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つわりっぽい

今朝、すっきりと目が覚めた。吐き気もしない。体も軽い。あれ?治った?と嬉しくなった。しかし、午後からはまた、吐き気とだるさが戻ってきた。こんなもんなのかなとは思うが、やはりきついものはきつい。

つわりって、こんな感じだったよな、と思い出す。妊娠中、立っても座っても横になっても吐き気が治らず、冷たい炭酸水を飲んだり、りんごをかじったり、常に食べたり飲んだりしていた。「大丈夫、これは続かない。あと少し我慢したら終わる」と自分に言い聞かせて、お腹を蹴り始めたムスメに「はいはい〜」と返事をしていた。

だが今回は違う。終わりが見えない。病気のつらさって、こういうことなんだと実感する。今まで誰かに、入院した、手術した、持病がある、と話を聞いても、その痛みやつらさが今ひとつピンとこなかった。ただ心情的に漠然と「大変そうだな、つらいだろうな」としか考えていなかった。叔父が肝臓を患って、お見舞いに行った時、白目まで黄色になっているのを見てギョッとしたのを覚えている。「やあ、来てくれたの。わざわざありがとう」とベッドの上で微笑んだ叔父の歯がやけに白く見えた。差し出された手の爪まで黄色くて、びっくりして泣きそうになったけれど、そのつらさや身体の苦しさには思い及ばなかった。今ならわかるよ。おじちゃん、つらかったね。

なんともいえない吐き気に耐えていると、点滴の様子を見に来てくれる看護師さんたちが、すごく親身になってくれる。「きついでしょう?家でちゃんと横になっていますか?」「今はとにかく、安静にして、旦那さんに甘えてね。元気になってから、恩返しをしたらいいのよ」と、声をかけてくれた。

昨日、ゴミ出しの日だった。「すみませんが、ゴミを出してくれませんか」と言ったら、オットが「いいよ。そこにまとめといてくれたら、俺が出しておくから」と返事をした。ゴミ出しは、重い生ごみをゴミ箱から出し、家中のゴミ箱からゴミをまとめることがメインであり、もっともハードな部分だ。それを知らんとは。イラっと来るより先に、悲しくなった。いかにわたしが家事を上手にシェアしてこなかったか。大反省だ。

「そこで、もういいです、って言って自分でやっちゃダメ。ごめんね、きつくてそれもできないの、って言うのよ」と看護師さんが優しく笑った。
ああ、心にしみる。こんなに優しくされたことって、最近あっただろうか。お年寄りが病院に集まるのは、こういうことかもしれないな。

受付で、作業着姿のおじさんが、薬の入ったビニル袋を片手に「ねえ、ワインと焼酎、どっちだったら飲んでいいのかな?」と大きな声で尋ねていた。看護師さんが笑いながら「はいはい、先生に聞いて来ますね!」と診察室へ消えて行った。どんなところにも、面白いことは見つかるものだな、とわたしもふふふと笑った。

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