらしいんですよ。常に。だからその痛みをシャウトに転化してたらしいです。あのダミ声は『痛ぇよ!!!』っていう叫びなのね。

ザッパの曲でビーフハートの生活について歌った『拷問は果てしなく』っていうのがあるんですけど、その病気のことを考えるとなんか意味深なタイトルっすよね。

このアルバム『ホット・ラッツ』はザッパ入門盤としてオススメされることが多い作品ですね。グルーヴィーだし踊れるし、何しろ単純にカッコいい。ジャケもイケてるしね。

そういやキャプテン・ビーフハートって4オクターブの声域を持ってたらしいんですけど本当なんですかね? 絶対ウソだろ! 俺は信じねえ!



三曲めはフランク・ザッパで『アイム・ソー・キュート』。

1979年、ザッパが自身のレーベルからリリースした初のアルバム『シーク・ヤブーティ』からの一曲でございます。

胃もたれ必至の麺カタコッテリROCKが70分以上に渡って収録されているので、途中で『もうええてー!!』と叫びたくなること請け合いです。しかしザッパは決して止めてくれない。次から次へと運ばれてくるハイカロリーな音響地獄。ううう。うううう。拷問は果てしなく。

さてこの楽曲、『アイム・ソー・キュート』

当時流行していたパンク/ニューウェイヴを皮肉ったのか、それとも便乗したのかわかりませんが、キチガイみたいな縦ノリのビートが延々と続き、キチガイみたいなヴォーカルが延々と叫び続けます。ジェームス・チャンス顔負けです。

ヴォーカルはなんとドラマーのテリー・ボジオ。凄いです。凄すぎます。何かが。よくわからないけど何かが凄いです。完全に優勝です。全米キチガイ選手権'79を制したのは間違いなくコイツです。

余談ですが1979年はザッパが自身のレーベルだけでなく、自身のスタジオを持った年でもありまして、なんとそのスタジオには無響室(音の反射がほとんど無くなるように設計された部屋。ほとんどの人は五分でパニックを起こすらしい)が設置されており、ザッパはそこで仮眠取ってたらしいです。

マジかよ!!!?

でも70年代の設備ならまだそこまで完璧な無音じゃなかったんかなぁ? 

まぁいずれにせよキチガイのやることですね。

よっ、大統領!(キチガイの)

あと全然関係無いけどYouTubeのこの画像、めっちゃ画質良くてザッパの肌質とかモロわかりでずっと見てたら具合悪くなりました!




四曲めはフランク・ザッパ&アンサンブル・モデルンで『Gスポット・トルネード』。

これザッパのラスト・ライヴの最後の曲なんですよ。

この翌年にガンで亡くなっちゃうんです。

俺はガンで亡くなった友人も家族もいるので、末期ガンの苦しみは僅かながらも知っているつもりですが、恐らくこの頃は立っているだけでも相当な苦痛だったはずです。

だけれども、このタクト捌きを見るに、ザッパはこの瞬間だけは自身を蝕む病魔を超克していたのではないかと思います。

これ1986年にリリースされたインスト・アルバム『ジャズ・フロム・ヘル』の収録曲でして、『Gスポット・トルネード』というふざけきったタイトルとは裏腹に、3拍7連とか平気で出てくる複雑難解な変拍子の嵐。

作曲したはいいもののあまりにも難しすぎて『人間には演奏できない』と判断したザッパはこれを打ち込みで収録しました。

しかし驚異的な演奏力を持つドイツの室内合奏団アンサンブル・モデルンによって、この曲はついに人力でのライヴ演奏がなされることとなります。

終演後、鳴り止まぬ拍手に満面の笑みを見せたのち、ひとり楽屋に戻り、楽器ケースに腰掛けて涙ぐむザッパの姿には心動かさずにはいられません。

しかし、どぎつい下ネタとブラック・ジョークについて歌い続けた男の生涯最後の曲が『Gスポット・トルネード』とは、神も粋なはからいをするものですね。ダンサーの熱演も本当に素晴らしいです。



というワケでいかがでしたでしょうか、山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第五十七回 これから『フランク・ザッパ』の話をしよう特集、そろそろお別れのお時間となりました。次回もよろしくお願いします。最後にザッパの名言を紹介して終わりにしようと思います。


水素が宇宙の基本構成要素だと主張する科学者がいる。何せ、水素は有り余るほどあるからね。でも俺はその意見に反対だ。俺は水素よりもバカのほうが多いと思うんだ。だから宇宙の基本構成要素はバカなんだよ。

(フランク・ザッパ)




愛してるぜベイベーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



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第1回ジャンプ恋愛小説大賞で銅賞。中華一番というヒップホップクルーで踊りつつ、ヤングラヴというソウルバンドで愛を語り、そのスキに文章を書き連ねています。 連絡→yamatsukarikimaru@gmail.com