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おしもゆ

読書会に参加したのは、これで2冊目。

『推し、燃ゆ』。なんてキャッチーなタイトルなのだろう。ネタバレすると、これから読む人に申し訳ないので、内容には触れないでおこう。

えー、それってどういうことよ。と、もう一人のわたしが言う。だって、先にネタバレしてたら、読む時おもしろくないじゃん。とわたしが言い返す。するともう一人のわたしが「あんたが書いたことにどれだけの影響力があるっていうのさ」と上から目線でうすら笑う。

そんな感じだった。主人公は、常に肉体から精神が少しはみ出した感じで生きている。魂が実体から少し浮き上がっているような感じだ。心と体の輪郭が一致しないまま生きているので、そりゃ生きづらい。でもそれを忘れさせてくれて、呼吸をしやすくしてくれるのが「推し」だ。

しかし「推し」は炎上するようなことをしてしまった。そうなると、もう「アイドル」ではなく「人」なのだ。アイドルとしての「推し」は推せても、人間の推しには触れてはいけない。「人」は推してはいけないのだ。

これ以上書くとやっぱりまずいかなと思うので、もう内容には触れない。

先日、電話で友人と話をした。「高校生の時のことなんて、全然記憶になくて、全く思い出せないのよね」と言ったら、相手は「あらあ。精神年齢が低くて、まだ幼なかったから覚えてないのかしら」と言った。そういうもんなの?と聞き返したら「そうね。男の子が、『全然覚えてないっす』とか』とか言うじゃない?無邪気にさー」と言う返事だった。

そうなの?高校生くらいの男の子って、そんな感じ?わたしの周囲の男性は、高校時代の思い出話とかするけどなあ。

わたしも高校時代の記憶がないわけではない。いろいろありすぎて、いろいろ辛すぎて、言いたくないのだ。「覚えてないっす」と言えばそれ以上、根掘り葉掘りされないからだ。

その当時、一番わたしを悩ませたのは「金縛り」である。いくら言っても、周囲は認めてくれなかった。「気のせい」とか「疲れてるからでしょ」とか、「寝不足なんじゃない?」とか、軽くあしらう感じで、「それは、辛かったね」とは誰も言ってくれなかった。

問題はこの本の主人公とは違うが、「自分がこうだと言っているのに、周りは自分のジャッジを押し付けてくる」という点では同じだと思う。

わたしはムスメに対して、そんなことをしていないだろうか。ちゃんと顔を見て、ちゃんと聞いているだろうか。どこをどう切っても考えさせられる事ばかりの本だったなあ。


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