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エモす。

あかん。これ、やばいやつ。しばらく漫画から離れた生活をしていたのだが、またハマりそうだ。「このマンガがすごい!2016年」にもピックアップされた有名な漫画なのに、今まで知らなかったー。

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』。まだ3巻までしか読んでないのだが、続きを早く読みたい。昨日、ムスメの友だちが、突然、「ほい」と貸してくれたのだそうだ。え?と思ったが、「ありがとう」と借りて帰ったらしい。そして「読む暇ないかも」と机の上に放置したので、わたしが読むことにした。

まず、カバー装丁がとにかくカッコいい。主人公たちの顔の上に、半透明のインクが盛ってある。エンボス加工と言うらしい。ドープな印刷技術だ。印刷物フェチのわたしは、インクのツヤをしばらく眺めてニヤニヤした。イラストを邪魔しない、オフ白のインクを選んだところも素晴らしい。カバーを外すと、なんと、本体の表紙には「宇宙人」の写真が。おもしろーい。

え、なに?漫画の内容じゃないの?と思った人には申し訳ないが、「本を手に取る」という行為が購買に直結するのだから、まずはこのカバーは良いというところから始めねばならんと思う。そしてどの巻も、表紙を開いたところに展開される、「イソベやん」というギャグ漫画を経て、本編に入るところもすごくいい。編集の力。各話との境目のイラスト(デデデデの文字を使ったもの)もいいし、どのページを見ても飽きない。わたしは大友克洋の画力に腰を抜かした時代の人間だけれど、やっぱり絵が上手い漫画は読んでいて引きこまれる。女子高生の部屋が雑多な感じ、ファミレスのファミレス然としたところ、路地裏のごちゃごちゃした凄みも、とても丁寧に描きこまれている。背景に手抜きがない。

それにしても、著者は男の人なのに、なんでこんなに女子高生の気持ちがわかるのか、と思う。門出(かどで)とおんたんの友情とか、キホちゃんと小比類巻くんの恋愛のもめごととか、ほんと今も昔も「基本の気持ち」って変わらないのな、と思う。一方で、門出のママや、おんたんのお兄ちゃんなどは、「311」を経た「今」であること、ネット社会が成熟した「今」であることが前提だ。そして「もはや戦前」と言われる「今」だから、彼女たちの気持ちにリアリティを感じる。昔と変わらないのに、「今」なのだ。

それは、ずいぶん前に『最終兵器少女』や『花と奥たん』で受けたあの感じに似ているが、『デデデデ』の方がより複雑でリアルに感じる。女子高生たちは、あきらめたり、希望をつないだり、憧れたり、くじけたり、たくさんの不安を感じながら、日常を超えていく。女子高生の刺さる言葉があちこちに散りばめられている。それらをエモいと思うのは、わたしが「年頃のムスメのお母さん」になったからなのか、かつて「女子高生」だったからなのか。

ムスメに「お友だちに続きを借りてきて!」と頼んだら、チャチャッとLINEで会話して、「3巻までしか持ってないってよ。続きを買ったらまた貸してくれるって」という返事。なぬー。いたいけな中学生の財布をあてにするわけにもいくまいて。なによりも、待てんわ。はにゃにゃフワーッ。

というわけで、ヤフオクで中古を落札。早く届けー。

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