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【理系が書いた3分小説】3.波乱の1日

俺は波に乗ることが趣味だ。あらゆる波に乗ることがな。
今日の波はでかい。なんたって真夏日らしい。俺はワクワクしていた。
早速、遠くから大きい波がやってきた。
俺は準備万端だった。ワクワクして待ち構える。

私は音楽が趣味だ。今日はフェス!
「今日楽しみだね。」隣にいた彼が言う。
「うんめっちゃ楽しみ!それにしてもあっつ。あ、やばっ!」
私はおもむろに日焼け止めを取り出し、顔やら腕やらに塗りたくった。
これで準備万端だ。

ついにあの波が目の前まで迫ってきた。
俺は波に乗ろうとする。
しかし、次の瞬間、波は大きく跳ね返された。
「何だ!?」
まるで、目の前にバリアが張られたようだ。
波が全く来ないわけではないが、その高さは明らかに小さい。
期待も大きかっただけに、俺は呆れかえった。
だが、今日はこれで終わりではなかった。
別の波がこちらへやってきたのだ。
しかもその波は徐々に高くなる。
「来た!」
俺は波乗りを楽しんだ。
波は速度を変え、高さを変え、なかなか難易度の高いものだった。
だが、俺の気分は最高だった。

フェスは始まっていた。
私は急いで会場へ向かい、ステージに近づいていく。
会場は大盛り上がり。
ステージではサザンが波乗りジョニーを歌っていた。
爆音を体中で感じる。
私は、細胞レベルで興奮していた。

俺はひととおりの波乗りを楽しんだ。
そう、もう気付いているかもしれないが、俺はこの女の細胞の中に住んでいる。
彼女も忙しいよな。
おっと、お次は何だ?
また大きな波だ。だが、今回はさっきみたいにぐちゃぐちゃじゃない。
同じような波が繰り返しやってくる。
おれはその波に乗った。
単調だったが、疲れた今の俺にはちょうど心地よかった。

「今日は楽しかった。」
私が言うと、彼がこちらを見つめている。
これは、もしや、、、。
徐々に鼓動が大きくなる。
そして、彼は私を抱きしめた。
私は彼に身を任せた。
彼の鼓動も感じられた。
私は、細胞レベルで恋をした。

俺が心地よい波に乗っているとき、もう一つの波が来た。
それは、今乗っている波と全く同じような波だったのだ。
そりゃあ、波長の合う2人なことだよな。




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