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おやさい

カレーを食べに行きませんか、と誘われたのだが、わたしが午前中の仕事を終えてカレー屋に着いたら、すでに彼女は食べ終わっていた。遅かった。

彼女が「畑に行きませんか」と誘ってくれて、じゃあ行く、と彼女の車に乗った。都心と言われる場所から30分。山越えをして着いたところは、およそ同じ市内とは思えないほど、長閑な農村だった。いや、市内だから、村ではないのだが。

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一面に田んぼと畑。空が広い。そこにオイスカの体験農園がある。彼女は何年間もそこに畑を借りていて、なす、スイカ、かぼちゃ、えだまめ、きゅうり、ゴーヤ、トマト、プチトマト、オクラ、人参、ピーマン、じゃがいもなどを植えている。夏場は収穫のタイミングが早い。炎天の下、週に3回は畑に行くらしいが、暑いし、面倒くさいし、「もうイヤ!」と思ってしまうそうだ。特にオクラは朝は小さくても何時間か経つとすっかり大きくなっているらしく、「間に合わん」と言っていた。

彼女はオクラの若い実を摘んで、「はい、これ食べてみて」と差し出した。生で、このまま?と聞くと、そうです、とうなずく。サクッと歯応えが軽く、青い野菜の独特な風味が鼻に抜けていく。甘い。「おいしい!」と思わず声が出る。「でしょう?家に帰ってからだと、もう味が違うんですよ」そう言って、プチトマトも勧めてくれた。うまーい。プチトマトは小さいトマトだからそういう名前なんだろうけど、歯で噛むと、皮が破れる時「プチ」と音がする。だからプチトマトっていうのか、と思うほど。弾力があり、瑞々しいタネが口の中にこぼれると、酸味と甘味がブワッと広がる。

いろいろと見せてもらって、いろいろと収穫を手伝って、あっという間にスーパーのカゴ2杯分の野菜が穫れた。「はい、持って帰ってください」と、半分くらいを渡してくれた。無農薬栽培の野菜をこんなにもらってもいいのだろうか。ありがたや。

人参の葉は、かき揚げにするとおいしいですよ、と教えてもらった。明日、挑戦してみるか。


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