見出し画像

にげきる

二日続けて怖い夢を見た。

1日目。わたしは夜道を一輪車で走っている。もうすっかり夜は更けていて、街灯も少ない道を1人で帰っている。軽快に進んではいるが、人通りがほとんどなくて、寂しい。

大通りから細い道にスッと曲がる。その瞬間、右手に白いバンが止まっているのが目に入る。車体は白で、窓も全部白く塗り潰されており、マジックのような線で落書きがビッシリと描かれている。
ちょっとだけ、変な車、と思った。そのまま細い道を進んでいると、さっきのバンが後ろをゆっくりとついてきているのがわかった。

わたしはドキドキしながら、急ぐ。だが、その街は自分の知っている場所ではなかった。初めての住宅街で、わたしはどこをどう行けばいいのか、どうすれば逃げ切れるのかわからない。そして、一輪車はわたしの足で漕いでいるのではなく、何か動力のようなものが付いていて、そのスピードを上げることができない仕組みだ。頼む。もっとスピードを上げておくれ、と思うが、スピードが上がったら、ちゃんと乗りこなせるかわからない。

車で追跡されたら、くるっと反対側( 元来た方向)へ逃げるのが良い、と言われているが、車の方が断然早いので、遠回りしても追いかけられたらそれもまた不利である。ましてや複数の人間が乗っていて、車から降りて追いかけられたら、足に自信がないわたしは逃げきれない。

やめてー、と思いながら、これは夢だと気づいているわたしは、必死で目を開けようとする。夢から醒めればいいのだ。背後でバンから人が降りてきた気配がしたが、わたしは振り切って目を開けた。心臓がバクバク言っている。

次の日に見た夢は、わたしがムスメと一緒に、夜の庭で話をしていた。雑草の生えた庭で、どうでもいいような雑談をしながら、はははと笑っていた。フェンスの外は道路で、車が往来していた。遠くからヘッドライトが近づいてくるのが見えた。フェンスに寄りかかっているムスメのスレスレをその車が通る。「あぶない」とわたしが娘をフェンスから遠ざける。車はギリギリのところで、窓が開き通り過ぎて行った。

なんだか気持ち悪いと思っていたら、その車は通り過ぎた後で左折したらしく、今度は庭の反対側の道路を通過する。そして、こちらをチラッと見たような気配で通り過ぎ、家の陰に見えなくなった。まずい。この先で車を止めて、誰かが降りてきたら。わたしはムスメに急いで逃げるように伝える。だが、わたしもムスメも足がすくんで動けない。
どうしたらいいのだ、と焦る。そうだ。起きるんだ。目を覚ませ!

そこで目が覚めて、心臓がバクバクしていた。

二回、夢の中から現実に逃げ切った。次に夢の中で追いかけられたら、逃げ切れるだろうか。


サポートいただけたら、次の記事のネタ探しに使わせていただきます。